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2010年3月 9日 (火曜日)

モンクらしくないモンク...

寒い。ひたすら寒い。夜に入って雪になった。今も粛々と積もっている。外出先から直帰するも、電車の中も寒い。体調の悪さを押しての通勤であるが、この寒さは辛いのなんのって・・・。ふらつきながらも、なんとか倒れずにいる。それでも、ジャズを聴く元気は残っている(苦笑)。

さて、この酷い寒さに刺激されて、ちょっと変わったアルバムが聴きたくなった。あの、ジャズの歴史の中で、最大の個性派ピアニスト、セロニアス・モンク。セロニアス・モンクは、あまりに個性的なピアノ故に、ソロイストとして、リーダー作を作ることはあっても、サイドマンに回ることは殆ど無い。

想像してみて欲しい。モンクのピアノがバックに回った時、フロントはどう吹き回したら良いのか。あのマイルス・デイビスですら「俺のバックでピアノを弾くな」である。あの独特のリズム感覚が、どうしても流麗なフロントの旋律に合わない。独特な間と独特の和音の響き、そして、打楽器のように叩き付けるタッチで勝負するモンクのピアノは、どうしてもバッキングには合わない。

が、そんなモンクが、サイドマンとしてバッキングに回ったアルバムがある。Clark Terry&Thelonious Monk の『In Orbit』(写真左)である。1958年5月の録音。パーソネルは、Clark Terry (flh), Thelonious Monk (p), Sam Jones (b), Philly Joe Jones (ds)。

セロニアス・モンクに、絵に描いた様なハードバップなミュージシャン、ベースのサム・ジョーンズ、ドラムのフィリー・ジョーと言う組合せも「なんだか変」だが、とにかく、モンクがサイドマンとしてバッキングに回っているのが、さらに変だ(笑)。しかも、フロントのペットが、数々のビッグ・バンドで活躍した、決してハードバッパーとは言えないクラーク・テリーというのも、かなり変だ(笑)。
 

In_orbit

 
冒頭の「In Orbit」を聴けば、さらにその「変な感じ」は増していく。ほのぼのとしたテリーのフリューゲル・ホーンのソロが、あっけらかんと展開し、次に出てくるのが、モンクのソロ。さあ来るぞ、あの独特のリズム感覚が、独特な間が来るぞ、と身構えていると「???」。意外と普通なピアノソロが展開される。ところどころ、モンクっぽい響きはあるが、意外と普通なハードバピッシュなピアノソロ。

冒頭の「In Orbit」だけでは無い。全編に渡って、あっけらかんとほのぼのとしたテリーのバックで、モンクは、意外と普通なピアノソロを展開する。確かに、ところどころ、部分的にモンク的な響き、モンク的なタイム感覚はある。でも、それは、このサイドマンとしてバッキングを務めているピアニストがモンクだと判って聴いているから、モンクのそれと判る。

でも、このバッキングを務めるピアニストが、セロニアス・モンクと知らなければ、恐らく「誰や〜、このモンクっぽい、ハードバップなピアノソロを弾く奴は〜」と思うだろう。僕も最初、このアルバムを聴いた時、本当にそう思った(笑)。このアルバムを聴き始めて、暫くは、セロニアス・モンク本人のバッキングとは思わなかった。

このアルバムは「モンクらしくないモンク」を聴くことができる貴重盤ではあります。逆に、このモンクのバッキングを聴けば、彼が優れた普通のバップ・ピアニストでもあった、という伝説について、なんとなく納得できます。う〜ん、モンクは普通に弾いても上手い。

それでも面白いのは、モンクらしさが曲が進むに従って、少しずつ出てくるところ。リーダー作の様に全面に出てくる訳では無いのですが、そこはかとなく部分部分でモンクらしさが見え隠れする。そんな不思議なところがこのアルバムでのモンクの特徴でしょう。「モンクらしくないモンク」を聴くアルバム。モンク・マニア御用達、モンク・マニアは一度は耳にして欲しい、不思議なアルバムです。 
 
 
 
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