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2010年4月 9日 (金曜日)

Weather Reportの音の変遷

昨日から、Weather Reportの『Forecast: Tomorrow』(写真左)を聴いている。ウェザー・リポート衝撃のボックスセット。70年代初めから80年代半ばに、ジャズ界トップに君臨した、エレクトリック・ジャズ・ユニット、ウェザー・リポートの豪華ボックスセット。

特に、Disc 1が味わい深い。ウェザー・リポートの音の成り立ち、ウェザー・リポートの一番輝いていた初期の音世界がギッシリ詰まっている。収録された12曲は以下の通り。

1. In a Silent Way
2. Super Nova
3. Experience in E [Excerpt]
4. Milky Way
5. Tears
6. Eurydice [Full Version]
7. Orange Lady
8. Unknown Soldier
9. Directions [Take 1][#]
10. Surucucu
11. Second Sunday in August
12. 125th Street Congress
 
1曲目の「In a Silent Way」は、作曲者のザビヌルが何て言おうが、マイルスの手柄、マイルスの才能の仕業なんで、ザビヌルの音のルーツとは認め難い。ザビヌルの音のルーツは、キャノンボール・アダレイ・グループの3曲目「Experience in E」。ウェイン・ショーターの音のルーツは「Super Nova」。

このボックス盤での、当初3人のトロイカ体制だった、最後の3人目、ベースのミロスラフ・ビトウスの扱いが不当である。ビトウスの音のルーツを明快にする「音」が無い。

しかし、5曲目の「Tears」以降、「Eurydice」「Orange Lady」「Unknown Soldier」と、ビトウスのベースがあったからこそ、ビトウスの音楽性があったからこそ生まれ出でた名演の数々が、ビトウスが如何に、WRの初期の一番輝いていた音世界に欠かせない存在であったかを、如実に物語っている。
 

Wr_forcast

 
ラストの「125th Street Congress」まで、明らかに、ビトウスのベース、ビトウスの音世界が、初期のWRの音世界をリードしている。ビトウスがいたからこそ生まれ出でたデビューアルバム『Weather Report』、セカンドアルバムの『I Sing the Body Electric』、そして、ザビヌルの残した音世界の遺産を使い尽くした『Sweetnighter』。この3枚のアルバムの時代中心に選曲された「Disc 1」の世界は、ウェザー・リポートの一番輝いていた初期の音世界である。

それが証拠に「Disc 2」の世界からは、リズムセクションのビートがガラリと変わる。シンプルと言えば聞こえが良いが、シンプルと言うよりは「単純」。簡単になったリズムセクションのビートは「つまらない」。そんな「つまらない」ビートに乗ったショーターのソロは、もっと「つまらない」。

しかし、ザビヌルWRはついていた。エレクトリック・ジャズ・ベースの天才中の天才、ジャコ・パストリアスに恵まれる。「Disc 2」の「Birdland」以降、ジャコの加入したWRのビートは、粘りがあって疾走感があり、音の幅が広く、跳ねるよう流れるよう、ドラムのピーター・アースキンのうねりのある怒濤の様なポリリズミックなドラミングと相まって、一聴シンプルではあるが、実に豊かな変化溢れるビートが、ジャコのベースの時代のWRの凄いところ。

それでも、ビトウスのベースが貢献した、ウェザー・リポートの一番輝いていた初期の音世界にはかなわない。純ジャズとしてWRを評価する場合、僕の中でその純ジャズとしての評価が一番高いのは、ビトウスのベースが貢献した、ウェザー・リポートの一番輝いていた初期の音世界である。

このボックス盤『Forecast: Tomorrow』を聴くと、WRの音世界は天才ベーシストが創り出していたことが良く判る。やはり、マイルスの薫陶は素晴らしい。「ジャズの基本はビートである」。その重要とされるビートのトーンを決めるのは、やはりベースである。

ドラムはリズムを決める。ベースはビートのトーンを決める。ウェザー・リポートは、キーボードのザビヌルのバンドでは無かった。天才ベーシストのトーンがリードしたバンドであった。 
 
 
 
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