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2010年5月31日 (月曜日)

フュージョンをなめてはいけない

フュージョン・ジャズと言えば、なんだか評判が良くない時代が続いた。大流行した時、あれほど皆、喜んで聴いていたのに、メインストリーム・ジャズ復古の波が押し寄せてきて、皆、懺悔を始めた。「あれは一時の気の迷いでした。フュージョンはジャズではありません」(笑)。

 

確かに、厳密に言うと、フュージョンというジャンル言葉の一言で括られたアルバムの中には、ジャズと呼べないものもありました。でも、基本はジャズです。電気音楽を使っただけで、スタジオ・ミュージシャンが演奏しただけで、フュージョンは駄目だ、というのは言い過ぎかと思います。まあ、とにかく、フュージョンはジャズじゃない、という評論には、しっかりとした論理的裏付けがあるものは皆無です。皆、かなり感情に流されているものばかり(笑)。

さて、フュージョン・ジャズの中で、僕にとっての永遠のお気に入りなグループがある。その名は「Stuff 」。このバンド、そうそうたるメンバーだった。今までのジャズには決してない、8ビート基調のスインギーなビートを叩き出すスティーブ・ガッドのドラムに乗って、クリストファー・パーカーのパーカッションが、そのビートに彩りを添え、こてこてにメロウで、あまりにファンキーな、リチャード・ティーのキーボードが圧倒的な迫力で飛翔し、コーネル・デュプリーがカラリと、エリック・ゲイルがウェットにギターを泣かせ、ゴードン・エドワーズのベースがブンブンと迫る。

そんな「スタッフ」の真骨頂はライブで発揮される。スタッフのライブと言えば3種類にある。日本でしか発売されなかった『ライヴ・スタッフ』、最近突如リリースされた『ライヴ・アット・モントルー 1976』、しかし、この2枚はスタッフのオフィシャル盤では無かった。一枚は日本限定、一枚は、最近発掘されたもの。特に日本限定の『ライブ・スタッフ』は、スタッフはドラムがスティーブ・ガッドとクリス・パーカーのツイン・ドラムの構成が正式であるが、 このアルバムではクリスが病気のため参加していない。
 

Stuff_live_in_ny_2

 
オフィシャル盤としては、スタッフのホームグラウンドであるN.Y.でのライブがある。その名も『Live in New York』(写真左)。彼らのお膝元、N.Y.のライブハウス「ミケールズ」でのライブ演奏を収録している。このライブ盤だけが、スタッフのメンバー6人が揃ってのライブ盤となっている。

さすがに、ホームグラウンドのライブだけに、その演奏内容は素晴らしい。というか凄まじい。フュージョンってムーディーな「ソフト&メロウ」なんでしょう、なんていう輩には、このライブ盤を聴かせている(ちょっと大人げ無いか・笑)。重心の低い馬力のある音の迫力、バンドが生み出す低音がうねるようなビート、洗練されたファンキーなフェンダー・ローズの響き、リズムに専念特化したデジタル・パルスの様なドラム。どこを切ってもスタッフ、スタッフの金太郎飴的なライブ盤です。

スタッフの大ファンであるが故の、このアルバムに対しての苦言は、フェードアウトしてしまう曲が多いこと。その点は実に残念だ。それは、このアルバムがリリースされた時代は、LP時代で収録可能な演奏時間が、今のCDに比べて圧倒的に短かったのだから仕方なかったんだ思っている。なので、音源が残っているのであれば、完全盤としてフェードアウト、編集無しのフル音源でリイシューして欲しいですね。このライブの音源をフル音源で聴いてみたい、そんな気持ちを強くさせる、スタッフの素晴らしいライブ盤です。

フュージョンをなめてはいけない。フュージョンを侮ることなかれ。どんな音楽ジャンルにも、優れた演奏は、優れたミュージシャンは存在する。流行が過ぎ去って、なんだか訳の判らない自己反省して、全面的に「あれは一時の気の迷いでした。フュージョンはジャズではありません」と粛正するものではないでしょう(笑)。このスタッフの『Live in New York』を聴いて、改めて強く思いました。 
 
 
 
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