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2010年3月26日 (金曜日)

ペトの「カジュアルに美しい」盤

昨日に続いてミシェル・ペトルチアーニ(愛称・ペト)のアルバム紹介である。昨日は、ペトのオリジナル曲で固めた「硬派な」ジャズ・ピアノ・アルバムをご紹介した。今日は、ペトの「カジュアルに美しい」アルバムをご紹介したい。

そのアルバム名は『Music』(写真左)。パーソネルを見渡すと、Adam Holzman のシンセサイザー Gil Goldstein のアコーディオン、ペト自身のオルガン&シンセサイザーが目を惹く。所謂「硬派な」ジャズ・ピアノ・アルバムでは無い。しかし、適当に電気楽器に手を出した軟弱盤でも無い。

それは、冒頭の「Looking Up」を聴けば良く判る。ピアノの「ミューズ」と呼ばれたペト。前奏のピアノの豊かな響きと美しく煌めく、躍動感溢れるピアノの調べ。実に美しく聴き心地のあるピアノの音。シンセサイザーがその美しいピアノをしっかりと底から支える。しかし、暫くすると、そのピアノの音が、とてもリラックスしていることに気が付く。ペトは本当に心から楽しんでピアノを弾いている。

リラックスして、心から楽しんで弾いているピアノ。美しい。硬派なジャズ・ピアノでは無いが、裃脱いで、カジュアルな服装で、バンド・メンバーと楽しみながら、音を慈しみながら弾くピアノ。ここに、ピアノの「ミューズ」降臨である。

シンセサイザーなどの電気楽器を導入しているので、このアルバムがリリースされた当時は、ペトがフュージョンに挑戦、なんていう、完全に「的外れな」論評があったりした。思わず苦笑。なぜなら、3曲目の「 My Bebop Tune」などは題名通り、超絶技巧な硬派バップ・ピアノ。でも、そこはかとなく、微妙な余裕とポジティブな明るさが充満しているところが、このアルバムの最大の個性。

Mp_music

このアルバムに収録されたどの演奏も、純ジャズ路線ではあるが、ペト自身が、強度なテンションから自らを解き放ち、リラックスして、心から楽しんでピアノを弾いている。そのペトのピアノの明るくポジティブなピアノを電気楽器が、アコーディオンがしっかりと支えているだけ。このアルバムは決して「フュージョン」なアルバムでは無い。カジュアルでポジティブな明るさに満ちつつ「レイドバックした」純ジャズである。

8曲目の「Play Me」を聴いて欲しい。凄く格好良い、美しい響きのファンク・ジャズである。なんだか、「音数を抑えて間を大切にした」エレクトリック・マイルスがペトに降臨した様な、実に格好良い演奏である。しかも、ペトのピアノの響きの美しいこと美しいこと。思わず、ポジティブな溜息をついてしまう。これぞ「カジュアルに美しい」、ペト独特のエレクトリック・ファンク・ジャズ。ペトの個性が煌めいている。

ペトは「インプロビゼーション」の重要性を良く知っている。このアルバムでも、ペトのインプロのフレーズは、実に美しくキャッチャーである。ポジティブな飛翔感と爽快感と限りない美しさが混在する、ピアノの「ミューズ」が、このアルバムに降臨しているようだ。この「インプロビゼーション」の重要性が、このアルバムを「純ジャズ」たらしめている。

このアルバム『Music』は、ペトの「カジュアルに美しい」盤。昨日ご紹介した、ペトの純ジャズの本質を掴み取ることができる『Michel Plays Petrucciani』と併せて、表裏一体、光と影、兄弟の様なアルバムである。

ペトを手っ取り早く感じ取りたいのならば、この『Music』と『Michel Plays Petrucciani』を併せて一気に聴いて欲しい。ペトの唯一無二の個性をガッチリと掴み取ることが出来ると思います。ジャズ者初心者の方々に絶対のお奨めですね。 
 
 
 
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