個性的なアルバム達の合間に
ジャズはマイナーな音楽ジャンルだと言われる割には、世界的に見ると毎月毎月結構な数の新アルバムがリリースされている。特に、ヨーロッパに目を向けると実にディープで、こんなミュージシャンは知らんなあ、と思いながら聴いてみたら、なかなかの内容にビックリしたりする。
今日のアルバムは、デンマークのコペンハーゲンに飛ぶ。Mathias Algotsson Trio『In Copenhagen』(写真左)。カタカナ表記すると「マティアス・アルゴットソン・トリオ 」となるらしい。ここでは、名前のフル表記は長いので「マティアス」と呼ばせて頂く。
他のメンバーは、Ed Thigpen (ds), Jesper Bodilsen (b)。同地在住のジャズ・ドラムの巨匠エド・シグペン、デンマークの人気ベーシスト、イエスパー・ボディルセンを迎えてのトリオ編成のアルバムである。シグペンは、黄金時代のオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラー・メンバー。1972年からコペンハーゲンに移住している。
ベーシストのボディルセンについては、僕は全く知らなかった。でも、まず、このピアノ・トリオアルバム、ボディルセンのベースが良い音、良いビートを出している。ペデルセン( Niels- Henning Orsted Pedersen)が乗り移ったとしか思えない、端正でしなやかで太い、ピッチのバッチリ合ったウォーキング・ベースは、このアルバムの「聴きもの」である。
シグペンのドラムは「これぞハードバップ的ジャズドラム」と言えるもので実に心地良いリズムを供給してくれています。シグペンの十八番であるブラッシュ・ワークは、やはり特筆もので、その技は「至芸」と呼ぶに相応しいものです。
主役のマティアスのピアノは、端正、リリカル、音には適度に丸みがあって、尖っていないところが実に聴き易い。指も良く回るが、決して弾き過ぎない、適度なテンポで、適度なテンションで、リズム・セクションのビートに乗って、ウォームに弾き進めていくところが実に良い。
といって、歴代のジャズ・ピアニスト達の様な「絶対的個性」は無い。ジックリ聴いてみても、誰のピアノなのか判別できない。でも、実に美しいジャズ・ピアノである。
実は、このアルバムには「A列車でいこう」繋がりで出会った。「A列車でいこう」というスタンダード曲は、僕の大のお気に入りの曲で、この曲を聴いていると、常に「ジャズ」を感じて幸せな気分になる。そんな「A列車でいこう」を収録されているアルバムは、努めて入手するようにしているのだ。
このアルバムでの「A列車でいこう」は、マティアスのソロ演奏であるが、これがまた、ダイナミックで味があって、端正実直、誠実で正統派。良い感じの「A列車でいこう」です。この1曲でも、このアルバムは「買い」ですね。
このアルバムは。他の個性的なアルバム達の合間に、さり気なく流すのが良い感じ。ピアノの音を聴いても、誰のピアノか判らないけど、その端正、リリカル、音には適度に丸みがあって、尖っていないところが、聴いていて実に「ホッとする」。
シグペンのドラムとボディルセンのベース含めて、ほのかにロマンティシズム香る、端正実直、誠実で正統派なピアノ・トリオは、安定感抜群、聴き心地良しです。
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