夜の静寂に、就寝前の一時に
ジャズのアルバムは、本当に多岐に渡って、それぞれのアルバムが独特の雰囲気を持っている。そして、その独特の雰囲気を持っているアルバムが名盤と呼ばれたり、隠れた佳作として、密かに愛聴されるアルバムであったりする。
さて、松和のマスターの私が、夜の静寂、就寝前の一時、一日を振り返りながら、ちょっとした小説を読みながら、バックで流すアルバムが幾枚かある。ギターの音を聴きながら、一日を振り返りたい。そんな時、バックで流すアルバムが、Wes Montgomery(ウェス・モンゴメリー)の『A Dynamic New Sound』(写真左)。
正式名称は『The Wes Montgomery Trio』 (Riverside RLP 12-310)。ちなみにパーソネルは、Mel Rhyne (org) Wes Montgomery (g) Paul Parker (ds) 。1959年10月5日の録音。Wes Montgomery以外、無名と言えば無名。でも、演奏技術は確かな、オルガン=ギター・トリオである。
このアルバム、オクターブ奏法を引っさげたジャズ・ギターの天才、ウェス・モンゴメリーのアルバムなんだが、収録曲を見渡すと、それはそれは、「どスタンダード」と呼んでも良い、絵に描いた様な、大有名なジャズ・スタンダード曲が満載である。収録曲は以下の通り。
1. 'Round Midnight
2. Yesterdays
3. End of a Love Affair
4. Whisper Not
5. Ecaroh
6. Satin Doll
7. Missile Blues
8. Too Late Now
9. Jingles
1曲目の「'Round Midnight」、2曲目の「Yesterdays」、4曲目の「Whisper Not」、6曲目の「Satin Doll」などを見ると、敢えてこの曲を演奏するの〜、なんて思ったりする。しかし、この「どスタンダード」の演奏が、実にしっとりとしていて、実に心地良い雰囲気を提供してくれるのだ。
恐らく、オルガン=ギター・トリオという構成がそうさせるのだろう。明らかに、ブルージーでジャジーで、ミッドナイトな雰囲気が濃厚なのだ。オルガンの音が、ちょっと気怠く、ちょっとアンニュイ。それでいて、一本筋の通った硬派なギターソロ。そして、しっかりとさり気なく、全体を整え、全体を引き締める、そこはかとなく響くドラム。
夜の静寂、就寝前の一時、一日を振り返りながら、ちょっとした小説を読みながら、バックで流すアルバムに最適な一枚。逆に言うと、ジャズ喫茶では決して流すタイミングの無いアルバムと言えます(笑)。
アルバム全体を通じて、やはり主役のWes Montgomery(ウェス・モンゴメリー)のギターが全てです。必殺のオクターブ奏法は、まだまだ多用していませんが、ここぞ、と言う時に、実に効果的に、必殺オクターブ奏法が「炸裂」しています。これまた、そこが聴きどころでもあります。
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