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2010年3月17日 (水曜日)

『5 by Monk by 5』は美しい

組織的に聴き進めてきたセロニアス・モンク。今回で、モンクの一番輝いていたリバーサイド・レーベルでのモンクは一応最終回を迎える。最後のアルバムは『5 by Monk by 5』(写真左)。

1959年6月の録音。パーソネルは、Thad Jones (cor), Charlie Rouse (ts), Thelonious Monk (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。パーソネルを見渡すと、Thad Jones (cor)とSam Jones (b), Art Taylor (ds)が、モンクにとっては「異質のメンバー」。よく見ると、 Charlie Rouse (ts)だけが、気心知れた「盟友」ではないか。しかし、どうして、こんなセッションをセットアップしたのかなあ。その動機が知りたくなるような、実に「異質」な組合せ。

タイトルの『5 by Monk by 5』は、モンク自身のオリジナルの5曲を5人で演奏、という意味とのこと。なるほど、と納得。オリジナルの5曲とは以下の5曲。なかなか良い曲が並んでいる。期待感が高まるが、サド・ジョーンズのコルネットがフロントに並ぶとどうなるのか。そして、ベースとドラムのリズムセクションが通常と違う。モンクはどうなるのか? 

1. Jackie-Ing
2. Straight, No Chaser
3. Played Twice
4. I Mean You
5. Ask Me Now

これが、ですね。Thad Jones (cor)とSam Jones (b), Art Taylor (ds)が、モンクにとっては「異質のメンバー」が並んでも、モンクは何処吹く風、ってな感じ。確かに、ちょっと捻れた感じを抑えて、少し、いつものモンクよりも判りやすく、簡素に弾いているんですが、モンクの個性的なフレーズと響き、タイム感覚については、決して「緩めない」。

Sam Jones (b), Art Taylor (ds)については、モンクの音楽を聴き込んでいたんだろう、録音された演奏を聴くと、大胆にアプローチ出来てはいないにせよ、モンクの個性を良く理解して、いつもより、判りやすく簡素に個性を抑えたモンクのピアノに良く反応している。リズム・セクションがしっかりすると、後はフロントである。
 

5by_monk_by5

 
しかし、サド・ジョーンズというミュージシャンも只者では無い。モンクと共演となると、あのモンクの個性的なフレーズと響き、タイム感覚に追従しながら、自らの個性を発揮できるか、ちょっと不安にもなったりするんだが、サド・ジョーンズも凄い。もともと、彼はバップ・ミュージシャンなんだが、モンクのバッキングの下、決してモンクに迎合しない、しかし、モンクのバッキングにしっかりと反応して、サド・ジョーンズなりのモンク・ミュージックを現出している。

「Played Twice」の3テイクが順を追って聴くと面白い。モンクとサドのコラボレーションの構築の順番、塩梅が良く判る。さすがに、このセッションでは、最後のテイクがマスターテイクとなっている。モンクとサド、如何に異質の組合せだったのかが良く判る。でも、さすがに一流のミュージシャンである。お互いの個性を消し合わず、迎合せず、お互いの個性を活かして、しっかりと「一期一会」のセッションを成立させているのは「お見事」。

サド・ジョーンズが、モンク相手に、たった3日の短時間のセッション中で、これだけの成果が残せたのは、やはり、もう1人のフロント、テナーのチャーリー・ラウズの存在だろう。彼は、モンクの「盟友」。モンクのことは熟知している。ラウズは、悠然としたテナーで、若干戸惑い気味のサドをサポートするように、モンクのバッキングに追従する「コツ」を伝授するようなソロを全編に渡って繰り広げている。まるで、モンクのバッキングの下にフロントを演奏する教科書のようなラウズのテナー。素晴らしいの一言。

このアルバムは、モンク作品の中での「隠れた名盤」の一枚だと思います。昔は、何軒かのCDショップを探し歩いても目にすることは無かったんですが、村上春樹さん・和田誠さんの「ポートレイト・イン・ジャズ Vol.1」で紹介されて以来、たまにCDショップで目にするようになりました。ネットショップでは、まず在庫ありの状態ですね。良かった良かった。

このアルバムは、ジャズ入門本やジャズ名盤紹介に名を連ねるアルバムではありませんが、実に優れた内容のアルバムです。サド・ジョーンズのブリリアントな、バピッシュなソロが、アルバムにアクセントを添え、実に親しみやすい内容に仕上がっている。モンクファンで無くても、ジャズ・ファンであれば、一度聴いて欲しい、親しみやすいモンクの一枚です。  
 
 
 
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