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2010年2月23日 (火曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・4

今日も「ビッグバンド・ジャズは楽し」シリーズ、第4弾は「MJOをもう一丁」(笑)。

MJOとは「Manhattan Jazz Orchestra」の略。リーダーは、デビッド・マシューズ(写真右)。このオーケストラの編成は、オーソドックスなビッグバンドの編成とは異なり、4トランペット、4トロンボーン、2サックス、2フレンチ・ホーン、ベース・クラリネット、チューバ、ピアノ、ベース、ドラムから成り、ギル・エヴァンス・オーケストラに酷似している。

フレンチホルンやチューバが入ったビッグバンド構成が実に効果的。加えて、デビッド・マシューズのポップ性の高い、そして「判りやすくて楽しい」アレンジが素晴らしく、エッジの立ったシャープな音をベースに疾走感と寛ぎ感を効果的に配備して、とにかく聴いていて、あっけらかんとリラックスして聴ける、加えて、演奏者それぞれのテクニックも優れ、ビッグバンド・ジャズ入門として最適。

昨日は『Birdland』をご紹介したが、「判りやすくて楽しい」、あっけらかんとリラックスして聴けるビッグバンド・ジャズのアルバムはもう一枚ある。『Swing Swing Swing』(写真左)である。とにかく、収録曲を見て欲しい。

1. アイアンサイド
2. スウィング,スウィング,スウィング
3. ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド
4. ムーンライト・セレナーデ
5. A列車で行こう
6. 愛のコリーダ
7. マンテカ
8. サヴォイでストンプ

ねっ、なんか、アルバムに収録された曲目を見渡すだけで、ワクワクするでしょう(笑)。
 

Mjo_swingx3

 
冒頭は、70年代人気TVシリーズ『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲で、最近では『キル・ビル』にも使用された超有名曲「アイアンサンド」。ちなみに、この鬼警部アイアンサイドのテーマは日本テレビ系列で放映されていた「ウィークエンダー」のテーマ曲でした。僕には、この「ウィークエンダー」のテーマ曲のほうが馴染みがあるかな(歳がばれる?)。

5曲目の「A列車で行こう」は、下手にこねくり回したアレンジは無用。シンプルに疾走感を追求した、マシューズのアレンジが秀逸な、とにもかくにも、疾走感を撒き散らしながらのハイ・テクニック集団が奏でる、快速列車「A列車」で行こう、です。「判りやすくて楽しい」アレンジの「A列車で行こう」は、ついつい身体が動きます。

クインシー・ジョーンズの80年代初頭の大ヒット・ディスコ曲「愛のコリーダ」。こんな、いかにも俗っぽいディスコ曲を、魅力的かつ「判りやすくて楽しい」ビッグバンド・ジャズに仕立て上げている。リーダー、デビッド・マシューズの面目躍如である。

アルバム・タイトルの、2曲目「スウィング,スウィング,スウィング」は、リーダー、デビッド・マシューズの作曲によるオリジナル曲。これも、徹頭徹尾、魅力的かつ「判りやすくて楽しい」ビッグバンド・ジャズに仕立て上げられていて、聴いていて楽しく、意外と新鮮味がある。正統派ビッグバンド・ジャズのアレンジについては、この曲のアレンジが実に参考になる。

デビッド・マシューズのアレンジは、単純にジャズ・クインテットのアレンジをビッグバンドに置き換えつつ、フレンチホルンやチューバが入ったビッグバンド構成で「音の個性」を全面に出しつつ、決して、過去のビッグバンド・ジャズのアレンジ囚われない、現代のジャズならではの、シンプルでハードバピッシュな、そして「判りやすくて楽しい」アレンジが実に良いと感じます。

このMJOこと「Manhattan Jazz Orchestra」の演奏を聴くと、「シンプル・イズ・ベスト」という言葉を思い出す。魅力的かつ「判りやすくて楽しい」ことに勝ること無し「ビッグバンド・ジャズ」、である。 
 
 
 
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