ジャズと異種格闘技・3
昨日、3人のギタリスト、パコ・デ・ルシアとアル・ディ・メオラ、そして、ジョン・マクラフリンの、音楽の「異種格闘技」であるライブ名盤『Friday Night In San Francisco』をご紹介した。スパニッシュ・ギターとフュージョン・ジャズ・ギターとの「異種格闘技」。空前絶後の超絶技巧のギターが3本。めくるめくインプロビゼーションの世界は「至福の世界」だった。
この『Friday Night In San Francisco』はライブ盤。このパコ・デ・ルシアとアル・ディ・メオラ、そして、ジョン・マクラフリンの「スーパー・ギター・トリオ」で、スタジオ録音盤をリリースしている。1982年にリリースされた『Passion Grace & Fire(邦題:情炎)』(写真左)。「スーパー・ギター・トリオ」が唯一残したスタジオ録音盤である。
パコ・デ・ルシアのスパニッシュ・ギター。このスパニッシュ・ギターに、ディ・メオラとマクラフリンのフュージョン・ジャズ・ギター。この『Passion Grace & Fire』で、ガップリ四つに組んで、再び、ジャズとスパニッシュ・ギターの異種格闘技である。
『Friday Night In San Francisco』はライブ盤だったので、ラフな面もあるし、受け狙いのギミックもある。それでも、ライブ盤ならではの「熱気」が溢れていて、それはそれは、目眩く超絶技巧、目眩くアンサンブルの世界だった。
逆に、この『Passion Grace & Fire』はスタジオ録音。スタジオ録音ならではの、十分に練られた、十分に作り込まれた、整然とした、静謐な「熱気」が溢れている。ライブ盤の躍動的な「熱気」と相対する静謐な「熱気」。楽曲としての完成度は、前作のライブ盤『Friday Night In San Francisco』に勝るとも劣らないと思います。
スタジオ録音だけにミスは皆無。もともと「超絶技巧」なテクニックを持った「スーパー・ギター・トリオ」の3人。スタジオ録音で、その「超絶技巧」なテクニックを更に洗練、昇華したので、この『Passion Grace & Fire』での3人のギター・テクニックは凄まじいばかりである。
とにかく目眩く、超絶技巧の世界が展開される訳だが、スパニッシュ・ギター中心の曲調をベースに楽曲が取り揃っている為、インプロビゼーション部で「キャッチャーな旋律」が少なく、収録された楽曲それぞれに「印象に残る曲」が少ないのが玉に瑕ではある。それを差し引いても、このアルバムでの超絶技巧なギター・インプロビゼーションの世界は素晴らしいの一言。
ギター小僧の皆さんには是非とも聴いて頂きたいアルバムです。逆に、ギター小僧でないジャズ・ファンの方々に「どちらか一枚」と問われれば、ジャズやブルースの要素が見え隠れするライブ盤『Friday Night In San Francisco』の方がお勧めでしょうか。出来たら、2枚とも聴いて頂きたいですけど・・・。
ライブ盤にはライブ盤の良さがあり、スタジオ盤にはスタジオ盤の良さがある。そんな当たり前の話をしっかりと別々に一聴しただけで判るアルバムを残している。この「スーパー・ギター・トリオ」の実力については「推して知るべし」ですね。
今晩の我が千葉県北西部地方は再び雪がちらつき始めている。一昨日の雪がまだ残っているのになあ。また、積もるのかなあ。明日の朝が思いやられるなあ。
子らが踏む 名残惜しげに まだら雪
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