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2010年7月27日 (火曜日)

1969年のマイルス・デイヴィス

1969年10月リリースの『In A Silent Way』。7月12日のブログ(左をクリック)で採り上げたが、この『In A Silent Way』から、エレクトリック・マイルスの快進撃が始まる。

しかし、テープ・コラージュの『In A Silent Way』から、いきなり1970年4月リリースの『Bitches Brew』まで、一足飛びに「ジャイアント・ステップ」するのか、と思いきや、それは現実的では無くて、マイルスの『In A Silent Way』以降、テープ・コラージュで出来上がった『In A Silent Way』の音世界を、現実のバンドで完璧に演奏出来ないかを、ライブ・パフォーマンスでチャレンジしていく。

その成果を垣間見ることができるのが、『1969 Miles: Festiva De Juan Pins』(写真左)。マイルスの没後、1993年にいきなり出てきた未発表ライブ音源。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) Wayne Shorter (ss, ts) Chick Corea (el-p) Dave Holland (b) Jack DeJohnette (ds)。1969年7月25日、フランスでのライブ録音。収録曲は以下の通り。

1. Directions
2. Miles Runs The Voodoo Down
3. Milestones
4. Footprints
5. 'Round About Midnight
6. It's About That Time
7. Sanctuary / Bye Bye (theme)

収録曲を見渡すと、3曲目の「Milestones」、5曲目の「'Round About Midnight」のハードバップ時代の名曲が演奏されているところが面白い。加えて、ショーターのモードの名曲「Footprints」も、アコースティック・マイルス最後期の名曲。これら、アコースティック・マイルスでの名曲が、エレクトリック・マイルスの世界で、どうなるのか、興味津々である。

冒頭の「Directions」から、凄いテンションの高い、高密度な演奏。それでいて、激しく自由度が高く、硬軟自在、伸び縮み自由、緩急自在。「へヴィー&フリーキー」なビート。この類い希なビートを叩き出すリズムセクションをバックに、マイルスが吹きまくる。限りなく自由に、限りなくエモーショナルにマイルスが吹きまくる。

1969_miles

分厚いユニゾン&ハーモニー、凄まじいポリリズムを叩きまくるドラム。怒濤のようなビートを支える太いベース。最高に自由に多種多様な音色を紡ぎ出すエレピ、そんなリズムセクションが叩き出すビートは、今の耳にも新しい、唯一無二な「マイルスのビート」。そのビートをバックに、マイルスがショーターが吹きまくる。フリーにモーダルに吹きまくる。

3曲目の「Milestones」、5曲目の「'Round About Midnight」のハードバップ期の名曲、ショーターのモードの名曲、4曲目の「Footprints」。これら、アコースティック・マイルスでの名曲が、エレクトリック・マイルスの世界で、全く装いも新たに再構築されている。

恐らく、観客に迎合もした選曲だっただろうし、ハードバップ〜モード期の名曲が、エレクトリック・マイルスのビートをバックに「どう変わるのか」、それを体験したかったこともあったと思われる。でも「凄い」内容なんですよ、これが(笑)。決して、マイルスは過去を振り返ってはいない。3曲目「Milestones」、4曲目「Footprints」、5曲目「'Round About Midnight」の怒濤のような、高密度、かつフレシキブルな演奏内容が、それを物語っている。

マイルスは、1960年代のフリージャズ全盛期にも、全く「フリージャズ」には見向きもしなかった。確かに、このライブ盤を聴くと、その必要は全く無かった、と確信できる。なにも感情のおもむくままに吹くことが「フリーな演奏」では無い。与えられたスペースの中で、どれだけインプロビゼーションとして、ビートとして、幅広に奥深く柔軟に、かつ臨機応変に演奏し尽くせるか、が「フリーな演奏」だろう。

このメンバーでの演奏は、「ロスト・クインテット」と呼ばれ、正式なスタジオ録音盤を残していない。過渡期の演奏とも言われる。でも、このライブ盤を聴く度に、このメンバーでの演奏の成果は、過渡期のものでは無い。Dave Holland (b) Jack DeJohnette (ds)のリズムセクションのビートは、この時点で完成している。その完成された「一つの到達点であるビート」をバックにした、マイルスのペットとコリアのエレピは、これまた一つの頂点を迎えている。

凄い内容の、凄い密度の、凄い自由度のライブ演奏です。初めて聴いた時は、その内容にビックリして、暫く開いた口がふさがりませんでした(笑)。その凄まじい内容は、決して、ジャズ者初心者の方には、決してお勧めできませんが、ジャズ者中級者の方々にはマストでしょう。このライブ盤を聴いた方が、「フリー・ジャズ」の概念が、間接的かつ客観的に理解できると思います。 
 
 
 
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