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2010年6月 6日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・15

実に爽やかな初夏の一日。今日の気候こそが「初夏」と叫びたい位の「初夏」のイメージにピッタリの一日。日差しは強く、日向を歩けば暑い。でも、日陰に入ると、南風は乾いていて涼しい。う〜ん、子供の頃の「初夏」って感じの今年の6月上旬。今年は天候不順とか言われているが、今日の気候を振り返ると、不謹慎にも「そうでもないのでは」なんて思ってしまう。

さて、今日は「ピアノ・トリオの代表的名盤」の第15回目。今日は、ちょっと新しい、現在のピアノ・トリオにつながる音をご紹介します。Chick Corea(チック・コリア)の『Chick Corea Akoustic Band Alive』(写真左)。1991年のリリース。パーソネルは、Chick Corea (p) John Patitucci (b) Dave Weckl (ds)。

1991年のリリースなので、1970年代のフュージョン時代、そして、1980年代の純ジャズ復古の時代、そんなジャズ激動の時代を経験して来た、ジャズ界のピアノの巨匠チック・コリアと、そんなジャズ激動の時代に台頭してきた若手有望ミュージシャン2人の組合せ。これが、まあ、1940年代からジャズ界に存在している「ピアノ・トリオ」というフォーマットに対して、新しい雰囲気を提供してくれている。そんなところが「聴きどころ」である。

1991年の録音、しかも、チック以外の若手二人は、1980年代、ジャズ激動の時代に台頭してきたミュージシャンである。1950年代から1960年代のハードバップ全盛時代、ファンキー・ジャズ全盛時代のサウンド、ビート、リズムがでないのは当たり前と言えば当たり前。それでも、この「Chick Corea Akoustic Band」を評して、4ビートで無いだの、スイングしていないだの、アナログ的な音でないだの、なんだか旧来からのベテランジャズ者のアマチュア評論家の方が、なんだかんだ、とウルサイのだが、それについては、今回、無視させて頂く。

このバンドはスイングしていない、というのは見当違いも甚だしいのだが、このChick Corea Akoustic Bandは、しっかりとオフビートした、スピード感あるビートを供給しているので、うっかり聴いていると、そのスピード感についていけないと、ビートを見失う恐れがある。1970年代ロック、フュージョンを体験的に経験してきたジャズ者の方々は、決して、そのスピード感ゆえに、ビートを見失うことは無いが、1960年代までのジャズのみを経験して、そこで止まっているベテランジャズ者の方は、このChick Corea Akoustic Bandの疾走感溢れるビートに置いていかれる危険性が高い。

Dave Wecklのドラミングは、1960年代後半から現れ出でたニュータイプのドラマー、ジャック・デジョネット、トニー・ウイリアムス、そして、スティーブ・ガッドなどと同じ、メリハリの効いた芸人的な大向こうを張った、絵に描いた様な意図的なスイング感を抑制し、疾走感溢れるシンプルなオフビートを供給するだけで、他の楽器に更なる自由なインプロビゼーションのスペースを与える、フュージョン畑、ロック畑から吸収した要素を上手くジャズに反映させた、従来のジャズ・ドラミングと一線を画す、新しいビートの担い手としての「新しいタイプ」のドラミングです。
 

Cc_akousticband_alive

 
このドラミングを「スイングしていない」の一言でバッサリ切り捨てるアマチュア評論家の人もいますが、それは明らかに個人的な趣味と個人的な感覚を最優先した、無責任な評論なので、ジャズ者初心者の方々は決して惑わされないようにね。

1980年代以降、純ジャズ復古の時代以降、新しく出てきたピアノ・トリオのアプローチの先進的な「プロトタイプ」的な演奏がここにシッカリと詰まっています。さすが、時代の音の先駆者、牽引者の一人、チック・コリアの面目躍如である。

1曲目の「On Green Dolphin Street」を聴いて欲しい。美しいピアノの前奏を聴けば、しっかりと「これはチックのピアノである」ということが明確。実に個性あるピアノ。そして、超有名なスタンダード・ナンバー「On Green Dolphin Street」のテーマが奏でられ、一気に視界が広がるような、オープンな展開が素晴らしい。この「On Green Dolphin Street」は、僕の大のお気に入りなスタンダード。こんなに美しく硬派に、テンション張って、テクニック高く、歌心を程良くコントロールした、シンプルな「On Green Dolphin Street」は、なかなか聴けるものでは無い。

チックのピアノ・トリオは、ソロ・インプロビゼーションにふんだんにスペースを与えることが特徴だが、ここでもソロにふんだんにスペースを与えている。そんな理想的な環境の中、原曲のイメージを残しながら、3人のインタープレイが非常にスリリング。疾走感溢れるスリリングなインタープレイ。その確かで卓越したテクニックと才能として身についた歌心。いやはや、実に先進的で美しいインタープレイの応酬である。

2曲目の「Now Deep Is The Ocean?」以降、チックの人気曲「Humpty Dumpty」が実に美しく、硬派にジャズを奏で、エリントン・ナンバーの「Sophisticated Lady」のアレンジの素晴らしさに舌を巻き、5曲目の「U.M.M.G.」の疾走感溢れる硬質硬派な演奏にのけぞり、「'Round Midnight」「Hackensack」で、もはやノックアウト状態、8曲目の「Morning Sprite」のダイナミックな展開にて、心から感動し、そして、ラストの「La Fiesta」の突入。

この「La Fiesta」は、チック・マニアの僕としては、「全面降伏的な」名曲名演で、今回は、かなりデフォルメしているが、それでもこの曲の素晴らしさは薄れるどころか、逆に新しい魅力を発見したりする、実に奥が深い名曲名演である。はは〜っ、ラストの「La Fiesta」には、ただただ、ひれ伏すばかりである(笑)。
 
1970年代以降の純ジャズ的演奏、コンテンポラリーな純ジャズ演奏については、自分の耳で確認して、自分の耳で判断する、そんな当たり前のことが重要になります。ジャズ本の評論については、この時代の演奏になると、自分の主観で評価する評論家が実に多くなります。客観的な評価が伴わない分、自分で確認するしかない、ということになります。

今回、ご紹介した『Chick Corea Akoustic Band Alive』がそうでした。古くからのジャズ者評論家の方々からは、結構評判が悪かったですね〜。でも、僕は、たまたま、チックのディープなマニアなので、そんな悪評など気にせず、発売日に手にして、即一気聴きです(笑)。そして、自分の耳で確認して、自分の耳で判断する、そんな当たり前のことの大切さを、初めて思い知りました。これからは、他人の評価は参考程度にしよう、と・・・。  
 
 
 
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