新しいジャズも聴けば心地良し
ジャズは今も活きている。どんどん新人は出てくるし、新しいアルバムもリリースされ続けている。私の周りではジャズ者はいないので、そんなに新人が出て、そんなに新しいアルバムがリリースして、聴くファンがいるのかしら、と時々不思議になるのだが、世界的に見て、まだまだジャズは活き続けている。
過去のジャズ・ジャイアンツをはじめとする、歴史的遺産である名盤、佳作を愛でることは、ジャズを理解し、ジャズを知る上で必要ではあるが、現在でもジャズは活きている。やはり、新しいジャズも聴かないと、ジャズ者としてのバランスを欠くことになるのでは無いか、と常々自戒している。
新しいジャズも聴けば心地良し。最近、息抜きというか、リラックスしてジャズを聴きたい時に、CDトレイに良く載るアルバムがある。Soulive(ソウライヴ)の『Rubber Soulive』(写真左)。2010年3月のリリース。ビートルズ解散40周年記念ということで、ビートルズの名曲カヴァーのみで構成したコンセプト・アルバムである。
ソウライヴ(Soulive)はアメリカニューヨーク州ウッドストック出身の、ギターの Eric Krasno (エリック・クライズノー)、ドラムの Alan Evans(アラン・エヴァンス)、キーボードの Neal Evans(ニール・エヴァンス)によるジャズ・バンド。1999年のデビュー。2000年秋に老舗ジャズ・レーベルのブルーノート・レコードと契約、2009年にはインディーズ・レーベルに移り、既に12枚のオリジナル・アルバムをリリースしている。
彼らのバンドの音と形態は、ジャム・バンドともジャズ・ファンク・バンドとも評される。どうもピンと来ないが、シンプルに言うと、1950年代後半よりブルーノート中心に育まれてきた、ジミー・スミス〜リューベン・ウィルソンといったオルガン・トリオの後継者である。演奏曲によっては、とことん俗っぽくなるところ、コテコテなファンキーが過ぎてオーバーファンクになるところも、正しきオルガン・トリオの後継者と言えるだろう。
そんなSouliveがリリースしたビートルズの名曲カヴァー集『Rubber Soulive』、単純に言って「聴いていて楽しい」アルバムである。このオルガン・トリオの演奏に難しい理屈をつけても仕方あるまい。とにかく、ビートルズの名曲をソウル、ファンクのアレンジでSoulive風に仕上げているところが個性的で聴き応えがある。アレンジや展開にそれぞれ異論もあるだろうが、全編通じて、とても楽しいビートルズ・カバー集である。ちなみに収録曲は以下の通り。
1. Drive My Car
2. Taxman
3. In My Life
4. Eleanor Rigby
5. I Want You (She's So Heavy)
6. Come Together
7. Something
8. Revolution I
9. Help!
10. Day Tripper
11. While My Guitar Gently Weeps
12. She Came In Through The Bathroom Window
曲名を眺めていて面白いのはジョンの曲が多くを占めること。次いでジョージ、そしてポール。ジョンの曲が意外にブルージーで、ジャジーなアレンジに耐える楽曲が多いということだろう。ジョージの曲も同じ事がいえる。逆に、ポールの楽曲はちょいと違和感がある。ポールの曲は、決してファンキーなアレンジには乗らない、ということなんでしょうね〜。
とにかく、ビートルズの楽曲のカバーをSoulive自体が難しく考えていないのが良いですね。アレンジは至ってシンプルです。ビートルズの楽曲はそれぞれ楽曲単体で完成度が高いので、捻ったり意外性を求めてアレンジすると、その苦労の割に思い切り「すべったりする」のですが、このアルバムは及第点。
新しいジャズも聴けば心地良し。松和のマスターは、バーチャル音楽喫茶『松和』で、こんなアルバムも気分転換にかけたりするんですよね〜。先にも書きましたが、このオルガン・トリオの演奏に難しい理屈をつけても仕方あるまい。ジャズは大衆音楽。まずは自分がリラックスして聴けて、楽しいなあ、と思えることが第一ではないでしょうか。
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