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2009年11月 1日 (日曜日)

Sgt. Pepper's はモノラルが凄い

季節が1ヶ月ほど逆戻り。酷く暖かな今日。昨日までの気候を前提に、上着をはしょって外出したら暑くて暑くて。気温も最高気温24度、夏日一歩手前である。この強烈な季節の逆戻り。この気温の劇的な変化に体がついていかない。体調最悪の日曜日である。紅葉前線も一歩後退の感。

時季を待つ 色付く前の 銀杏かな

さて、日曜日恒例、BeatlesのリマスターCD特集である(笑)。ん〜、日曜日恒例だったっけ、まあ良し。今日は、かのフラワームーブメント真っ只中の『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(写真左)である。

前作『Revolver』より、ジョンは、会社で言うと「会長職」に身を引いて、実際のビートルズの音作りの運営を司る「社長」的立場をポールに跡目を継がせてやらせてみる、という環境の変化があった。実質、Beatlesをトップで運営するのはポールである。前衛的、ヲタク的なスタジオワーク、サイケディック、どんな歌を歌っても良い、となると、この世界って、ポールが大好きな世界である。

でも『Revolver』では、会長職ジョンに、サイケ路線でポールを上回る成果をぶつけられて、ポールは「どんな歌を歌っても良い」というところに引きこもる。絶対に脳天気なポールにしか書けない名曲がぞろぞろ出てきて、ポールは「これだ、俺はコレで勝負する」と思った。

そこで思いついたのが、架空のライブバンド・グループを仕立てあげて、この架空のライブバンドとして演奏することで、ポールの大好きな音世界を実現しようと企てる。「何をやってもいいんだ。僕らはビートルズじゃないんだから」とポールは他のメンバーに言い聞かせて、架空の世界の曲を詰め込むことで、この『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の制作に乗り出した。

このアルバムは、決して、コンセプトアルバムの類では無い。冒頭「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」とラスト前「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)」と、同じ主題の曲でサンドイッチされっているので、その間に挟まれた楽曲は、なんらかのコンセプトで統一された曲が並んでいるか、と言えばそうでもない。ポールの大好きな「どんな歌を歌っても良い」という方針には沿ってはいるが、コンセプトの統一感は希薄。大きく括って、サイケデリックってところが、なんとなく統一感として漂うくらいかな。

このアルバムでも、さすがはジョン。決して、全面的にポールの好きなようにはさせない(笑)。サイケデリックという面では、このアルバムでも、さすがはジョン。ポールをしっかりと押さえつけている。3曲目の「 Lucy in the Sky with Diamonds」、7曲目「Being for the Benefit of Mr. Kite!」、11曲目「Good Morning Good Morning」、そして共作ではあるが、ラストの「Day in the Life」。いずれもジョンの作であるが、十分にサイケデリックで、十分にシュールである。ジョンはサイケが苦手だったらしいが、これで苦手だと言われたら、他に立つ瀬がない(笑)。

Sgt_peppers

ポールは、ジャケットデザイン、服装、アルバムの付録、等々に手腕を振るってはいるが、フラワームーブメントの影響をモロに受けているだけに、21世紀の今になっては「ウムムム」という感じ。フラワームーブメントを代表する、一過性のブームに乗っかった代表的デザインとしては評価できるが、以前の様なそれ以上の評価は「ちと苦しい」。

さて、肝心の音であるが、「モノラル・ミックスでこそ、本当に『Sgt. Pepper's』を聴いたことになる」という、Beatlesのプロデューサーのジェームス・マーチン御大の強烈なお言葉通り、今回「白箱」として発売された、モノラル・ミックスCDの音が圧倒的である。これがモノラルか〜、と仰け反る、驚愕の立体感溢れる音。ステレオの左右のスピーカーの間にポッカリと浮かんだスクエアな音空間。このスクエアな音空間に、手前から奥にかけて様々な音が重なって、聴いたことのないような、迫力満点の音の塊が形成されている。

