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2010年6月30日 (水曜日)

マイルスとギルのコラボ・その1

うむっ、日本代表、天晴れ「善戦」。パラグアイに引き分け。よく戦った。いろいろ、将来に向けて含蓄のあるゲームだった。PKは仕方がない。PKはゲームではない。PKはサッカーではない。今回のサッカーWCは実りある、印象に残る、明日を感じることの出来る「サムライ・ブルー」の活躍だった。

さて、最近、マイルス・デイヴィスの聴き直しをしている。最近、聴き込んでいるのが、マイルス・デイヴィスとギル・エバンスとのコラボレーション。『Miles Ahead』『Porgy And Bess』『Sketches Of Spain』『Quiet Nights』の4枚がマイルスとギルのコラボの代表的な成果。どのアルバムも、ギルの優れたアレンジと指揮の下、マイルスのペットだけが映えるように仕掛けられた素晴らしい演奏集になっている。

で、僕がこのマイルスとギルのコラボの代表的な成果4枚の内、初めて耳にしたのが『Quiet Nights』(写真左)。まだまだジャズ者初心者駆け出しの頃、なぜかこのアルバム・ジャケットのデザインが僕に対して「おいでおいで」をしていた。なぜかこの『Quiet Nights』を思わず購入。

針を落としてみて、冒頭の「Song No. 2」のマイルスのペットが、リリカルで可愛い。実に愛らしいフレーズの連発。バックのジャズ・オーケストラとのユニゾン&ハーモニーは、ギル・エバンス独特の「音の重ね方」。そのギル独特のアレンジをバックに、マイルスのペットが格好良く映える。

冒頭の「Song No. 2」から、アルバム全体の曲想は「ボサノバ」。このアルバムは1963年のリリース。ジャズ界はボサノバ・ブーム真っ只中。マイルスもそのブームに乗ったか。まあ、レコード会社の要請にのって、ちょっと「ボサノバやってみました」って感じだったのだろう。

Miles_quite_night

しかし後に、マイルス自身はこのアルバムを評価していない。どうも想定した音楽成果のレベルにまで到達しなかったとういうことらしい。マイルスはこの音源のアルバム化に反対。しかし、プロデューサーのテオ・マセロがマイルスの意向を無視してリリースに踏み切る。マイルス怒る。しばらく、プロデューサーのテオ・マセロとは絶縁状態にまで関係が悪化したらしい。このエピソードを初めて目にした時、僕の目は点になった。えっ。これってマイルスにして失敗作なん? ジャズ・アルバム紹介本を見ると、やはり、この『Quiet Nights』の評判はよろしくない。

でも、このアルバム、何回でもリラックスして聴けるんですよね。マイルスのペットのフレーズも音も優しくて明るいし、ギルのアレンジは、ボサノバを単なるボサノバとして聴かせる以上に、クールなジャズとして聴かせるところが実に「粋」である。6曲目の「Corcovado」など、ボサノバの名曲中の名曲だが、決して甘きに流れず、シッカリと硬派なジャズとして、実にクールに演奏されている。

この『Quiet Nights』は、マイルスの美意識が全開で、そのマイルスの美意識をギルがジャズ・オーケストラを使って具現化し、マイルスのペットを引き立てるだけ引き立てています。今の耳で聴いても、マイルスが自ら言うような「失敗作」では無いと思いますが・・・。

まあ、マイルス&ギルのコラボとしては、いわゆる「化学反応」が起こっておらず、単に、普通に優れたアレンジと演奏が素晴らしい、普通にリラックスして聴ける「ボサノバ・ジャズ」アルバムに仕上がっているところがマイルスのお気に召さなかったところかもしれませんね。でも、このアルバムのそこかしこに、マイルス&ギルのコラボしか為し得ない、独特の「音のトーン」を聴くことが出来て、それはそれは素晴らしい響きです。

マイルスには悪いのですが、僕はこのアルバムが今でも好きです。リラックスしつつマイルスのペットを聴くことの出来る、また、ギルのアレンジ&指揮の「魔術」を随所で体験できる「優れもの」だと思います。 
 
 
 
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