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2010年4月14日 (水曜日)

マイルス・デイヴィス『Steamin'』

マイルス・デイヴィスのPrestige4部作、有名なマラソン・セッションから生まれ出でた4枚のアルバムであるが、自分としてはどうも、それぞれのアルバムの1曲目のどれが聴きたいか、でその時その時のアルバムを選んでいるような気がする。それぞれのアルバムの1曲目とは、

『Cookin'』:「My Funny Valentine」
『Steamin'』:「Surrey with the Fringe on Top」
『Workin'』:「It Never Entered My Mind」
『Relaxin'』:「If I Were a Bell」

自分の好きな順番は上の様な順番。「My Funny Valentine」・「Surrey with the Fringe on Top」(邦題:飾りのついた四輪馬車)・「It Never Entered My Mind」・「If I Were a Bell」の順である。

一番好きな「My Funny Valentine」が収録された『Cookin'』については、一昨日語ったので、今日は2番目に好きな「Surrey with the Fringe on Top」が収録されている『Steamin'』(写真左)。

まず、「Surrey with the Fringe on Top」の邦題「飾りのついた四輪馬車」が雰囲気良しである。実はそれだけで「ワンポイント・プラス」なんだけど、そこは冷静に語りたい(笑)。この「Surrey with the Fringe on Top」は、マイルスならではハードバップの美学が溢れている。クールでアーティステックでリリカル。適度に抑制された「美しさ」と「ビート」をバックにマイルスのトランペットが映える。

この「Surrey with the Fringe on Top」は、ミッドテンポの実に悠然としたビートに乗って、マイルスならではのハードバップが展開されていて「僕は大好き」。バックのチェンバースのベース、フィリージョーのドラムのビートが良い。マイルスを如何に惹き立てるか、を念頭に若きリズムセクションの二人が技術の粋の全てを投入して、マイルス楽団ならではのビートを供給する。これが「きも」。

そのマイルス楽団ならではのビートをベースに、マイルスが「美しく男気溢れる魅惑的な」ペット・ソロを展開し、そのマイルスのペットに相対する「ヒール役」として、野太く音量の大きいコルトレーンのテナーが展開される。

Steamin

『Steamin'』のキャッチフレーズは「マイルスならではハードバップの美学」。冒頭の「Surrey with the Fringe on Top」から始まり、2曲目の「Salt Peanuts」がニクイ。ビ・バップ時代の超有名曲である「Salt Peanuts」を、マイルスならではのハードバップで再構築する。この「Salt Peanuts」は、このマラソン・セッションでは珍しく、メンバーが皆平等なグループサウンズを前提として、マイルスならではのハードバップを基にした、個性的な「Salt Peanuts」を展開してみせる。

ちなみに、このPrestige4部作、有名なマラソン・セッションでのコルトレーンは決して上手く無い。発展途上と表現したら良いか。ゴツゴツとしたフレーズで、野太い音量の大きいコルトレーンのテナーは、確かに親分のマイルスのペットを惹き立たせているが、テクニック的には「まだまだな感」が強い。

しかも、マイルス親分から「抑制の美」を要求されている。努力の人、秀才コルトレーンからするとちょっと分が悪い。しかも、このマラソン・セッションは「一発録音・一発勝負」。コルトレーンの苦手とするところなので、このPrestige4部作、有名なマラソン・セッションの中では、コルトレーンが発展途上な演奏に終始するのは仕方が無い。

この『Steamin'』は巷では、Prestige4部作の中で人気が無いそうだが、僕の評価は全く違う。このアルバムには「マイルスならではハードバップの美学」が溢れている。「Something I Dreamed Last Night」の、マイルスがこの曲では1人で切々を歌い上げるところに、僕はとりわけ、マイルスならではの「ハードバップの美学」を感じる。

ハードバップ・セッションの「予定調和的なグループサウンズ」を早々に見限り、リーダーを惹き立たせる為のアレンジと演奏。それが可能となるフォーマットが「ハードバップ」。この『Steamin'』には、本来、アーティステックであるべき「ハードバップ」の真の「あるべき姿」が記録されている。マイルスに妥協は無い。マイルスに予定調和は無い。僕は、毎度毎度『Steamin'』を聴く度に、このマイルスならでは「ハードバップの美学」に感じ入ってしまう。

ジャケットもなかなかですよね。煙草に火を付ける「横顔のマイルス」。このジャケットから感じる通りの演奏が、この『Steamin'』の中で繰り広げられている。  
 
 
 
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