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2010年1月13日 (水曜日)

ソウル・ジャズは精神の活力剤

ファンキー・ジャズより「ポップなアレンジ」を施したジャズのジャンルに「ソウル・ジャズ」というのがある。ちょうど1960年代の終わりから、70年代前半にかけて。「ソウル・ジャズ」も、ファンキー・ジャズの一種なので、僕にとっては、やはり精神的に元気が無い時、萎えた精神を揺り動かしたい時に聴く「カンフル剤的」なジャズである。

でも、昔々、僕がジャズを聴き始めた時は、この「ソウル・ジャズ」というジャンルのジャズは、ファンキー・ジャズ以上に、「俗っぽく猥雑で下品」なジャズとして、日本では人気が無かった、というか、なんとなく蔑まれていた感が強い。しかしながら、クラブ・ジャズの台頭で、この「踊れるジャズ」の典型的なケースのひとつとしての「ソウル・ジャズ」は、日本で、やっと正統な評価をされるようになってきたと思う。

このBobbi Humphreyの『Blacks And Blues』(写真左)を聴くと、「ソウル・ジャズ」が意外と良くできているのが判る。1973年7月の録音。ざっとパーソネルを見渡してみる。Bobbi Humphrey (fl, vo) Jerry Peters (p, el-p) Fonce Mizell (clav, tp, vo) Fred Perren (syn, vo) David T. Walker (g) Chuck Rainey (el-b) Harvey Mason (ds) Stephanie Spruill (per) Chuck Davis (vo) Larry Mizell (vo, arr, cond)。

David T. Walker (g) Chuck Rainey (el-b) Harvey Mason (ds) という、要のリズムセクションに、名だたる名手が名を連ねている。ジャズの基本はビートであり、リズムである。リズムセクションが演奏の全てをコントロールすると言っても過言ではない。彼らの担当する「Harlem River Drive」「Just A Love Child」「Blacks And Blue」は絶品のフュージョン・ジャズ。1973年の当時、最高のフュージョン・ジャズである。後のフュージョンの良いエッセンスが全て、完璧に詰まっている。
 

Hamphrey_blacks_and_blues

 
逆に「Chicago, Damn」「Jasper Country Man」「Baby's Gone」は、ギターとベースが、John Rowin (g) Ron Brown (el-b) に代わる。惜しいかな、「ソウル・ジャズ」の「俗っぽく猥雑で下品」な雰囲気が見え隠れする。やはり、フュージョンの成否はリズムセクションが全てだと改めて感じる。でも、アナログ・シンセサイザーの太い伸びた短音は実に良い響き。今の時代から振り返れば芸術的ですらある。

このBobbi Humphreyの『Blacks And Blues』は、レア・グルーヴの定番ともなっている、彼女のリーダー作としては3枚目のアルバム。ソフトでブルージーなフルートと子供のような可愛らしい声が魅力のBobbi Humphrey。特に、彼女のフルートは、テクニックで攻めるのでは無い、フルート独特のソフトで繊細な音色で攻める「雰囲気の」フルート。良い感じである。

このBobbi Humphreyの『Blacks And Blues』は、ソウル・ジャズとしての聴きどころ満載のアルバムである。ジャズの主流から外れているかもしれないが、この演奏内容は、音楽として聴き手を楽しませてくれる要素が満載である。これも「音楽」、これも「ジャズ」、楽しく聴けるジャズも、これまた大切な存在であることを、このアルバムは教えてくれる。

この頃の「ソウル・ジャズ」は、リズムセクションが全て、人間の手で創り出されていることが、最大の価値である。コンピューターの打ち込みではない、人間の手で叩き出されるビート。これが、当時の「ソウル・ジャズ」に暖かさと良い意味での「いい加減さ」を聴き手に感じさせて、それが故に、聴き手は大いにポジティブに演奏に心から「のる」ことができるのだ。

今日も寒い一日。でも、昨晩からの雨も朝には上がって、適度な湿気が心地良い、我が千葉県北西部地方の朝。鉛色の雲が割れて青空が覗き、その青空が少しずつ広がって、黄金色の陽が差し込んでくる。一筋の太陽の光が差し込んでくると、鉛色の雲のお陰で塞ぎ込んだ心がポジティブになる。太陽の光の有り難さ、太陽の光の不思議な力である。
 
垣間見る  冬の晴れ間の  有り難さ 
 
 
 
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