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2010年2月14日 (日曜日)

未知のアルバムとの嬉しい出会い

クラシック同様、ジャズのアルバムはかなりの数に上り、ジャズのアルバムには、今まで見たことも聞いたことも無いものも多々ある。ジャケットを見ながら、こんなアルバムもあったんだ、と思いつつ、iTunesストアなどで試聴してみると、これがなかなか良かったりする。意外性というか、嬉しい出会いというか、こういうところが、ジャズのアルバム・コレクションの醍醐味だったりする。

今回、ゲットしたアルバムも同様な感じ。Billy Higginsの『Once More』(写真左)なんだが、こんなアルバム、今まで見たことも聞いたことも無かった。1980年5月の録音。パーソネルは、Billy Higgins(ds) Cedar Walton(p) Bob Berg(ts) Tony Dumas(b) 。

まず、リーダーの Billy Higgins(ビリー・ヒギンス)って誰?、ってことになるんだが、彼ってジャズ・ドラマーです。彼の全キャリアは、基本的にフリーランサーで、バップ・ドラミングの忠実なフォロワーでした。結構、1960年代前半のブルーノートの諸作にサイドメンとして登場することが多く、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンのお気に入りドラマーだったことが窺えます。

ビリー・ヒギンスのドラミングは、ハードバップ・ドラミングの最終形とでも形容できる、絵に描いたようなバップ・ドラミングが特徴で、大胆かつ繊細、メリハリの効いたドラミングは、ハードバップから、ハードバップよりのモード演奏に、その実力を発揮しました。特にシンバルの音が素敵です。

フロントのテナーは、若き日のBob Berg(ボブ・バーグ)。これまた、ボブ・バーグって誰?、ってことになる。彼は、1951年生まれのジャズ、フュージョン両刀使いのテナー・プレイヤーです。彼はクラシックで有名なジュリアード音楽院出身。テクニックには素晴らしいものがあり、そのハイ・テクニックが故に、ちょっと器用貧乏なところがあったが、1983年から、アル・フォスターの紹介で、マイルス・デイヴィスのバンドに3年間在籍、注目を集め、日本でもその名を知られるようになった。
 

Billyhiggins_oncemore

 
ボブ・バーグのテナーは、全音域を駆使しつつ、ダイナミックで歌心のある、実にオーソドックスなもので、そのテクニックとともに、聴き始めると、ついつい引き込まれてしまうような不思議な魅力のあるテナーです。チック・コリアのエレクトリック・バンドでのコンテンポラリーなブロウも良いですが、彼は、4ビートのオーソドックスなジャズの世界で、実に映える音をしていました。

しかしながら、2002年末、突然の訃報。ボブ・バーグは交通事故により逝去してしまった。享年52歳。ジャズ・ミュージシャンとしては、まだまだこれから円熟の時代を迎える時期だったので、あまりに早すぎる逝去であった。

さて、この『Once More』は、内容としては、実に真っ当なハードバップ・ジャズである。ハードバップ・ジャズと言っても、懐古趣味的なハードバップでは無い。しっかりとメインストリーム・ジャズの先端を行く、結構、ジャズ演奏としては「尖った」、ハードバップ・ジャズである。

ボブ・バーグのテナーは良く走り良く歌う。疾走感溢れるテナーの絶唱は、若き日のボブ・バーグを感じる事が出来て、ついつい聴き耳を立ててしまう。決して、コルトレーンの様では無い。コルトレーンの先を行く様な、コンテンポラリーな個性。ドライな音色とハイテクニックはフレーズ。一聴して、ボブ・バーグと判る個性では無いが、ずっと彼のテナーのフレーズを追いかけていると、彼のテナーは、今までのジャズ・テナー奏者には無いものだということを再認識する。

ビリー・ヒギンスのドラミングは、そのボブ・バーグをがっちりとサポートしつつ、結構、思いのままに叩きまくっている。そして、ピアノのシダー・ウォルトンが意外と良い。しっかりとしたタッチで、シダー・ウォルトンの転がるようなマイナーフレーズが気持ち良い。このアルバム全編に渡って、シダー・ウォルトンが結構弾きまくっています。シダー・ウォルトンのファンの方にはお勧めです。

1980年の録音ということですが、フュージョンの晩年期、時代的には、ソフト&メロウな音が流行だった時代に、このアルバムの演奏は、しっかりと純ジャズしていて、しっかりとメインストリーム・ジャズの先端を行く演奏内容に感心しました。僕の中では、意外と愛聴盤化しています。今まで、見たこともない、聞いたことも無いアルバムでしたが、このアルバムとは「嬉しい出会い」でした。 
 
 
 
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