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2010年7月24日 (土曜日)

「タルカス」meets クラシック・1

「タルカス(Tarkus)」は、1971年にリリースされたエマーソン・レイク&パーマーのセカンド・アルバム。表題曲である「タルカス」は、想像上の怪獣・タルカスを主役とした、20分を超える壮大なプログレ組曲。アルバム・ジャケット(写真右)に描かれている生物がタルカスである。

そもそも、エマーソン・レイク&パーマー(以降略称ELP)とは誰か。キース・エマーソン、グレッグ・レイク、カール・パーマーの3人により、1970年に結成された、英国のプログレッシブ・ロックのジャンルに位置するバンドである。

クラシック音楽の要素と、最新鋭の電気楽器シンセサイザーを大々的に取り入れた、ユニークな音楽性と演奏スタイルが特徴。とにかく演奏的には、力ずくで押し切るような体力勝負的な演奏が主体。理知的、内省的、観念的とされた他のプログレ・バンドとは一線を画すもので、巷では「体育会的プログレ・バンド」と呼ばれ、結構、ツッコミどころ満載のプログレ・バンドだった(笑)。

しかし、公式にリリースされているブート録音を聴いても判るように、ELPのピーク時の演奏力は圧倒的なもので、特に、当時最新鋭の電気楽器であるシンセサイザーをレコーディングやステージに持ち込んで、「楽器」としての可能性を提示したのは、ELPが先駆である。特に、この「タルカス」は、ロックが本格的にシンセサイザーを活用し始めた記念碑的作品と位置づけられている。

そんな「タルカス」というプログレ組曲が、なぜかクラシックの世界で再アレンジされて、クラシック組曲として採り上げられることがある。僕が、まず初めて、クラシック化された「タルカス」を聴いたのは、黒田亜樹の『タルカス&展覧会の絵』(写真左)。ELPゆかりのカップリング(タルカス&展覧会の絵)で度肝を抜かれた(笑)。

Tarkus_classic1

ELPのプログレ組曲「タルカス」を主題に、ピアノ+弦楽四重奏+ギター+パーカッションの編成をベースに再構築したもの。意外にも、バルトーク風の響きなど「新古典主義音楽」的な要素が浮き出てきて、プログレの代表的組曲が、しっぽりとクラシック組曲に変身しているところが面白い。

もとはと言えば、プログレの鬼才キース・エマーソンの音楽的成果である。彼の音楽性の根本にはジャズ、クラシック、ロックの3要素が並存するが、この「タルカス」組曲の場合は、そこかしこに、クラシックの要素が突出している。それが、今回の黒田亜樹の再構築で、露わとなったというところか。実に、明晰で利発なアレンジに感心することしきりである。

しかし、ピアノ+弦楽四重奏が中心の演奏なので、もともとELPの「タルカス」が持つ、力ずくで押し切るような体力勝負的な迫力が、うまく継続されず、非常に品の良い、理知的理詰めな雰囲気の演奏になっており、ELPの「タルカス」に長年親しんだプログレ・ファンからするとちょっと戸惑ったり、不満に思ったりするかも。でも、それを差し引いても、黒田亜樹の再構築は非常に優れた内容だと僕は思います。

この黒田亜樹の「タルカス」は、純粋に現代クラシックの演奏成果としてとらえても、何の違和感もありません。逆に、ELPの「タルカス」を知らない人が聴いた方が、このアルバムの本質を捉えやすいかも。どなたか、クラシックに造詣の深い方で、ELPの「タルカス」を全く知らずに、この黒田亜樹の「タルカス」を聴いた方はいないのかしら。特に「タルカス」という楽曲に対して、率直な感想をお聞きしたいですね。

最後に、黒田亜樹の『タルカス&展覧会の絵』のジャケット・デザインをご覧下さい。ELPの名盤『タルカス』と『展覧会の絵』に対して、限りない愛を感じるジャケット・デザインです。初めて見た時、思いっきり笑いました。良い出来のジャケット・デザインも魅力です(笑)。
 
 
 
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