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2009年12月24日 (木曜日)

ジャコ・ウェザーの最高傑作

さて、久しぶりに(2ヶ月ぶりくらいかなあ)、Weather Reportのお話しを。確か、このブログでは『Heavy Weather』までお話ししたはず(10月7日のブログ参照・左をクリック)。今日は次作、ジャコ・ウェザーの傑作『Mr.Gone』(写真左)について語りたい。

「エスニック&ユートピアな音作り」は後退、フュージョンの音作りを大々的に取り入れた。ポップ色が強まった。冒頭の「Birdland」は、ユートピアな音作りの面影は残っているが、とにかく「ポップ」。キャッチャーなリフ、印象的なフレーズ。まるでロック。これは売れて当然。判りやすくて印象的。実際に売れた。『Heavy Weather』は売れた。ジョー・ザビヌルの満願達成である。

ポップな面は、ジョー・ザビヌルの面目躍如ではあるが、メインストリーム・ジャズとして、『Heavy Weather』を要所要所で締めているのは、ジャコのプロデュース能力である。ユニゾン&ハーモニーの重ね方やベースラインの展開は「ジャコならでは」のもの。やはり、ジャコの参入は「ただごと」では無かった。単に、ベースラインの強化だけでは無かった。ジャコは、Weather Reportをジャズ界一のエレクトリック・ジャズ・コンボに昇格させた。

で、次作である。ザビヌルは何を思ったか、ジャコ・パストリアスに全体のプロデュースを任せた。メンバー的にも、ジョー・ザヴィヌル、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアス、ピーター・アースキン、というウェザー・リポート最強のメンバーが出揃った。ジャコに任せたら、なんと希有な傑作が生まれてしまった。

この『Mr.Gone』は、Weather Report最高のメンバーに恵まれ、ジャコ・パストリアスという、希有な天才のミュージシャンが、好きなだけ自由にプロデュースの才をふるった、全く、ジョー・ザビヌルのコントロールが及ばない、ジャコの才能を心ゆくまで堪能できる、歴史的な成果を誇るアルバムである。

Mr_gone

冒頭の「Pursuit of the Woman With the Feathered Hat(貴婦人の追跡)」を聴くだけで判る。このアルバムが、ジョー・ザビヌルのものでないことを。

アーティスティックな雰囲気に彩られた、エスニックでアーシーで、ワールド・ミュージック的な音世界。この音世界は、ポップで俗っぽいザビヌルのその世界とは一線を画する。ジャコの音世界は、ザビヌルやウェインの音世界を凌駕するどころか、包み込んでしまうほどの懐の深さである。

とりわけ、6曲目のジャコ作『Punk Jazz』が凄い。ザビヌルも、ポリフォニック・シンセで真っ向から応戦しているのだが、あまりにもジャコのインプロビゼーションが凄すぎて、他のメンバーが目立たなくなるほど。凄まじきジャコの音世界である。ラスト8曲目の「And Then」が終わると、「もう終わるのか」と、もっと聴いていたくなるほどの、圧倒的にアーティスティックな音世界である。

僕はこの『Mr.Gone』の音世界が大好きだ。でも、リリースされた当時は、評論家筋の評価は全く思わしく無かった。でも、今の耳で聴いても、この『Mr.Gone』の音世界は、Weather Reportのアルバムの中でもトップクラスである。当時、何故、あんなに評価が低かったのかが理解しかねる。

このアルバムの成果を聴いて、ザビヌルは焦った。次作はライブアルバムで行き過ごして対策を練る。でも、ジャコの音世界を排除することは出来ない。そこで、ザビヌルは大団円な解決策に出る。ジャコ半分、ザビヌル半分。ジャコのアーティスティックな音世界とザビヌルのポップな音世界を等分に融合して、これまた、Weather Reportの傑作を生み出すことになる。その話はまた後日・・・。

今日はクリスマス・イブ。駅前では、元気よく「チキン」を売っている。元気よく「ケーキ」を売っている。厳かな聖夜の雰囲気はここには無い(笑)。賛美歌も流れず、キャンドル・サービスも無く、ただただ、元気な若い売り子の声だけが夜空に響いている。
 
厳かに 星降る聖夜 君を待つ
 
 
 
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