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2010年5月18日 (火曜日)

「やるもんだ」が懐かしい。

ハンク、サド、エルビンのジョーンズ3兄弟の長男であるハンク・ジョーンズ。長男らしい、実に落ち着いた雰囲気の、実にウィットに富んだ、ジェントルマンなジャズ・ピアニストでした。ライブで2度ほど生ハンクを体験しましたが、実に紳士的で、落ち着いたエンタテインメント性を振りまく、絵に描いた様な正統派ジャズマンでした。

Hank Jones『Bop Redux』(写真左)。1977年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), George Duvivier (b), Ben Riley (ds)。今は亡きミューズ・レーベルに録音した隠れたトリオ名盤。今日一日、ハンクの追悼。中でも今日はこのトリオ盤を堪能しました。パーソネルを見ただけで、このピアノ・トリオ盤には触手が伸びますよね。

このアルバムでのハンクは「自然体のハンク」です。スイング寄りの中間派ピアニストとして、実に端正で、実に力強いタッチと繊細な表現、ダイナミックな展開と、絵に描いた様なハードバップなピアノ・トリオを聴かせてくれています。

冒頭1曲目の「Yardbird Suite」のハンクが奏でるテーマを聴くだけで、もうこのアルバムは「当たり」であることを確信します。とにかく、実にジャズしているんですね。ドラムとベースの入りもバッチリ。この「Yardbird Suite」という、ビ・バップ時代の名曲を「自然体のハンク」が料理していく様は、実に圧巻です。ハンクに特徴的な「分かりやすい」フレーズがビシビシ決まりまくっています。

このアルバムに収録された曲を見渡すと、実に良いですね〜。ビ・バップ時代の名曲を、それもパーカーとモンクのものをチョイスしているところが泣かせる。何の変哲もない自然体のジャズがここにあります。
 

Hank_bopredux

 
特に、3曲目の「Ruby, My Dear」が美しい。バラード調で静かに流れるように、ゆったりと紡ぎ上げられていく「Ruby, My Dear」は、珠玉の宝石のよう。静かなタッチなんですが、ハンクはしっかりと鍵盤を最後までグッと押しているらしく、静かなタッチ、静かな音の中にしっかりと芯が通っているんですよね。それがしっかりと判ります。

これって、ピアニストにとっては、結構難しいテクニックなんですよね。ロマンティックなバラッドに仕上げの中に、硬派な芯の入ったピアノの流れるような、仄かに煌めくようなピアノの音。名演です。

そして、6曲目の「'Round Midnight」も同様に、ゆったりと紡ぎ上げられ、仄かに煌めくハンクのタッチは絶品です。しかも、判り易い展開。難解と言われるセロニアス・モンクの楽曲が、こんなにも心地良く、判り易く響くとは・・・。う〜ん、素晴らしい。

パーカーの曲、1曲目の「Yardbird Suite」や2曲目の「Confirmation」、7曲目の「Moose the Mooche」などは、転がるような疾走感溢れる、明るくポジティブな展開。バップ・ピアノ風に弾きまくるハンクは実に楽しそう。溌剌とした、絵に描いた様なバップ・ピアノに、自然と思わず足がビートをなぞり、思わず指でリズムを取る。なんと判り易いピアノ・トリオな演奏なんだろう。

このアルバムはお勧めです。ジャズ者初心者の方々もベテランの方々も、ピアノ・トリオが好きな人、いやジャズが好きな人であれば、絶対に楽しめる、そしてハンクの素晴らしさが実感できる「至福の名演」だと思います。

この『Bop Redux』を聴いていて、ふと思い出した。ハンク・ジョーンズが出演しいた、PanasonicのCMを。そして、最後にハンクがつぶやく決まり文句「やるもんだ」(笑)。ハンクが亡くなった今となっては、ただただ懐かしい。合掌。
 
 
 
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