モノラル・ミックスは、レコーディング・セッションを通じて、何バージョンも作られ、どれがイメージに近いか、ビートルズとジョージ・マーティンの間で検討されたほどで、モノラル・ミックスの出来は「驚愕の出来」である。今まで、この『Sgt. Pepper's』のモノラル・ミックスは聴いたことが無かったが、今回、初めて聴いて、これほどとは思わなかった。しかも、モノラル・ミックスには、ステレオ・ミックスに無いエフェクトがあちらこちらに入っている。実に丁寧に作られている。

とにかく分厚い、ライブ感溢れる音の塊。架空のライブバンド・グループを仕立てあげて、この架空のライブバンドとして演奏する、というイメージが、このモノラル・ミックスを通じて、実に良く理解できる。確かに、この音の塊、この音の重なりは、従来からのビートルズのライブを彷彿とさせる。う〜ん、言葉では表現し難いなあ。うん、聴けば判る(笑)。

ステレオ・ミックスは、ビートルズ抜きで「たった2日半で終了した」とエンジニアのジェフ・エメリックが証言している通り、また「ステレオ・ミックスの時にビートルズは休暇に行っていた。いわばステレオ・ミックスは誰にも承認を得ずに発売された」とも言われる通り、ちょっと「???」な出来だと思う。初めて聴いた高校生当時から、この『Sgt. Pepper's』のステレオ・ミックスは苦手中の苦手で、このステレオ・ミックスを聴く限りは、この『Sgt. Pepper's』を決して好意的に評価することが出来なかった。

モノラル・ミックスを前提として、マルチ・トラックで収録された音源を無理矢理、左右のトラックに振り分けている感じがモロでていて、人工的な雰囲気が僕は苦手です。このステレオ・ミックスも、87年初CD化の時、ジョージ・マーティン御大自ら、手を加えることはありませんでした。効果的に、手を加えることが出来なかったと思われます。

でも、今回のモノラル・ミックスを聴くことが出来て良かった。やはり、この『Sgt. Pepper's』は、ビートルズの傑作とは言えないまでも、ポールのリーダー期のビートルズとしては、実に良い出来だと思う。恐らく、一番ポールが頑張って、それが一番良い効果として作用したアルバムではないか、と好意的に評価しています。でも、確実に、メンバー間のグループサウンズに関するバランスが崩れかけています。振り返れば、ポールのリーダーとしての手腕に問題があったのだと理解しています。
 
とにかく、この『Sgt. Pepper's』のモノラル・ミックスは「聴きもの」です。この『Sgt. Pepper's』のモノラル・ミックスも、何とかして、一度は耳にして頂きたい。借りてでも、はたまた、持ち主の所に押しかけてでも、一度、聴いて頂きたいと思います。
 
 
 
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コメント

だから・・・

貸してください・・・

前回リボルバーの時もコメントしたんですが、
没になってしまいました。悲しい・・・
ま、書いたことは同じ、貸してください、ということと
「今から最終の新幹線に乗って押しかけてもいいですか」
ってことぐらいですが(^^;

ポールさんの作品、「She's Leaving Home」が好きです。
というのも、前の来日のときに生で聞いて、感動のあまり
涙してしまったからです。
この年になって、娘がいて、初めてわかる歌詞の深さ。
ポールだって、深い歌詞が書けるのね~

とはいえ、ジョンの「Day in the Life」は』反則級にいいですなぁ~

これはこれは、まいど〜、ひとみちゃん。
 
うんうん、今度なんとかします。高校時代〜大学時代の恩返しをしますって、
なんとかします(笑)。うんうん、最終の新幹線に乗って押しかけて
来てもええよ(笑)。こちらへ来れば、なかなかのステレオ装置で、
モノラル・ミックスを楽しむことが出来ます。

とにかく『Rubber Soul』『Revolver』『Sgt.Pepper's』の3枚はなんとか
せなあかんな。絶対に、この3枚のモノラル・ミックスは聴くべきです。
 
なんとかしましょう。松和の恩返しです(笑)。
 

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