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2010年1月16日 (土曜日)

Graham Nash / David Crosby

一昨日、ジャクソン・ブラウンのバイオ本をご紹介したが、このバイオ本を読んでいて、米国西海岸ロックが聴きたくなった。いろいろと聴き進めていく中で、久しぶりに、そのタイトルを見つけて「おおっ、これはっ」と嬉しくなったアルバムがある。

米国西海岸ロックのルーツは、1960年代後半の、フラワー・ムーブメントに遡る。そのムーブメントの中で、主にサイケデリック・ロックが流行したが、サイケディック・ロックとは、麻薬によるトリップを連想させるような歌詞や、幻聴を思わせるような刺激的、幻想的なロックのこと。そのサイケディック・ロックとは正反対の、後の米国西海岸ロックのルーツを形成するバンドが出現する。

ザ・バーズのデヴィッド・クロスビー、バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス、そしてホリーズのグラハム・ナッシュが組んだ「クロスビー・スティルス & ナッシュ」である。美しく力強いハーモニーと、印象的なフレーズ、リフをベースにしたメロディアスなフォーク・ロック調の楽曲。「疾走感と爽快感」そして「繊細な翳りと寂寞感」、後の米国西海岸ロックのベースがこのバンドにあった。

この「クロスビー・スティルス & ナッシュ」にロック色を強めようと招聘したニール・ヤングをメンバー追加した「クロスビー・スティルス・ナッシュ & ヤング」は一世を風靡したが、メンバー同士の軋轢により、あえなく1年半ほどで空中分解。そんな状況の中で、1971年の秋から 2人でアコースティック・コンサートを行っていたデビッド・クロスビーとグラハム・ナッシュは、ジョイント・アルバムの制作を開始。そして、1972年4月にリリースされたアルバムが『Graham Nash / David Crosby』(写真左)である。

Crosby_nash

アルバム全体の印象は、1969年にリリースされた『Crosby, Stills & nash』から、ロック色を薄め、アコースティックな面を全面に押し出した、良質のフォーク・ロックという趣き。美しく力強いハーモニーと、印象的なフレーズ、リフをベースにしたメロディアスなフォーク・ロック調という特徴は、このアルバム『Graham Nash / David Crosby』にしっかりと引き継がれており、名盤『Crosby, Stills & nash』や、Crosby, Stills, Nash & Youngの一連のアルバムのコンセプトは、主に、デヴィッド・クロスビーとグラハム・ナッシュの音楽性が基本となっていたことが良く判る。

一聴すると「ちょっと地味かなあ」という印象がする楽曲が多いと思うのですが、聴き込んでいくと、これがなかなか滋味溢れるものがあって、聴きこめば聴きこむほど、その味わいが判るという、「スルメ」の様なアルバムです(笑)。変なテンションは全く無く、実にリラックスしているというか、実に「穏やかな」雰囲気が印象的です。その「穏やかな」雰囲気の中で、美しく力強いコーラスが突き抜け、フォーキーな爽快感を供給する楽曲がズラリと並んでいます。後の米国西海岸ロックの特徴である突き抜けるような「疾走感」はちょっぴり足りない、

だからこそ「穏やかな」雰囲気を強く感じるのだと思います。その「穏やかな」雰囲気が、1971年の時代ならではの「穏やかさ」で、僕はこの「穏やかさ」に惹かれます。この「穏やかさ」に「繊細な翳りと寂寞感」を強く感じるんですね。そこが良い。米国西海岸ロックの初期の傑作の一枚だと思います。

この『Graham Nash / David Crosby』みたいに、米国西海岸ロックには、日本ではあまりポピュラーにならなかった優秀盤が沢山あります。特に、アサイラム・レーベルには「てんこ盛り」です。意外に、米国西海岸ロックは奥が深い。マニアとして、実に取り組み甲斐のあるジャンルです。 
 
 
 
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