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2010年3月 3日 (水曜日)

大人のエレクトリック・ファンク

不思議なことに、エレクトリック・ジャズについては、聴きたい時と聴きたくない時とが周期的に訪れる。

『Head Hunters』より、その俗っぽさを修正し、ちょっとだけ「プログレ・ハンコック」に戻って、なんとなくアカデミックなエレ・ファンクとなった『Thrust』。その『Thrust』をご紹介したのが、昨年の10月8日(左をクリック)。それから5ヶ月。再び、エレ・ハンコックを聴きたくなる時期がやってきた(笑)。

今日は『Man-Child』(写真左)。1975年のリリース。『Head Hunters』から『Thrust』と、ど・ファンク路線、エレ・ファンク路線のど真ん中を闊歩した名盤2枚の後、エレ・ハンコック、エレ・ファンク路線の3作目である。

Herbie Hancockを筆頭に、Mike Clark、Harvey Mason, James Gadson,Paul Jackson, Louis Johnson, Henry Davis, Wayne Shorter, Bennie Maupin, Blackbird McKnight, David T. Walker, Bill Summers, Bud Brisbois, Jay DaVersa, Ernie Watts, Jim Horn, Garnett Brown, Dick Hyde, Stevie Wonder, Wah Wah Watson とキラ星のように、エレクトリック・ジャズのキー・メンバー達がズラリと並ぶ。壮観である。

『Head Hunters』〜『Thrust』と、大人が楽しめ、子供でも判る「エレ・ファンク・ジャズ」として、一斉を風靡した、エレ・ハンコックなアルバム。しかし、この『Man-Child』は、その趣がちょっと違う。というか、その趣の変化に気がつかないのは、ハンコック・マニアの名折れである(笑)。

冒頭の「Hang Up Your Hang Ups」にこそ、『Head Hunters』〜『Thrust』の流れを踏襲した、大人が楽しめ、子供でも判る「エレ・ファンク・ジャズ」の名残があるが、インプロビゼーション部に入ると、大きく趣は異なる。

その趣の異なりは、次の2曲目「Sun Touch」で露わになる。この「Sun Touch」は絶品。決して、この曲はもう「エレ・ファンク」な演奏では無い。1975年当時、流行始めていた「アダルト・オリエンテッド」な響きがする。
 

Man_child

 
当時流行始めていたAORの「ソフト&メロウ}な響きが、そこはかとなく、この「Sun Touch」の名演の底に見え隠れする。特に、ハービーのエレクトリック・キーボードが全面に押し出されていて、そのハービーの「アダルト・オリエンテッド」なキーボードの響きが、このアルバムの特徴である。

3曲目の「The Traitor」は、未だ何となく「エレ・ファンク」な響きを宿してはいるが、完全に大人の「エレ・ファンク」である。上品かつ粋なビート。聴き応え十分。そして、4曲目の「Bubbles」は、もはや「エレ・ファンク」の面影は無い。今で言う、スムース・ジャズの原点。それでいて、演奏の根底に、ジャズ的な響きをしっかり宿した、硬派なフュージョン・エレクトリック・ジャズである。

同様に、5曲目の「Steppin' In It」は、上品かつ粋な「エレ・ファンク」。そして、6曲目の「Heartbeat」は、「アダルト・オリエンテッド」な響きを宿した、スムース・ジャズの原点のような演奏。そう、この『Man-Child』は、上品かつ粋な「エレ・ファンク」と。スムース・ジャズの原点の様な、「アダルト・オリエンテッド」な響きを全面に押し出した「エレ・ハンコック」とが交錯する、次のステップに移行しようとする、当時のハービーの姿をしっかりと捉えた、実に興味深いアルバムである。

加えて、ジャケット・デザインが「凄い」。この「臼杵の石仏」の様な、仏陀なデザインはなんなんだ。高校時代、このアルバム・ジャケットを初めて見た時、思わず「仰け反った」のを覚えている(笑)。このデザインは無いやろう。このデザインでは、米国人ならともかくも、日本人のエレクトリック・ジャズのファンからしてもなかなか触手が伸びないよな〜。

でも、このジャケット・デザインも、馴れれば、なかなか「はまる」、なかなかのデザインかな、と(笑)。でも、このアルバムって、ハービーの音楽性の深さ、ハービーの音楽性の柔軟さと先進性が感じ取れる、マニアにとってはなかなかの内容のアルバムだと思います。 
 
 
 
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