最近のトラックバック

« チェット&ペッパー「若かりし頃」 | トップページ | チェット・ベーカーのリリシズム »

2010年1月20日 (水曜日)

コルトレーンの初リーダー作

以前から、着々とジョン・コルトレーンの諸作を聴き直しているんだが、いろいろなアルバムを聴き倒した後、僕は、必ず、このコルトレーンの初リーダー作に戻ることにしている。この『Coltrane (Prestige)』(写真左)には、コルトレーンの彼の個性・特徴がぎっしりと詰まっているのだ。この初リーダー作を聴いて、彼の「基本」を再確認して、またいろいろなアルバムを聴き倒していく(笑い)。

『Coltrane (Prestige)』。1957年3月の録音。記念すべき、ジョン・コルトレーンの初リーダー作。当時、コルトレーンは30歳。初リーダー作を担うには、かなりの遅咲きである。

マイルス・デイヴィスに見出されたのが、1955年、29歳の時なので、もともと、新進のテナーマンとして注目を浴びた時期がかなり遅い。当時、それほど、コルトレーンのテナーは、当時のジャズ・テナーの標準から「かなり外れていた」ということだろう。感謝すべきはマイルス・デイヴィスである。彼がコルトレーンに着目しなかったら、コルトレーンは、ここまでのジャズ・ジャイアントには、なっていなかっただろう。

この初リーダー作には、コルトレーンの個性・特徴がしっかりと詰まっている。演奏スタイルとしては、ハードバップの域を出ていないのだが、後のコルトレーンの個性・特徴をしっかりと押さえてあるのは立派である。Prestigeレーベルとしては「大手柄」である。

1曲目の「Bakai」はトランペッターのカル・マッセイのマイナー曲。サヒブ・シハブのバリトン・サックスを含めた6重奏団での演奏なのだが、コルトレーンのアレンジが好調。テーマ部は、バリトン・サックスの重低音を上手く活かした、6重奏団の分厚いユニゾン&ハーモニーが印象的。

Coltrane_prestige

インプロビゼーション部では、効果的なチェンジ・オブ・ペースを織り込み、レッド・ガーランドのシンプルなピアノとストレートなコルトレーンのテナーを浮き立たせている。テーマ部の分厚さとインプロビゼーション部のシンプルさが非常に対象的で、その対象的な落差が、この演奏のドラマチックな展開に大きく寄与している。アレンジの勝利である。

2曲目の「Violet For Your Furs」、邦題は「コートにすみれを」。マット・デニスによる作品で、実に印象的なバラード曲である。スタンダード曲は「プレーヤーがその楽曲をどう解釈し演奏するか」が楽しみであるが、特に、この「Violet For Your Furs」は、プレーヤーのバラード演奏に対する解釈、見識が良く判る曲である。

ここでのコルトレーンのバラード演奏は絶品。原曲のメロディーを充分に踏まえつつ、中高音域を中心とした、ビブラートを排したストレートなブロウで、情感過多を排除し、余分な甘さを押さえることで、独特のバラード解釈を確立している。確かに、コルトレーンのバラード演奏は判り易く、聴き易い。

3曲目の「Time Was」は、演奏テクニック溢れる、ハード・バピッシュなテナー演奏が実に楽しい。コルトレーンのテナーの最大の魅力は「テクニック」である。この曲でのインプロビゼーション部での展開は穏やかで、コルトレーンの演奏テクニックの特徴である「シーツ・オブ・サウンド」は明快には感じることが出来ない。しかし、コルトレーンの疾走感溢れる、音符を敷き詰めた様な、あの目眩く高速ブロウの世界は、彼の演奏テクニックの最大の特徴だろう。

このコルトレーンの初リーダー作『Coltrane』には、彼の個性・特徴がぎっしりと詰まっている。1つは「卓越したアレンジ&作曲能力」、2つ目は「独特なバラード解釈」、3つ目は「高速ブロウ=シーツ・オブ・サウンド」。この3つの個性・特徴がコルトレーンの魅力。この初リーダー作以降、コルトレーンは、3つの個性・特徴をベースに「実験、チャレンジ、鍛錬」を幾度となく繰り返し、遂には、前人未踏の「超絶技巧」な世界を追求していくこととなる。 
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。 
 
 

« チェット&ペッパー「若かりし頃」 | トップページ | チェット・ベーカーのリリシズム »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/33046850

この記事へのトラックバック一覧です: コルトレーンの初リーダー作:

« チェット&ペッパー「若かりし頃」 | トップページ | チェット・ベーカーのリリシズム »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