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2010年3月15日 (月曜日)

M・ブーブレ『Crazy Love』・1

マイケル・ブーブレ。1975年生まれ。カナダの象徴的シンガー。フランク・シナトラ、ハリー・コニック・Jrを彷彿とさせる歌声と、正統派色男といったルックスで世界的な人気を誇る男性ヴォーカリスト。バンクーバー冬季オリンピックの閉会式で、カナダの準国家とも言える愛国歌「ザ・メイプル・リーフ・フォーエヴァー」を15分に渡るパフォーマンスは記憶に新しい。

そのマイケル・ブーブレの最新作が『Crazy Love』(写真左)。バレンタインデーの贈り物として、大阪のお嬢からプレゼントされたんだが、これがまあ、素晴らしい内容のアルバムなのだ。今回の新譜『Crazy Love』は、堂々たる、現代ジャズ・ボーカルの名盤と言っていいだろう。

2009年10月に米国で発売以来、ビルボード・アルバム総合チャート2週連続1位を記録、というのも頷ける。さらに、カナダ、オーストラリア、アイルランド、イギリスはじめ世界各国でチャート1位を獲得。とにかく、従来のジャズ・ボーカル・ファンにも、新しいマイケル・ブーブレ・ファンのどちらにも、十分にアピールできる魅力満載である。

まず、今回のアルバムで目を惹くのは、カバー曲の出来である。素晴らしいアレンジのカバーがぎっしり詰まっている。

まずは、冒頭の「Cry Me A River」。原曲を歌っていたのは、50年代に大活躍した、美貌の女性ジャズ・ボーカリスト、ジュリー・ロンドン。ジュリー・ロンドンのファーストアルバム『Julie is Her Name(彼女の名はジュリー)Vol.1』の1曲目を飾る、彼女の最初のヒット曲。ジュリー・ロンドンは、ジャズ・ギター1本をバックにしっとりと情感を込めて歌い上げていくんですが、マイケル・ブーブレは、ちょっと違う。バ〜ンとした、少々大仰なジャズ・オーケストラで、ゴージャズに始まる。

でも、このアレンジには納得。この「Cry Me A River」を男性ボーカルで歌うには、大仰なジャズ・オーケストラでのアレンジがピッタリ。特に、男性的な太い声で、歌唱力抜群のブーブレには「ジャスト・フィット」。ジャズ・オーケストラの伴奏に負けない声量と表現力で、この簡単そうに見えて、意外と難しい「Cry Me A River」を良く歌い上げています。

2曲目の「All Of Me」は、ジャズ・ファンなら誰もが知っている、といっても良いくらいのポピュラーなジャズ・スタンダード。フランク・シナトラは、名盤『スイング・イージー』の中で最高にスインギーな歌いっぷりを披露しています。ビリー・ホリディもこの曲は好んで歌っており、なかでも、1941年に、テナー奏者のレスター・ヤングと共演したアルバムは名唱ですね。

Mbuble_crazy_love

それから、映画『真夏の夜のジャズ』でのダイナ・ワシントンも熱唱でした。他に、ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーン、ジョニー・ハートマンといったジャズ・ジャイアントのお歴々が歌いまくっています。そんな「手垢のついた」超スタンダードな曲を、力を入れ過ぎず、ゆったり、サラリと歌い上げていて、実に良い感じです。ジャジーなアレンジもリラックスムードで、僕はこの曲好きですね〜。

3曲目は言わずと知れた「Georgia On My Mind」。レイ・チャールズの名唱で有名(この曲の作曲は、ホーギー・カーマイケルで1930年の作)。1979年、ジョージア州は、この曲を正式な州歌と定めています。僕は、この「Georgia On My Mind」については、ザ・バンドのラストアルバム『Islands』に収録された、リチャード・マニュエルの心に染みる熱唱が一番印象深い。で、ブーブレは、意外と忠実に過去のカバー例をなぞって、意外と普通にこの曲を歌い上げている。

2曲飛んで、6曲目の「All I Do Is Dream Of You」は、邦題「あなたの夢ばかり」。フランク・シナトラ・ファミリーの主要人物、ディーン・マーチンの歌唱で有名。一聴するだけで、シナトラ節が感じられる、実に格好良い曲ですね。バック・コーラスは、アカペラ・グループのナチュラリー7が担当。バックコーラスに、アカペラグループを持ってくるなんて、なんて贅沢なんでしょ。

またまた2曲飛んで、9曲目「You're Nobody Till Somebody Loves You」、10曲目「Baby (You've Got What It Takes)、11曲目「At This Moment」そして、13曲目の「Whatever It Takes」とスタンダード曲のカバーのオンパレード。いずれも良い出来です。

そして、極めつけは、12曲目「Stardust」。この曲は究極のジャズ・スタンダード。この曲をカバーしないミュージシャンはいない、というくらい、絶対にこの曲はカバーします。それほど、チャレンジするに値する、様々な解釈、様々なアレンジに耐える名曲なんですね。

さて、ブーブレはこの曲をどう料理したか。リズムの音を抑えてつつ、ナチュラリー7のアカペラをバックに歌い上げていったか〜。良いですね〜。雰囲気でてますね〜。これぞジャズ。これぞジャズ・ボーカル。後半の間奏に出てくるクラリネットの響きには思わず目頭が熱くなります。やっぱりジャズは良いですね〜。
 
ここまでは、カバー曲の面白さを満喫。そして、このアルバムのもう一つの面白さが、1970年代のロック・ポップスの名曲をジャジーにカバーしていること。その「1970年代のロック・ポップスの名曲のカバー」については長くなるので、明日にしますね(笑)。
 
 
 
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