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2010年1月 8日 (金曜日)

元気印の「Waltz For Debby」

疲れた。正月明けて、本業の方は、月曜日からのロングラン。机を叩いて怒ることと、頭を抱えて考えに考える仕事とが代わり番こにやってきて「ほんまに疲れた」。怒るって、疲れるんやね〜。相手のことを考えながら、怒りの理由を正確に伝えようと考えながら「怒る」。疲れるんやな〜、これが・・・。

疲れた時は、疲れた頭にピーンと来る「ジャズ」が良い。疲れた脳髄をピシーッとほぐしてくれる「ジャズ」が良い。切れ味鋭く、暖かで包まれるような優しさ溢れる「ジャズ」。そんな時に、絶対にCDプレイヤーのトレイに載るアルバムが、Bill Evans & Cannonball Adderleyの『Know What I Mean?』(写真左)。1961年1月の録音。パーソネルは、Cannonball Adderley (as), Bill Evans (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。

ビル・エバンスとキャノンボール・アダレイ。水と油という感じがするが、これが意外と相性が良い。もともと、エバンスのピアノはハード・タッチで心地良くガンガンに弾き倒すところがあるから、キャノンボールのハッピーでスインギーでファンキーなアルトの音色と結構相性が良いのだ。逆に、抑制を効かせたキャノンボールのアルトは、リリカルで叙情的なエバンスのピアノとピッタリ。

それでも、冒頭の「Waltz For Debby」では、キャノンボールのハッピーでスインギーでファンキーなアルトの音色が、曲の叙情性を上回って、元々、リリカルで叙情的な「Waltz For Debby」が、健康的な明るいハッピーな「Waltz For Debby」に早変わり。

元々の「Waltz For Debby」は、文化系の大人しい穏和な令嬢風の女の子なんだが、このキャノンボールのアルトが入った「Waltz For Debby」は、体育会系の元気溌剌で明朗快活な女の子と言えるだろう。でも、「Waltz For Debby」の原曲が良いんだろうなあ。この体育会系の元気溌剌で明朗快活な女の子風の「Waltz For Debby」も、これはこれでなかなかの味わいなのだ。
 

Know_what_i_mean

 
特に、キャノンボールのアルト・ソロが入ってくる所、疲れた頭にピーンと来る、疲れた脳髄をピシーッとほぐしてくれる様な、キャノンボールのハッピーでスインギーでファンキーなアルトの音色が、実に心地良いのだ。エバンスとキャノンボールの、アンマッチの様でアンマッチで無い、不思議なマッチング。

次の「Goodbye」がこれまた絶品。泣きのバラードの名曲なんだが、キャノンボールのハッピーでスインギーでファンキーなアルトの音色が、叙情的に流され過ぎず、泣きの旋律に感情的に溺れること無く、しっかりとポジティブな面を押し出して、この名曲を「明日への活力」「ポジティブな癒し」にしてくれる。明るいけれど、ポジティブだけど、抑制を効かせたキャノンボールのアルトは実に素晴らしい。

3曲目「Who Cares?」に至って、この曲はキャノンボールのアルトにピッタリ。当然、エバンスもジャズト・フィットしており、明るく楽しい、これぞ「明るく楽しいジャズ」となっていて、聴いていて実に心地良い。ポジティブに癒される名演である。

このアルバム、冒頭の3曲で、疲れた頭にピーンと来て、疲れた脳髄をピシーッとほぐしてくれる。後は、演奏をな〜んも考えず、ぼ〜っと聞き流して、7曲目の「Nancy (With The Laughing Face)」まで来れば、これまた絶品のバラード演奏。

抑制を効かせたキャノンボールのアルトが、リリカルで叙情的なエバンスのピアノとピッタリで、しかも抑制を効かせたキャノンボールのアルトの底に、本来のハッピーでスインギーでファンキーな雰囲気が見え隠れして、これが実に味わい深い。ポジティブで明るい美しさに満ちた名演である。

あ〜、このBill Evans & Cannonball Adderleyの『Know What I Mean?』で、疲れた脳髄が心地良くほぐされて、ふんわか柔らかな睡魔が襲ってきた。本当に今週は疲れた、風呂に入ってもう寝よう。それでは、お休みなさい(笑)。
 
 
 
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