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2010年2月 8日 (月曜日)

素晴らしく伴奏上手のハービー

昔から、ハービー・ハンコックは伴奏上手であると睨んでいる。マイルスの下でピアニストしている時から、そうだったと思っている。マイルスのバックで、ショーターのバックで弾くハービーのピアノは絶妙だった。

ハービーの伴奏上手は、マイルスの薫陶の賜だろう。マイルスはハービーに究極の薫陶を垂れている。「どうバッキングして良いか判らない時は何も弾くな。無理して弾くことは無い」。なんと含蓄のあるアドバイスだろう。これぞ、バッキング(伴奏)の極意だろう。

ハービーのバッキングは「間」と「音を選んだ」、音数の少ない、実に効果的なバッキングが特徴。決して、フロント楽器のソロを邪魔すること無く、しっかりとその合間を縫うように音を重ねていく。その絶妙の「間」と音の選び方が素晴らしい。なんだか「沈黙は金、雄弁は銀」という諺を思い出す。

その絶妙の伴奏テクニックを駆使して、ハービーは、ジャズ・ボーカルとのコラボを始めた。その直近の成果が『River: The Joni Letters』(写真左)。2007年のリリース。ハービーとしては、9年ぶりの純ジャズ・アルバム。

シンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルへのトリビュートがテーマ。ジョニ・ミッチェル本人、ノラ・ジョーンズ、コリーヌ・ベイリー・レイなど著名な実力派女性ヴォーカリストが参加した豪華絢爛なボーカル・アルバムである。

当然、それぞれのフロントの女性ボーカルが出色の出来だが、それ以上に、バックを務めるバンドの伴奏が素晴らしい。パーソネルは、Herbie Hancock (p), Wayne Shorter (ss,ts),  Dave Holland (b), Vinnie Colaiuta (ds), Lionel Loueke (g)。う〜ん、良く考えられた、素晴らしい人選ではないだろうか。
 

Hh_river

 
フロントのボーカルのバッキングで飛び抜けて素晴らしいのが、ハービーのピアノとショーターのサックス。この2人のバッキングが出色の出来である。遠い昔のマイルスの薫陶そのままに、「間」と「音を選んだ」、音数の少ない、実に効果的なバッキングが素晴らしい。

そして、意外と言っては失礼なんだが、ホランドのベースとカリウタのドラムが、これまた、テンション溢れ、実にしなやかで音数は少ないが、ハイテクニックを武器に、効果的に、実にメリハリの効いたビートを供給する。特にリズムの野生児、ビニー・カリウタが、こんなに繊細でしなやかなドラミングをするなんて、とにかくビックリした。

このアルバムに収録された楽曲の全てが、ミッドテンポの曲からスロー・バラードと、静かで、ゆったりとした地味目のテンポの曲ばかりなんだが、これが不思議と一本調子にならず、マンネリに陥らず、最初から最後まで飽きずに聴き通せる。これは、ハービーとショーターの出色のバッキングと、ホランドとカリウタのハイテクニックでメリハリのあるビートの供給の賜だろう。

ハービーは伴奏上手。ハービーのソロは「間」を活かしつつ、モーダルで流れるようなフレーズが持ち味。ちょいとキャッチャーなフレーズからは離れたところに、彼のソロの素晴らしさがあるので、どうしても、メリハリの効いた、大向こうを張ったソロを期待されると、ちょいと辛い。

それでも、この伴奏の素晴らしさは絶品である。このアルバムのハービーこそが、純ジャズ・ピアノのハービーの究極の姿だと僕は思っている。それほど、このアルバムでのハービーのピアノは絶品である。  
 
 
 
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