Bobbi Humphrey「もう一丁」
先日、Bobbi Humphreyの『Blacks And Blues』をご紹介した(1月13日のブログ・左をクリック)。ブルーノートLAの「ソウル・ジャズ」の人気盤である。当時、人気を博していた、「ロックとジャズ」や「クラシックとジャズ」の融合音楽「クロースオーバー」とはちょっと違う。後の洗練された、ソフト&メロウな「フュージョン」とも違う。
男女のR&Bもどきのコーラスが、仰々しいストリングス・アレンジが、大々的なアナログシンセの使用が、ちょっと「イモっぽい」。この「垢抜けない」ところが、実は「ソウル・ジャズ」の美味しいところ。垢抜けないんだけれど、ファンキーでシンプルなビートが、そして、何より、テクニックのある、「人」による演奏が良い感じ。
というところで、Bobbi Humphreyのアルバムを「もう一丁」ご紹介したい。1974年6月録音の『Satin Doll』(写真左)。赤ん坊のジャケットが印象的ではあるが、何故「ソウル・ジャズ」のアルバムのジャケ写真が赤ん坊の顔のアップなのかは理解しかねる(笑・この赤ん坊って誰?)。
『Blacks And Blues』では「垢抜けない」度合いが結構高かったが、1年後の『Satin Doll』は、その「垢抜けない」度合いが結構減って、洗練度が上がって、フュージョンに匹敵する爽快感、心地良さがあるが、男女のR&Bもどきのコーラス、大々的なアナログシンセの使用は相変わらずで、そこがやっぱり「垢抜けない」ところで、やっぱり、このアルバムも、ブルーノートLAの「ソウル・ジャズ」の代表盤である。
でも、そのやや「垢抜けない」ところが良いスパイスになっていて、決して飽きないところが凄い。そして、洗練度が向上し、フュージョンに匹敵する爽快感をバックに、Bobbi Humphreyのフルートが実に心地良い。ハイ・テクニックという訳では無いんだが、ぶれの無い、真っ直ぐで素直なフルートの響きが、Bobbi Humphreyのフルートの特徴。とにかく聴き易く、とにかく心地良い。
どの曲でも、そのBobbi Humphreyのフルートが楽しめるが、2曲目のジャズ・スタンダードの「Satin Doll」や4曲目の「Ladies Day」、7曲目の「Rain Again」などでは、Bobbi Humphreyのテクニック溢れる、熱気を感じる、ソウルフルで爽快なフルートが聴ける。
ラストのスティービー・ワンダーの名曲カバー「You're The Sunshine Of My Life」はご愛嬌。ソウルフルなフルートでテーマを奏でて、いざインプロビゼーションへとなだれ込み、なかなか好フレーズを吹き上げた途端に、唐突にテーマに戻って「終わり」。なんだか良く判らないカバーで不発に終わっている。惜しいなあ。
ブルーノートLAの「ソウル・ジャズ」の人気アーティストBobbi Humphreyのアルバムは、先の『Blacks And Blues』と、この『Satin Doll』で十分かと。同時代の他のアルバムは、この2枚と殆ど同じ内容なので、追加で手に入れても、ほとんど新しい発見は無いです。逆に言うと、この『Blacks And Blues』と『Satin Doll』の2枚のアルバムの出来がかなり良い、ということになります。
80年代以降も、幾枚かアルバムをリリースしてはいるが、内容としては「ソウル・ジャズ」の面影は全く無く、打ち込みがベースの「エレクトリック・ファンク・ボーカル」然としたもので、ジャズとしては聴くべきものは無い。Bobbi Humphreyのフルートは、この70年代の「ソウル・ジャズ」時代の演奏が一番です。
今日はちょっと寒さが和らいだかなあ、という感じ。今朝は、さすがに氷は張っていなかった。けど、空気は冷たい。手が冷たくて痛くなるほど。明日から暖かくなり始めて、明後日などは最高気温が14度の予想なんて言うけど、本当かなあ。
寒の入り 紫煙に混じる 白い息
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