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2010年6月11日 (金曜日)

Good News from Africa

さあ、W杯である。南アフリカ大会。1970年、メキシコ大会のベッケン・バウワーに感動してから、長年、W杯を見てきた。意外とオールドファンの松和のマスターである。

さて、今回は南アフリカ大会。南アフリカ出身のメジャーなジャズ・ミュージシャンはいるのか? これがいるんですよね。1934年10月9日、南アフリカのケープタウンに生まれたダラー・ブランド(Dollar Brand)。イスラム教に改宗して、イスラム名は、アヴドゥラー・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)。

ジャズ・アルバムの紹介本に、よく登場するのが、ソロ・ピアノの名盤、ダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』。実は、このアルバムばかりが紹介されるので、ダラー・ブランドって「一発屋」と誤解しているジャズ者の方もいるが、それは「違います」。現在でも、バリバリ現役のベテラン・ジャズ・ピアニストとして活躍しています。

『アフリカン・ピアノ』は、ECMレーベルからのリリースであったが、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの傑作は、1970年代のEnja(エンヤ)レーベルに存在する。この事実は、何故か日本のジャズ・シーンでは正しく伝わること無く、ECMの『アフリカン・ピアノ』だけが紹介される不思議な事実。意外と、日本のプロのジャズ者の方々は、ジャズ者としての良心に欠けるのかもしれない。

今回、ご紹介する『Good News from Africa』は、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの代表盤である。Johnny Dyaniというベーシストとのデュオなのだが、ドラムの代わりに、様々な種類のパーカッションが効果的で、どうしてどうして、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの個性が最大限に発揮された、実に聴き応えのあるアルバムである。
 

Goodnews_fromaflica

 
冒頭の「Ntsikana's Bell」が、このアルバムの全てを物語る。いきなり出てくる、アフリカ民謡の様な、土着感溢れる、アーシーなスキャットが、もう既にドップリと「アフリカ」である。アフリカは黒人のルーツ。ジャズは黒人の音楽。アフリカの土着音楽を効果的に取り入れながら、続いて出てくるダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムのアーシーでフォーキーなピアノ・ソロ。雰囲気は「アフリカ」。アフリカのフォーキーな雰囲気、アーシーな左手のビート。そして、演奏のボトムをしっかりと支え、ピアノに絡むベース。

アフリカの民俗音楽の要素を巧みに取り込みながら、左手の低音をメジャーな響きで活かしながら、ピアノの右手が実にアーシーでフォーキーな旋律を紡ぎ上げていく。アフリカの音を基軸にしながら、上質のジャズ・ピアノ+ベースのデュオを歌い上げていく。収録されているどの曲にもアフリカの音の香りがプンプンと漂っている。そして、ガーン、ゴーンと強烈な左手のアーシーなビート。実にアフリカンな展開に自然と心がポジティブに揺れ動く。

特に、このポジティブさが、このアルバムを傑作、名盤の類に昇華させている。演奏はシンプルで、何も難しいことをしていないけど、左手の強烈なビートと右手のアーシーでフォーキーな旋律。展開が実にオープンで、正の方向に拡がっていて、なんだか、そこはかとなく「幸福感」を感じることの出来る、アフリカンな展開。これぞ、アフリカン・ジャズってな雰囲気に、本当に心から音が素直に入ってくる。

しかもタイトルが『Good News from Africa』。良いタイトルではないですか。アルバムリリースは、1973年。アフリカ独立ムーブメント真っ只中。『Good News from Africa』のタイトルに、アフリカ出身のミュージシャンの願い、想いを強烈に感じる事ができる。ジャケット・デザインもなかなかの印象。良いアルバムです。

強盗、盗難のニュースばかりが入ってくる、W杯開催国である南アフリカ。悪いニュースばかりでは淋しすぎる。今一度、南アフリカには頑張って欲しい。そして、『Good News from Africa』を聴きながら、「Good News from Africa」を心待ちにしている松和のマスターである。
 
 
 
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