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2009年11月 5日 (木曜日)

モンクのソロピアノは上級向け

これだけ、朝晩冷え込むようになると、決まって鍋が恋しくなる。この季節、土鍋の初出動が大体この10月の終わりから11月初旬。我が家でも、既にキムチ鍋、ラーメン鍋、味噌煮込み鍋など、鍋物が多くなってきた。

秋深し 鍋の蒸気に 曇る窓

さて、昨日、ジャズのソロピアノは、そのピアニストの個性がモロに表れて面白い、と書いた。ソロピアノの演奏を聴きながら、そのピアニストの個性が掴み取れるようになったら、ジャズを聴くことがより一層楽しくなること請け合いです、と書いた。しかしながら、駆け出しのジャズ者初心者の方でも、いや、音楽の好きな人なら、一度聴いただけで、その個性をつかみ取ることが出来るジャズ・ピアニストがいる。セロニアス・モンクである。

セロニアス・モンクのピアノは、独特のスタイルというか、和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが独特、というか唯一無二というか、聴いたことが無いというか、かなり変というか、なにしか、決してフォロワーを生まない、一度聴いたら忘れられない、それはもう独特のものである。

しかし、その独特なものというのが、協調和音中心という「音楽」の次元から、かなり離れたもので、リズム的にも、自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極のモンクのピアノである。

そのモンクのピアノを、一番良く体感できるアルバムが、Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年のリリース。モンクの絶頂期のソロピアノである。モンクの独特なピアノを感じるソロピアノとしては、1954年録音のヴォーグ盤もあるが、音質という面で『Thelonious Himself』に軍配が上がる。
 

Thelonuous_himself

 
この『Thelonious Himself』はモンクのキャリアの中で、絶頂期でのソロピアノなので、とにかく「尖っている」。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。どう考えても外れているとしか思えない和音。おおよそ、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極の音ばかりなで、テクニック的にも訥々としているので、モンクは下手くそだと思ってしまう。

しかし、これが、意図的に選ばれた音のかたまりなのである。意図的に重ねられた音なのである。意図的に構成されたビート感なのである。CD化にあたって追加されたトラック、6曲目「'Round Midnight (In Progress)」を聴けば良く判る。22分に及ぶ長いトラックのなかで、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。

そこで聴くとの出来る音が、独特のスタイルというか、和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが独特、というか唯一無二の「響きとビート」。違和感をバリバリに感じる不協和音が、不思議と魅力的な音に昇華して、孤高のソロ演奏に仕上がっていく。本当にモンクの音楽って不思議です。

この「'Round Midnight (In Progress)」をじっくり聴くにつけ、他の曲も、同様のプロセスで検討され、構築されているんだ、と思って、何か感慨無量なものがあります。モンクの「芸術家として、考え抜かれた」個性的なソロ。しかし、あの独特のスタイルというか、和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が「芸術家として、考え抜かれた」ものだとしたら、モンクの頭の中ってどうなっていたんでしょう(笑)。

『Thelonious Himself』の音世界は、ひとつひとつの音に意味がある訳ですが、何かいったいそうなのか、とても一朝一夕には判らない、とても深い深い音世界です。ジャズ者初心者の方には違和感だらけのソロピアノだと思います。モンクの音世界は、どれもが独特、というか唯一無二の「響きとビート」であるということだけは一聴して判りますが、後は「ちんぷんかんぷん」かと思います。迂回して下さい。

ジャズ者上級者になって、じっくり耳を傾けるようになっても決して遅くない、モンクの傑作の一枚です。モンクを理解する仕上げが、の一連のソロピアノのアルバムを楽しむことなのかもしれません。
 
 
 
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