Magical Mystery Tour は互角
日が短くなった。17時前後で「暮れなずむ黄昏時」である。17時を過ぎれば、夜のとばりが降り始め、18時ともなれば、すっかり夜、という感じの我が千葉県北西部地方。夜が早いというのは、あまり好きではない。もっと西の地方に住みたい・・・。
立冬の 淋しき夕日 暮れなずむ
さて、日曜恒例のBeatlesのリマスターCD特集である。今日は『Magical Mystery Tour』(写真左)である。同名のサウンドトラックに、1967年のシングル曲を加えたアメリカ編集アルバムである。もともと英国では、同名のサウンドトラックをEP2枚組でリリースしたが、EPに馴染まない米国はこれを拒否。1967年のシングル曲を加えたLPとしてリリースし、今では、このLP仕様が正式盤としてリストアップされている。
さすが、米国主導型でセットアップされたLPだけあって、ステレオ・ミックスが健闘している。『Sgt. Pepper's』までの、ステレオ・ミックス独特の違和感がかなり少ない。「Magical Mystery Tour」「Fool on the Hill」「I Am the Walrus」「Hello Goodbye」「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」「All You Need Is Love」は、僕は青盤が初体験だったので、今回の『Magical Mystery Tour』に収録されている青盤体験の曲は違和感が無い。
今回の『Magical Mystery Tour』は、モノラル・ミックス盤に収録されている演奏の方が違和感を覚えるのでは無いか、と思っていたのですが、それは無かったですね。モノラル・ミックスはモノラル・ミックスで、やはり凄いですね。今回、この『Magical Mystery Tour』のモノラル・ミックスは初体験でしたが、やっぱり「Beatlesはモノラル」を再認識しました。
冒頭の「Magical Mystery Tour」を聴き比べすると判るのですが、モノラル・ミックスのドライ感と音の密度が高い感じ、そして、音のエッジが優しく柔らかい感じが実に良いんですね。聴き心地が良いとでも言うのでしょうか。それに比べて、ステレオ・ミックスは少しキンキンするというか、音のエッジが立っている感じなんですよね。ちょっと派手派手しいって感じかな。この辺は、もう好みの問題でどちらが良いか分かれます。ちなみに僕はモノラル・ミックスの方が好きです。
「Fool on the Hill」については、ポールのボーカルを楽しむには、やはりモノラル・ミックスの「音のエッジが優しく柔らかい感じ」がポールの甘いボーカルにフィットしていて、心地良さは、モノラル・ミックスに軍配が上がりますが、この歌の持つ幻想感を上手く表現しているのは、ステレオ・ミックスです。モノラル、ステレオ双方甲乙付け難い。
「I Am the Walrus」は、モノラル・ミックスの方が圧倒的に良いです。ステレオ・ミックスの方も、どうも途中からモノラルになっているみたいなんですが、モノラル・ミックスの方が、よりきめ細やかというか、丁寧にミックスされていて、なかなかに「ド迫力」な「I Am the Walrus」が聴けます。
「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」は、モノラル、ステレオ、甲乙付け難いなあ。聴いていると、やっぱりモノラル・ミックスは、どの曲も「ドライ感と音の密度が高い感じ」が際立ちます。そして、音のエッジが優しく柔らかい感じが独特ですね。このモノラル・ミックスの「聴き心地の良さ」は結構、クセになります。
ラストの「All You Need Is Love」は、モノラル・ミックスの音の分厚さと迫力に、ぶっ飛びます。前奏の「フランス国歌」部分のブラスの音とオーケストラの弦の質感と、そこに上から被さるように、浮かび上がるように入ってくるジョンのボーカル。これは圧倒的にモノラル・ミックス・バージョンが聴きものです。このモノラル・ミックスの「All You Need Is Love」にはビックリした。
ステレオ・ミックスの「音の拡がり感」は、この『Magical Mystery Tour』にきて、やっと「それなり」になってきました。ステレオ・ミックスの本来の特性を、長所して供給することが出来るようになったのは、この『Magical Mystery Tour』からではないでしょうか。今回の『Magical Mystery Tour』のステレオ・ミックスは良いです。モノラル・ミックスと互角に渡り合っています。
「Flying」「Blue Jay Way」などのサイケデリックものは、モノラルに軍配。「Your Mother Should Know」「Hello Goodbye」や「Baby You're a Rich Man」など、シンプルなボーカルものは互角。真ん中にボーカルが座っていた方が良い楽曲はモノラル、真ん中に座っていなくても違和感の無い楽曲はステレオでも可、ってところかなあ。
今回の『Magical Mystery Tour』は、モノラル・ミックス、ステレオ・ミックス、共に互角です。初めてビートルズを聴くという様な、若い世代にはステレオ・ミックスの方がお勧めかな。昔、LPで、ステレオ・ミックスを聴き込んだ年配の方々には、是非ともモノラル・ミックスを体験して頂きたいです。部分的にではありますが「やっぱりBeatlesはモノラル」を体感できます。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
« ピアノ・トリオの代表的名盤・3 | トップページ | エバンスに一番似合う曲って... »
コメント