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2010年1月25日 (月曜日)

My Name Is Albert Ayler

サクソフォーン(saxophone)は、金属製の木管楽器の一種。縮めて「サックス」と呼ばれる。肉声にもっとも近いと言われる魅惑の音色。サックスは、肉声に近い音色とブロウが特徴で、その音は時に心を揺さぶるものがある、と言われるが、確かにその通りだと思う。

その「肉声に近い」音色については、ジャズの世界で堪能できる。ジャズの歴史の中で、名を残しているサックス奏者はそれぞれ「肉声に近い」音色を駆使して、唄心を紡ぎ上げている。

久しぶりに、本当に久しぶりに、アルバート・アイラー(Albert Ayler)の『My Name Is Albert Ayler』(写真左)を聴いた。1963年1月の録音。デンマークはコペンハーゲンでの録音である。パーソネルは、Albert Ayler (ts,ss), Niels Brosted (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Ronnie Gardiner (ds)。

ベースのペデルセンの参加が目を惹く。ここでのペデルセンの起用は大正解。アイラーの「叫び」のブロウを、太くて抑制の良く効いた重心の低いベースでしっかりと支えている。くわえて、音程のピッタリと合ったウォーキング・ベースとボウイングは、聴いていて実に気持ちが良い。

さて、改めて、アイラーのサックスは、肉声に近い音色の「叫び」の部分をフィーチャーした、ジャズの中で、サックスの最後の表現方法である「叫び」を全面に押し出した、ジャズ・サックスのパフォーマンスにおける、最後の「メインストリーム・ジャズ」の一つだと思う。
 

My_name_is_albert_ayler

 
このアルバムの収録曲、スタンダードの「Bye Bye Blackbird」「Billie's Bounce」「Summertime」「On Green Dolphin Street」を聴けば、その感覚を判ってもらえるのではないかと思うのだが、いかがだろう。良く聴けば、原曲のフレーズを「叫び」の音色で崩しながらも、底では忠実にコードをキープしている。決して、感情のおもむくまま、気の向くまま吹いている訳では無い。ジャズの伝統の範疇での「叫び」のサックスである。特に、「Summertime」「On Green Dolphin Street」など、もう「圧巻」の一言である。

それまでのジャズ・サックスは、サックスで「唄って」いた。アイラーは、エリック・ドルフィーと並んで、サックスの最後の表現方法である、サックスの肉声に近い音色の「叫び」の部分を駆使して、独特な表現方法を確立した、ジャズ・サックスのイノベーターだと思う。この2人の「叫び」のサックスは、メインストリーム・ジャズの範疇にしっかりと「引っ掛かって」いる。

感情のおもむくまま、気の向くまま吹き続ける「フリー・ジャズ」の範疇のブロウでは決してない。ジャズのど真ん中を、先進的な表現方法を駆使して突っ走ったイノベーターであった。二人ともに若くして鬼門に入ってしまったのは、誠にもって残念である。後10年長生きしていれば、フリー・ジャズを含めたジャズの発展も違ったものになっていたかも知れない。

正統なメインストリーム・ジャズの、ちゃんとしたテクニックに裏打ちされた、アブストラクトな面、不協和音な面を体験するのに相応しい、アルバート・アイラー初期の名作だと思います。
 
 
今日は暖かな一日。先週の大寒の日も暖かな一日だった。他の日もグッと冷え込むとは言え、そんなに底冷えすることもなく、どうも通常の年と比べて、季節が1ヶ月前倒しになっているような感じがする。なんだか、雲から漏れてくる日差しは、心なしかちょっと力強く、少しずつ春が近づいてきているような、そんな雰囲気が、ちょっと嬉しい今日この頃である。
 
光射す 彩り豊か 春近し 
 
 
 
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