ジョン・アバを「もう一丁!」
ジョン・アバークロンビー(略して「ジョン・アバ」)。その捻れたフレーズとサスティーンが効いたろんぐとーんなフレーズは、長年の僕のお気に入りである。
そのジョン・アバのアルバムであるが、気軽に聴くには、やはり昨日ご紹介した『Timeless』に勝る者無し。ネットをしながら、はたまた通勤のお供には、ロックテイストが聴き易い、当時のジャンル言葉でいう「クロスオーバー」な音の雰囲気が、お気軽感を醸し出してくれる。
でも、ジョン・アバのウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギターを愛でる目的では、『Gateway』(写真左)の方が良くCDプレイヤーのターンテーブルに載る機会が多い。1975年3月の録音。ジョン・アバの2枚目のソロ・アルバムである。
パーソネルは、John Abercrombie (g), Dave Holland (double-bass), Jack DeJohnette (ds)。ジョン・アバの初ソロアルバムでの、国籍不明なキーボーダー、ヤン・ハマーが、当時、ジャズ界で、クロスオーバーでプログレッシブなベーシストとして勇名を馳せていたデイブ・ホランドに代わっている。
限りなくフリーな要素を持ったデイブ・ホランドのベースを迎えて、この『Gateway』は、限りなくフリーな演奏が特徴。ジョン・アバのウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギターが、限りなくフリーキーな雰囲気を得て、より一層捻りまくる、より一層フリーに弾きまくる。
ドラマーのディジョネットも、限り無くフリーキーな雰囲気の演奏は望むところ。当時、ジャズ界で圧倒的に先進的で尖ったメインストリーム・ジャズを奏でていた、マイルス楽団の現役ベース、現役ドラマーを向こうに回して、ジョン・アバは、限りなく自由に、限りなくねじ曲がりながら、限りなくロングトーンな、ジョン・アバしか出来ないフレーズを連発しまくる。圧巻である。
全編に渡って、ビンビンに感じまくる「テンションとスリル」。特に、このアルバムを覆うテンションの高さは息が詰まるほどに、アグレッシブなジョン・アバは圧巻。でも、欧州的なフレーズの流麗さがそれを緩和する。ECMらしい内省的なサウンド。ジョン・アバには、ECMレーベルがよく似合う。
3者3様の個性がぶつかり合って、唯一無二な、一期一会な。高テンションな、限りなくフリーな純ジャズを聴かせてくれる。エレクトリック・ギターがメインの演奏だからと言って、気を許してはいけない。マイルス楽団の現役ベース、現役ドラマーを向こうに回して、聴きやすさ、楽しみやすさ優先のフュージョン・ジャズを期待してはならない。この『Gateway』には、硬派なプログレッシブな、ぎりぎり純ジャズな音がぎっしりと詰まっている。
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