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2010年1月22日 (金曜日)

チェット・ベーカーのリリシズム

えらい暖かくなったと思ったら、またまた真冬の気温に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと、体がもたない。こういう時は、出来る限り平穏に過ごさねばならない。無理をすると、体調を崩すのは目に見えている。用心用心。

さて、平穏に過ごす、ということで、今日のお気に入りは、Chet Baker(チェット・ベーカー)の『Peace』(写真左)である。

1982年2月の録音。パーソネルは、Chet Baker (tp) David Friedman (vib, mar) Buster Williams (b) Joe Chambers (ds)。ヴァイヴのデビッド・フリードマンの参加が目を惹く。バスター・ウイリアムスのベース、ジョー・チェンバースのドラムというリズム・セクションも、当時、若手実力派。ピアノレスというところもこのアルバムの特色。

このアルバムは、バスター・ウイリアムスのベース、ジョー・チェンバースのドラムという、当時、若手実力派のリズム・セクションをバックに、デビッド・フリードマンの、そこはかとなく躍動感のある、知的でリリカルなヴァイヴに触発された、チェットのペットのリリシズムを心ゆくまで堪能できる佳作である。

収録曲を眺めると、実に渋い面持ちのホレス・シルヴァーの「ピース」と、他の5曲は、デビッド・フリードマンのオリジナル。曲の構成から見ると、デビッド・フリードマンのリーダー作か? と思ってしまうのですが、このアルバムは、チェットのアルバムです。
 

Chet_baker_peace

 
それが証拠に、デビッド・フリードマンがやりたい放題にガンガンにヴァイヴを弾きまくるのですが、そんなフリードマンのヴァイヴに対して、チェットのペットは、フリードマンのヴァイヴを包むように、ピッタリと寄り添うように、淡々とした枯れた味わいをしっかりと含みつつ、「リリシズム溢れる」フレーズを紡いで行きます。チェットのペットがあってこそ、フリードマンのヴァイヴが惹き立つ、という、さすが、老練な百戦錬磨なチェットのペットです。

1970年代、カムバック後、シワシワの「おじいちゃん」となってしまったチェット。そのシワと引き替えに、チェットは、演奏家としての「円熟味」を手に入れた訳ですが、チェットは、このアルバムでは、その「円熟味」の中から「リリシズム」を大放出しています。

このアルバムの収録曲全曲で、チェットのペットとフリードマンのヴァイヴのリリシズム溢れるパフォーマンスを聴くことができます。「リリシズム=抒情性(じょじょうせい)」って判りにくい表現なんですが、このアルバムでのチェットのペットとフリードマンのヴァイヴは、まさに「リリシズム」溢れる演奏だと言えます。

ああ、なんて平穏で優しくて、流れるようなペットの音なんだろう。そこに、これまた、ちょっとホットで流れるようなヴァイヴの音が交わる。熱気溢れる、ダイナミックなジャズも良いが、今回の様なアーティスティックでリリカルなジャズもこれまた良い。今日はこのアルバムのお陰で心は穏やか。でも、外は真冬の寒さである・・・。
 
 
 
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