ジャズと異種格闘技・1
ジャズは非常に懐の深い音楽である。ジャズ単体でも、様々なフォーマット、様々なジャンルの演奏形態がある。異種格闘技、いわゆる他の音楽ジャンルとの共演、融合も「お手のもの」。ロックとの融合、クロスオーバーから端を発したフュージョン・ジャズというジャンルもあるし、フュージョン・ジャズにAORの要素を融合して、スムース・ジャズというジャンルもある。
ジャズの得意とするところの「異種格闘技」。最近、リラックスしたい時に聴く「異種格闘技系ジャズ」のアルバムに、Willie Nelson & Wynton Marsalis の『Two Men with the Blues』(写真左)。このウィリー・ネルソンとウイントン・マルサリスとの共演ライブ盤が、実に良い感じなのだ。
ウィリー・ネルソンと言えば、米国のシンガーソングライターであり、カントリー界の大御所。1933年4月生まれだから、今年77歳、喜寿である。このカントリー&ウエスタンの大御所と、ジャズ界で最も著名なジャズ・ミュージシャンであり、トランペッターであるウィントン・マルサリスとの共演である。まとめると「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」の異種格闘技的ライブである。
「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」、どちらも米国ルーツ・ミュージックの根幹をなすものである。意外と相性が良いのには感心した。2007年1月にNYで行われた二夜限りの共演コンサートのライブ録音なんだが、それはそれは素晴らしいパフォーマンスだ。
ウィントン率いるジャズ・バンドを従えて、ネルソンが、カントリー&ウエスタンの、はたまた、ジャズのスタンダード曲を、いぶし銀のような渋さで歌い上げていく、そんな感じの1時間。
ネルソン十八番のカントリー&ウエスタンのスタンダード曲は、とにかく楽しい。そして、カントリー&ウエスタンの曲のバッキングを担当するウィントン率いるジャズ・バンドの適応力というか、ジャズをベースにした「カントリー&ウエスタン」風のバッキングがとても素晴らしい。ウィントンのトランペットは、テクニック、そして歌心共に「鳥肌もの」。いや〜凄いわ、これは・・・。
逆に、カントリー界の大御所のネルソンが歌い上げるジャズ・スタンダード曲も素晴らしいの一言。カントリー&ウエスタンをベースにした「ジャズ」風の、そして「ブルース」風のボーカルが実に素晴らしい。ジャズには無い、米国中西部の風が吹く。「Stardust」そして「Rainy Day Blues」のネルソンのボーカルなど、これまた「鳥肌もの」である。
「Georgia on My Mind」や「Down By the Riverside (Bonus Track)」などは大感激。実は僕は、カントリー&ウエスタンの曲調が大好き。「Down By the Riverside」などは涙もの。そして、カントリー&ウエスタンの名曲のバックで、スウィング感溢れるバッキングを披露するウィントン率いるジャズ・バンドの「ハイテクニック&ジャジー感」。いや〜、この異種格闘技は素晴らしいの一言です。
余裕を持って全編を聴き通して頂きたいライブ盤です。ライヴならではの即興プレイも心地良く、まことに素晴らしい「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」の異種格闘技的ライブ盤です。一期一会とはこのことでしょう。
寒い。今日夜半から雪になる、とのことだったが、帰宅途中で既に雪に変わった、我が千葉県北西部地方。これは積もるなあ。今年の冬は雪が降らないのでは、と油断していたら、いきなり雪である。でも、この天気って、2月の終わりから3月上旬の春を呼ぶ雪の気圧配置ではないのかと・・・。やっぱり、今年は1ヶ月ほど早く季節が動いている感じがする。
不意を打つ 見上げる顔に みぞれ雪
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