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2010年6月24日 (木曜日)

これはマニア御用達でしょう

パット・メセニーは、僕のお気に入りである。今から遙か30年以上前からの「お気に入り」。あの独特のフォーキーで、アメリカン・ルーツ・ミュージック的でネイチャーな響きのギターが大好きである。パットのアルバムはほとんど所有している。どのアルバムを聴いてみても、パットの素晴らしさは変わらない。

で、ある。今年の1月、新しいパット・メセニーのアルバムがリリースされた。今回のリリースは、パットの単独名義。単独名義のパットと言えば、オーネット・コールマンの傾倒し、かなり、フリー・ジャズよりのハードなアルバムをリリースし続けてきたので、今回もかなりハードな内容なんだろうな、と想像していたのだが・・・。今回のパットの単独名義の新アルバムは『Orchestrion』(写真左)。タイトルの「Orchestrion(オーケストリオン)」とは何か。Wikipediaを紐解くと、

「オーケストラやバンドのような音を奏でるよう設計された音楽演奏機械の総称。手回しオルガンのようなピンの突き出た大きな円筒や連続紙またはロール紙型のパンチカードを使って操作される。基本的にはパイプオルガンのようにパイプで様々な音を発生させるが、打楽器も空気圧で操作する。また、ピアノや弦楽器を含むオーケストリオンもある。オーケストリオンはジャズが流行した1920年代のドイツで、最も広く使われていた」

とある。う〜ん、なんなんだこれは。アナログ的な「打ち込みマシン」とでも表現したら良いのか。下の写真、パットのバックにある、カラクリ仕掛けの様なものが「オーケストリオン」。この、20世紀初めより、古くからあるこの「オーケストリオン」を現代技術で再生〜向上させ、現代音楽で十分通用するレベルまで、その機能を飛躍的に弾き上げたものを、今回のパットは「バックバンド」として採用してます。

Orchestrion

この最新式の「オーケストリオン」を活用し、アナログ的な「打ち込みマシン」として、生楽器の自動演奏担わせ、パット・メセニーがフロントで、心ゆくまでギターをプレイするという、奇抜な内容のアルバムが、このアルバムです。

しかし、なあ。このアナログ的な打ち込みマシンである「オーケストリオン」を活用して、ソロギターのアルバムを製作することに、何か意味があるんだろうか。う〜ん、きっとパットはやってみたかったんでしょうね。少なくとも、アーティスティック面では「意味が無い、意味が見いだせない」と思います(笑)。それでもパットはやってみたかったんでしょうね。パット自身も「子供の頃の夢」とライナーで語っています。

きっと、子供の頃に見た「オーケストリオン」。確かにその姿は、アナログ的な感性を持つ我々の世代からすると、実に魅力的な姿をしています。楽器というよりは「化学実験室」のような風情。マッド・サイエンティストが出てきそうな、そんなコッテコテなアナログチックな雰囲気。ジャズはやはりアナログが良い。アナログ回帰。そんな言葉が聞こえてきそうです。

Patmethenyorchestrion

「オーケストリオン」はカラクリ人形の様な音楽演奏機械なので、さすがに、細かいニュアンスや複合リズムやチェンジ・オブ・ペースという面では、人間の手なる演奏に敵うはずもない。60分以上も聴き続けると、さすがに「オーケストリオン」のバックバンドのリズム&ビートには飽きてきます。やはり、バリエーションが足らない(笑)。

それって、パットは最初から判っていたと思います。それでも「やってみたかった」(笑)。この『Orchestrion』というアルバムは、パットの個人的趣味性のかなり高いアルバムだと思います。「オーケストリオン」をバックに弾きまくるパットのギターは、徹頭徹尾、どこから聴いても「パットの個性」が満載です。が、さすがに好きに弾きまくっているので、キャッチャーなメロディーや印象的なフレーズ、リフは影を潜めています。

それでも、パットはやってみたかったんでしょうね。このアルバムはパットの「マニア御用達」。パットらしいギターのトーンが詰まっているので、パットのギター・フレーズが堪能できますが、何もバックバンドが「オーケストリオン」である、このアルバムを選ぶ必然性はありませんね。

他に、パットのギターを堪能できるリーダー作は沢山あります。このアルバムは、パットのマニア御用達。「オーケストリオン」をバックに無邪気に喜々として、ギターを弾きまくるパットは、パットのマニアにとってはたまりません。パットの趣味性の高い、マニア向けのアルバム、と私は評価しています。構えて聴くには「オーケストリオン」のビート&リズムがイマイチ過ぎるんですが、パットのギターを気持ち良く聴き流すには最適なアルバムのひとつではあります。 
 
 
 
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