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2010年4月28日 (水曜日)

AtlanticレーベルはMJQの穴場

モダン・ジャズ・カルテットの話である。モダン・ジャズ・カルテットとは、ヴァイヴのミルト・ジャクソンをはじめとして、ピアノのジョン・ルイス、ベースのパーシー・ヒース、ドラムのコニー・ケイという、ばりばり、プロフェッショナルな4人組。略称「MJQ」。

彼らは40年の長きに渡って、職人芸的な素晴らしいアンサンブルを展開した。ジョン・ルイスのクラシックな要素を取り入れた知的なピアノ演奏と、ミルト・ジャクソンのジャジーでブルージーな演奏スタイルがピッタリと融合して、ジャジーではあるが、そこはかとなくアーティステックで、エレガントな雰囲気が特徴。

そんなMJQは、Prestige〜Atlantic〜Pablo などのジャズの有名レーベルを渡り歩いたが、Atlanticレーベルが一番MJQの宝庫というか、リリースされたアルバムが多い。しかし、そんな多々あるアルバムの中に、知る人ぞ知る穴場の様なアルバムがある。

もちろん、Atlanticレーベルには「European Concert」「Fontessa」「No Sun in Venice」など、ジャズ入門本に必ず登場する大名盤も多々ある。しかし、ジャズ入門本やMJQのアルバム紹介に殆ど登場しない、え〜っこんなアルバムあったん?、という様な「穴場」的なアルバムも多々存在するのだ。

そんな「穴場」的なアルバムの一枚が、The MOdern Jazz Quartet『The Sheriff』(写真左)。1964年のリリース。ジャズ界は、新主流派と呼ばれるモードな演奏や、ファンキージャズと呼ばれる大衆音楽的な乗りの良い演奏や、本能のおもむくままに楽器を演奏するフリーな演奏などが流行った時代である。でも、そんな時代の中で、MJQの演奏内容は全く揺るぎの無い、職人芸的な素晴らしいアンサンブルを繰り広げているのは立派というか「見事」である。
 

Mjq_sheriff

 
冒頭のタイトル曲「Sheriff」の超絶技巧な疾走感溢れる、アップテンポな職人芸的演奏。思わず「お見事」と掛け声をかけたくなる。2曲目の「In a Crowd」も実に軽快なテンポの職人芸的演奏。軽やかに疾走するミルト・ジャクソンのヴァイヴが実に魅力的に響く。

3曲目「Bachianas Brasileiras」、ヴィラ=ロボスの『ブラジル風バッハ』。いちばん有名な『第5番』。ソプラノとチェロ・アンサンブルのための作品。クラシックの要素を取り入れ、クラシックに影響を受けた、アーティスティックでエレガントなMJQの面目躍如。意外と原曲に忠実に演奏しているところが、これまた面白い。とにかく「美しい」演奏、「典雅な」演奏である。

ラストの「Carnival」は、邦題「黒いオルフェ」。ルイス・ボンファのボサノバの名曲。MJQのボサノバ・ジャズがこれまた実に良い。アーティステックな芳しき優雅なボサノバ。それでいて、ドラムのコニー・ケイとベースのパーシー・ヒースが奏でるビートは、しっかりと「ジャジー」で、MJQならではの、他のコンボやミュージシャンには決して真似出来ない、美しく典雅なボサノバ・ジャズが展開される。

この『The Sheriff』ってアルバム、MJQのアルバムの中では、全くマイナーな存在なんだけど、僕はこのアルバムには、MJQの本質がギッシリと詰まっているように思えて、ジャズ者初心者の頃から大のお気に入りです。

えっ、ジャズ者初心者の頃、何故、ジャズ入門本やMJQのアルバム紹介に殆ど登場しない、こんなマイナーなアルバムを手に入れたのかって?  

それはですね。ジャケット・デザインです。このジャケットの小粋なイラストに惚れました。まあ簡単に言うと「ジャケ買い」ですね。もし内容が外れでも、このジャケットのイラストだけでも「買い」だと思ったんですね(笑)。でも、内容が「当たり」だったので、実に嬉しかったのを昨日のことの様に覚えています。
 
 
 
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