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2009年12月20日 (日曜日)

Beatlesの『Let It Be ... Naked』

今日は日曜日、日曜日恒例のBeatlesのリマスターCD特集なんですが、先週、『Let It Be』について語った展開でいくと、今日はやはり、2003年にリリースされ、センセーショナルな話題を振りまいた再編集盤を採り上げない訳にはいかないなあ、ということで、今回は『Let It Be ... Naked』について語ってみました。

さて、オリジナルの『Let It Be』は、ご存じのように、Beatlesの4人の正式な関与は全く無く、彼らがこのアルバムについて、リリースをOKしたものでもありませんでした。確かに、他のアルバムと比べて、全体に漂う雰囲気が違います。弦のアレンジも、どうもあまり良い塩梅では無い。音のピッチなどまで含めて、かなりの面でオリジナル音源をいじくっていて、そこまでするのか、という感じが常に漂うアルバムで、僕は好きではありません。よって、あまり聴いたことが無い。

しかし、2003年、フィル・スペクターによる編集やオーバー・ダビングを除いた『Let It Be ... Naked』(写真左)が、Alan Rouse、Guy Massey、Paul Hicksのプロデュースによって制作されリリースされました。当然、ポール、リンゴをはじめとしたBeatles関係者監修の下で、です。つまり、フィル・スペクター作の『Let It Be』を全否定して、『Let It Be』を再構築したものが、この『Let It Be ... Naked』になります。

オリジナルの『Let It Be』と比べて、曲順はガラリと変わり、選曲も一部変わっています(詳細はネットでかなり語られていますので、そちらを参照して下さい)。これはこれで、Beatles のひとつのアルバムに仕上がっています。

少なくとも、フィル・スペクター版の『Let It Be』に漂っていた、いい加減で投げやりで、ちょっと陰鬱で退廃的な雰囲気は払拭され健康的になり、フィル・スペクター版の『Let It Be』に漂っていた、このアルバムがBeatlesの「ラストアルバム」に相応しいという感じは無くなっています。といって、ポールの当初目的だった「Get Back(原点回帰)」という雰囲気もありませんけど・・・(笑)。

『Let It Be ... Naked』は音が良いです。今回のオリジナル『Let It Be』のリマスターCDよりも音が良い。これはミックスから、やり直したからでしょうね。演奏の音の粒立ちが良く、活き活きとしています。音の鮮度が高まると、それだけでも、この『Let It Be ... Naked』全体の雰囲気がポジティブに聴こえます。逆に音の分離が良すぎるだけ、それぞれのメンバーの演奏の「あら」が良く判るようになってしまいました。ちょっとジョージには気の毒だったかも。
 

Let_it_be_naked_12

 
興味深かったのが、ポールとスペクターの確執で有名な「The Long And Winding Road」。フィル・スペクターの大袈裟な弦のアレンジに激怒したポールですが、この『Let It Be ... Naked』は、そのフィル・スペクターのアレンジを全て取り去って、再構築しています。が、たしかに、オーケストラの入らないシンプルな演奏は魅力的ではありますが、どことなく間延びして、メリハリが感じられない展開になっています。

スペクターの仰々しいアレンジは僕も好きではありませんが、この『Let It Be ... Naked』での「The Long And Winding Road」も、かなり違和感があっていけません。シンプルなのは、ビートルズらしくて良いんですが・・・。完全にポールの再アレンジは不発でした。もともと楽曲としての素性は素晴らしいので、もう少し、原曲を最大限に活かせるような「現実的な」アレンジが欲しかったと思います。

そうそう、それとジョンの名曲、僕も大好きな「Across The Universe」ですが、『Let It Be』と『Let It Be ... Naked』ではピッチ(テープ速度)が異なります。フィル・スペクターがどうしてそうしたのか理解に苦しむのですが『Let It Be』のピッチは、人工的に遅くされています。

『Let It Be ... Naked』の方が正しいピッチです。あの魅力的なジョンの声が正常に聴こえてきてホッとします。ジョンのボーカルが健康的に聴こえる分、すっきりとした「シンプル感」が全面に出てきて、オリジナル『Let It Be』での「Across The Universe」の、ちょっと暗い、ちょっと倦怠感漂う印象が、全面的に払拭されています。『Let It Be ... Naked』の「Across The Universe」の方が圧倒的に、Beatlesらしいですね。

長々と書いてきましたが、今回のリマスターCDで音が一段と良くなっても、やっぱりフィル・スペクターがプロデュースした『Let It Be』は、やっぱり好きになれず、そのリミックス〜再構築版である『Let It Be ... Naked』は、あと一歩、あと一味、そう「なにか足りない」という感じがつきまとって、最後まで乗り切れない感じが残りました。

恐らく、やはり「ゲット・バック・セッション」の音源は、Beatlesの正式アルバムとして、リリースしてはいけない音源だったような気がします。「アンソロジー」の音源と同等の扱いで、コレクターズ・アイテムとして、マニアの方々に正式リリースした方が良かったのかもしれません。 
 
今日もヒンヤリと冷え込んだ一日。日差しは豊かなんだが、なんせ、取り巻く空気が冷たすぎる。今日は、高校駅伝が京都で開催されている。高校駅伝の声を聞けば、いよいよ年の瀬も近いって感じがしますね。今日の京都は寒そうです。
 
寒風を 切ってランナー 京を行く   
 
 
 
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コメント

僭越ですが、気になる点を少々。

Nakedのリリースは2003年です。

フィル・スペクター版はジョンの依頼で制作され、4人ともリリースに同意しています。

当初、ポールは、、フィル・スペクターのThe Long And Winding Roadを聴いて、動揺し、女性コーラスと弦のボリュームを下げるように求めています。

その後、訴訟の段階になってから、激怒というスタンスに改めています。

4人とも、未発表アルバムGet Backについて、積極的でした。なぜなら、1969年5月にアルバム用ミックス完成後、映画製作の遅延で、発売延期になり、その後、ジョンの非公表脱退後、映画の内容に合わせて、わざわざ3人でI Me Mineのレコーディング、Let It Beのオーバーダブを1970年1月に行っています。注目すべきは、新たに収録することになったI Me Mineと1968年録音のAcross The Universe以外の曲についてNGを出していないということです。

その後、ジョンの意見が豹変して、フィルへの依頼につながります。
ジョンは感化されやすい性格なので、Cold Turkyのレコーディングでフィルのファンになったことと、Get Backのミックスを担当していたグリン・ジョンズがThe Beatles を使って売名行為をしてると決めつけていたことと無関係ではないと推測できます。

オーバーダブなしでというコンセプトはビートルズによって1969年4月に破られています。この時、Let It Beに新たなギターソロがオーバーダブされています。その後も、コーラス等のオーバーダブ、For You Blue のボーカル差し替えなどがなされています。

2015年のリミックスで、フィル版The Long And Winding Roadも多少、印象が変わりました。若干、ポールのボーカルが前に来て、弦が少し奥に行った印象でしょうか。

面白いことに、90年代になるとフィル版の弦に近いアレンジでポールがThe Long And Winding Roadをセルフカバーしています。

最後に蛇足ですが、Across The Universe は1970年のグリン・ジョンズのミックスが一番、素晴らしいと思います。(私見)

どうもすみませんでした。2003年に修正しました。

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