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2010年7月 8日 (木曜日)

マイルスとギルのコラボ・その3

マイルスの発言は印象的なものが多い。ギルとのコラボの中で、『ポーギー&ベス (Porgy and Bess)』のレコーディングに一番苦労したのは「ベス、ユー・イズ・マイ・ウーマン (Bess, You Is My Woman Now)」という台詞を八回も意味を変えて吹き分けなければならなかったことだ、と言うのがある。

う〜ん、格好ええなあ、痺れるなあ。これって、トランペットのテクニックは言うに及ばず、マイルスのペットが歌心を湛え、そのトーンを七色変化にコントロールすることが出来る、ということをマイルス本人がサラリと言ってのけているのだ。ヴォーカル・ナンバーの曲を、その歌詞の意味を十分に理解し噛み締め、最高のテクニックと歌心をもって「演奏した」。凄い自信、凄い自負。さすが、ジャズの帝王マイルスである。

その『ポーギー&ベス (Porgy and Bess)』(写真左)である。ガーシュインのオペラ『ポーギー&ベス』をギル・エバンスがジャズ・オーケストラとしてアレンジし、そのオーケストラをバックに、マイルスが心ゆくまでソロを取るという内容。

しかしながら、マイルス・デイヴィスとギル・エバンスとのコラボレーションとして『Miles Ahead』『Porgy And Bess』『Sketches Of Spain』『Quiet Nights』が代表的な4枚なんだが、以前より、その代表的な4枚の中で『Porgy And Bess』は一番地味な扱いを受けているように感じている。

『Quiet Nights』はマイルス自身が「失敗作」とバッサリ切り捨ててはいるが、そのマイルスらしからぬ愛らしい演奏内容が、マイルス意志とは反して、意外とマイルス者の中では「愛聴盤」になったりしているので、以外と扱いが良い(笑)。しかし、なぜなんだろうなあ、『Porgy And Bess』の扱いの低さは・・・。

Miles_porgy_and_bess

確かに、ジャズのアルバム紹介本、マイルスのアルバム紹介本を紐解いても、どうも『Porgy And Bess』の扱いは不当に低い。『Sketches Of Spain』がダントツに扱いが高い。それは単に、スペインの作曲家ロドリーゴの人気曲をギル独特のアレンジで再編した、アルバム冒頭を飾る「Concierto De Aranjuez(アランフェス協奏曲)」の存在故なんだが、それはそれで安直すぎるのではないだろうか。

しかし、僕もこの『Porgy And Bess』を入手し、その内容の濃さに驚愕したのは、ジャズ者を始めてから15年近く経った頃。CD化が進んで、やっとこの『Porgy And Bess』もCD化された頃である。いや〜面目ない。この『Porgy And Bess』を初めて聴き通した時、自らの未熟さ、不明さを恥に恥じたのを覚えている。

いや〜素晴らしい内容です。マイルス・デイヴィスとギル・エバンスとのコラボレーションの中で、一番、スコアとして書き込まれ、そのスコアの出来は恐らく代表的な4作の中で一番の出来で、リハーサルも十分に積まれ、マイルスのペットの状態もベストに近かったのではないか、と思います。とにかく、アルバムの演奏の全てが素晴らしい、の一言。

マイルスはトランペットとフリューゲルホルンを使い分けている。どちらも素晴らしい音色、素晴らしいテクニック。マイルスの演奏のベースは「モード奏法」。でも、そんな難しいことは関係無い。このアルバムでのマイルスのペットは絶品である。とても美しく、とても力強い。繊細かつハードボイルド。「クールな演奏」を尊び「女を口説くように演奏する」マイルスの面目躍如である。

素晴らしい演奏、素晴らしいアレンジです。ギルのアレンジについても、このアルバムのアレンジは彼の代表的成果のひとつとして、もっと評価されるべきものだと感じています。個人的には、マイルス者を任じる方々には、『Sketches Of Spain』よりも、この『Porgy And Bess』を聴きこんで欲しいですね。

聴かず嫌いはいけません。ジャズのアルバム紹介本、マイルスのアルバム紹介本に載ってなくても、良いものは良い。ジャズって、ここまで芸術的に高い極みにまで到達することができる素晴らしいものだ、ってことが心底実感できます。 
 
 
 
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