楽しい「トロンボーンな」アルバム
我が千葉県北西部地方。今日は朝から雨雨雨。鬱陶しいことこの上無し。風邪をこじらせて、まだ本調子でない上に、このジトジトと降る雨。なんとなく体調も優れない。
こんな時は、単純に、判り易くて、聴いていて楽しい、明るい雰囲気のアルバムが欲しくなる。Super Trombone(スーパー・トロンボーン)というグループのアルバムを選択。スカッと晴れた感じが欲しいので、「Captain Caribe(キャプテン・カリブ)」が収録されている『Take Five』(写真左)を聴く。
スーパー・トロンボーンというグループは、1995年にNYCにて結成。この『take Five』は、2000年に録音された、彼らの第3作目にあたる。全曲David Matthews(デビッド・マシューズ)のアレンジ。確かに、アルバム全編に渡って「マシューズおじさん」の音回しの雰囲気が満載(笑)。
4トロンボーン + 3リズムという編成から成るスーパー・トロンボーン、ちなみに、パーソネルは、トロンボーン4人が、Jim Pugh, Dave Bartgeron, Ray Anderson, Dave Taylor。リズム隊は、Jeff Ballard (ds), Bill Mays (p), Chip Jackson (b)。
昔々、中学生の頃、ブラスバンド部に所属していて、トロンボーンを実際に吹いてみたことがある。スライドという管を前後に出し入れすることで音程を変化させることができるので、それぞれのキーのポジショニング取りが難しい。絶対音階を持っていないと辛いかも。しかも、スライドを高速に操らないと、当然、速いパッセージを吹ききることは出来ない。
トロンボーンの音域は成人男性の声域に近い。またスライドによって音程をスムーズに調整できる事から得られるハーモニーの美しさなどから「神の楽器」といわれ、教会音楽に重用された。古くからミサにおける聖歌の合唱等の伴奏楽器に使われている (出典 : Wikipedia)。トロンボーンという楽器の歴史は古い。
そんなトロンボーンをフロントに4本据えたスーパー・トロンボーンというグループ。実にマニアックな音の響きが実に面白い。このアルバム『take Five』では、ディジー・ガレスピー、ホレス・シルヴァーからボズ・スキャッグスまで、旋律が印象的で、純ジャズからフュージョンまで、多彩なスタンダード・ナンバーを中心に演奏されており、トロンボーンのソロも他のアルバムに比べて落ち着いているので、聴き易い。
ただ、トロンボーンという、ある意味、特殊な楽器であり、そんな楽器のスーパー・テクニシャン達が繰り広げるソロ合戦は、そのアンサンブル、ユニゾン、ハーモニー、それぞれにかなり癖があって、一般のジャズ者初心者の方々には、敢えてお勧めする内容では無いかもしれませんね〜。速いパッセージの展開に相当なテクニックが必要なので、サックスやペットの様な、駆け上がるような速いパッセージは望めません。そこがどう感じるかによります。
ノリの良いフュージョン・スタンダード「Captain Caribe」、ホレス・シルバーのファンキーチューン「Song For My Father」、爽快感・開放感抜群のボズ・スギャックスの名曲「We're All Alone」がお気に入りです。良いアレンジ、良いアンサンブル、良いソロ・インプロビゼーション。トロンボーンという楽器の魅力を存分に楽しめます。
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マスター始めまして。
コロンビアをお願いします。
店の前をいつも通り過ぎていくんですよ。特にビルエバンスの棚はよく読みかえさせてもらってますが今日は入ってみました。
スーパートロンボーンいいですよね。私も中・高・大学・一般バンドと12年あまりトロンボーンを吹いていたんです。高校時代は2度普門館のステージに立ったこともあるんですよ。
スライド楽器の特性で早いフレーズは確かにきつい時もあります。でもブログにあるとおりハモった時の感覚はやった人間じゃないと、いえ、聞いてくれてる人にも音だけで鳥肌を立たせることができますもんね。
奏者はマスターと同じくカーティスフラー…ブルースエットやサウスアメリカンクッキンは何度聞いたか(ちなみにトミーフラナガンを知ったのも彼のアルバムからなんですよ)
クラッシックならブラニミールスローカー…衝撃でしたね。そうそうジョンアイブソンは高2の夏の来日公演(新宿厚生年金)で聞いてアンサンブルに目を向けさせてくれました。
マテリアルとしてのトロンボーンには確かに限界があるところ、分かります。
でも、いろんなコンボにフィットする能力があるのもこの楽器の魅力ですよね。
すいません。自分のことも含めて長々と。
また、寄らせてください。
(ムーンビームスを聞きながら)PM21:09
投稿: 澤田 | 2010年5月24日 (月曜日) 21時10分
初めまして、こんばんは、澤田さん。松和のマスターです。
はい、コロンビアですね、とびきり良い豆が入ってますからね。
少々お待ちを・・・(笑)。
トロンボーンという楽器は実際に吹いたことがあるか無いかで、
その演奏を聴く印象や評価が大きく変わる楽器だと思っています。
そういう意味では、澤田さんの耳は絶対に確かですね。
トロンボーンの音域は成人男性の声域に近いとあって、出す音が
ごまかせない。そして、聴き馴れた音域だけにストレートに出す
のが実に難しい。そんなトロンボーンを自由に操って、旋律を
吹き上げていくプロの演奏家の力量には、ほとほと心から感心
していまいますね。
トロンボーンの音の響き。ほのぼのとしていて力強い。聴いていて
惚れ惚れすること、しばしば、です。
投稿: 松和のマスター | 2010年5月25日 (火曜日) 20時47分