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2009年11月30日 (月曜日)

『Mulligan Meets Monk』

さて、リバーサイド時代のセロニアス・モンクを聴き進めている。ジャズ入門書やジャズ盤紹介本に挙がるような定番の「モンクの有名盤」以外にも、リバーサイド・レーベルにはモンクのリーダー作で、なかなかの聴きモノが沢山ある。

今日、聴き込んだモンクのアルバムは『Mulligan Meets Monk』(写真左)。1957年8月の録音。パーソネルは、Gerry Mulligan (bs) Thelonious Monk (p) Wilbur Ware (b) Shadow Wilson (ds)。Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)といえば、米国西海岸ジャズの中心人物、バリトン・サックスの名手。そのマリガンと最盛期のモンク、二人のジャズ・ジャイアンツによるアルバムです。

モンクのあの独特と音の重ね方、あの独特なリズム感、あの独特なフレーズに、マリガンが、どうやって立ち向かうか、が興味の的です。マリガンも、結構柔軟で協調性が高いように見えるんですが、意外と自分のペースを貫き通すところがあるので、ジャズ界の最高の個性であるモンクとの組合せは如何に、というところですが、これが以外や以外、結構、充実した内容になっています。

モンクの音に、モンクの演奏に合わせて、マリガンが非常に良く反応しています。モンクの独特のフレーズを良く理解して、変に重ならない様、効果的にユニゾン&ハーモニーが出来る様、注意深く、時に反射的にカウンターをかましていきます。あのでっかいバリトン・サックスを自由に操りながら、モンクの独特なフレーズとリズムに追従するマリガンって凄いですね。

冒頭の「'Round About Midnight」はすばらしい出来です。かなり有名なモンク・スタンダードなんで、どうなることやら、と思いましたが、2人の掛け合いは、程良い緊張感の下、なかなかのものです。
 

Mullian_meets_monk

 
「Sweet and Lovely」は唯一のジャズ・スタンダードですが、モンクのピアノは「どこが、Sweet and Lovelyなんや〜」って感じで、モンクの個性をバンバン振りまいて、圧倒的に「硬派に」ガンガン弾き倒します。マリガンはそんな全快モンクを向こうに回して、モンクのピアノに絶好カウンターをかまして、印象的なフレーズをガンガンに繰り出します。このやりとりを聴くと、ジャズってええなあ、って思います。

ベースのWilbur Ware、ドラムのShadow Wilson は、モンクとマリガンの2人に比べて、あまり目立ちません。モンクとマリガンを自由にコラボさせるべく、しっかりとリズムとビートをキープする役割に徹しているようです。

特に、ドラムのShadow Wilsonは目立たない。叩き出すリズムは「ツンツク、ツンツク、ツンツク」という単調な4ビートなリズムが多くて、リズムボックスのよう。もう少し、ドラムとして変化をつけて、モンクとマリガンに絡めば面白かったと思うんですが・・・。

モンクの名盤、マリガンの名盤という類のアルバムではありませんが、聴いていて楽しい二人のコラボ。特にモンクは楽しそう。絶好調にモンク・フレーズをガンガンに叩き出しています。逆に、マリガンはそんなモンクを向こうに回して、疲れたのかなあ。このアルバムの後、二人のコラボが再現されることはありませんでした。

なかなか良いアルバムです。モンクとマリガンの「一期一会の出会い」を心ゆくまでお楽しみ下さい。
 
 
 
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