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2009年11月15日 (日曜日)

Beatles 最後のモノラル盤

今日は朝から快晴の千葉県北西部地方。おおよそ1週間ぶりの青空である。しかも暖かい。日差しもふんわり柔らか、実に心地良い一日。こんな日はノンビリと本でも読みながら過ごしたいんだが、なかなかそうもいかない。車の整備、本の整理などなど、細々と片付けものはいろいろある。

うららかな 小春日浴びて 至福かな

さて、日曜日恒例のBeatlesのリマスターCD特集、今日は『The Beatles(White Album)』(写真左)である。このアルバムまでが、モノラル・ミックスとステレオ・ミックスが併存している。つまりは、モノラル・ミックスがリリースされた、ビートルズ最後のアルバムである。

もともと、このアルバムについては、僕は複雑な心境を抱いている。正直に言うと、どうしても心から好きになれないのだ。巷では「名盤」の誉れ高いのだが、どうも、僕にとっては、頭では理解できるのだが、感覚的にはどうも好きになれない、厄介なアルバムである。よって、ビートルズのアルバムの中で、ターンテーブル、及び、トレイに載る回数が一番少ないアルバムである。

この『The Beatles(White Album)』を初めて聴いたのは高校1年生の秋。なんだか未完成の曲ばかりが並んでいるようで、その時は、この未完成みたいな曲が実は素晴らしく、自分はそれが理解できないだけだと思っていた。で、大学時代にじっくり何度も聴き返してみて、やっぱり、どうもしっくりこない。どうもデモ・テープを聴いている感じばかりがする。逆にこんな未完成な曲ばかりを2枚組に詰め込んでリリースするなんて、聴き手を軽んじているんではないのだろうか、とさえ思った。

僕も音楽の作り手、演奏する側にいたこともあるんで、音楽の作り手としては、このアルバムは中々面白い。面白いアイデア、フレーズが満載なのだ。でも、アルバム全体の出来は、と問えば、どうしても、巷で言われるような「名盤」とは思いがたい。

おそらく、楽器やボーカルを別々のパートに分けて録音し、後でミックスしていくという、オーバーダビングという録音手法がビートルズという集団には不適だったように思える。生気に欠けるというか、アグレッシブな感じが他のアルバムに比べて乏しいように感じるのだ。元々、ビートルズは優れたライブ・バンドである。オーバーダビングという録音手法が、そのライブ・バンドとしての本質を阻害しているように感じる。

ビートルズとはどういう才能を持ったメンバーで構成されていたのか、ということを実感するには最適だが、ビートルズとはどういうグループだったのか、を理解するには、どうも相応しくないと思うのだ。つまり、ビートルズの「個」を理解するには最適だが、ビートルズの「集団」を理解にするには、どうも良くないなあ、という感じなのだ。

White_album_6

『The Beatles(White Album)』を、ビートルズ最高のアルバムと認識できない人間は、ビートルズの真の理解者とは言えない、とまで言われるが、そういう意味では、僕はビートルズの真の理解者ではないのだろう。どうしても思えないのだ、僕は『The Beatles(White Album)』が、ビートルズの最高傑作とは・・・。ビートルズらしさという面では、『Rubber Soul』と『Revolver』の対をなす2枚のアルバムの方が、ビートルズらしいと思うんだがなあ・・・。

さて、本題のリマスターCDの件だが、この『The Beatles(White Album)』から、ステレオ・ミックスにも本腰を入れだした形跡がありありと見える。ステレオ・ミックスの音の定位が、かなり良くなり、ステレオの音の広がりも改善されて、やっとこの『The Beatles(White Album)』に至って、ステレオ・ミックスの音に違和感を全く感じなくなった。モノラル・ミックスとステレオ・ミックス共に「甲乙付けがたい」音になっている。

曲毎に聴くと、モノラル・ミックスの方が良い曲もあるし、ステレオ・ミックスの方が良い曲もある。一概には言えないが、ステレオ・ミックスを前提とすると、オーバーダビングをする際に、音の定位を十分意識して、音のバランスを組み立てていく必要がある。この音のバランスと組み立ての部分で、当時の録音機材や録音ノウハウは、まだまだ技術的に不足な部分があったと思われる。

大雑把に言ってしまうと、ジョンの曲はモノラル・ミックスの方が良い、ポールの曲はステレオ・ミックスの方が良い、ジョージの曲は、モノラル、ステレオ共に味わい深く、リンゴの曲はステレオ・ミックスの方に軍配が上がる。つまりは、オーバーダビングという録音手法に「はまった」のがポール、オーバーダビングという録音手法を嫌ったのがジョン、ジョージとリンゴは、オーバーダビングにとりあえず付き合った感がある。

そんなメンバーの「個」としての音作りのスタンスの違いが、バンドの音という面で「不協和音」を起こしているのが、モノラル・ミックスとステレオ・ミックスを聴き比べていると良く判る。これだけ、音作りのスタンスが違うと、もうバンドとしての「トータルなアルバム作りは成立しない」だろう。

さらに、オーバーダビングを前提として曲を作り上げていくと、アルバムの収録曲をライブで再現するのが困難になるが、この『The Beatles(White Album)』に収録されている曲は、そのままの音をライブで再現するのは結構難しいものが多い。そういう意味で、この『The Beatles(White Album)』は、ライブ・バンドとしてのビートルズから一番遠い位置にあるアルバムだと僕は思っている。

ステレオ・ミックスがモノラル・ミックスと肩を並べた『The Beatles(White Album)』。そして、ステレオ・ミックスとモノラル・ミックスを聴き比べて見ると良く判る、当時のビートルズの状況。音楽の創造という面では、今の耳でも「ハッ」とするほどの煌めきに溢れている反面、音楽を演奏する集団という面では、既に「個」が優先されていて、バンドというユニットとしてはバラバラな状態であったことが良く判る。

音楽の創造という面に重きをおいて評価する向きにはステレオ・ミックス、音楽を演奏する集団という面に重きをおいて評価する向きにはモノラル・ミックス、というのは、ちょっと乱暴だろうか。本当に、聴く度に骨の折れるアルバムではある(笑)。
 
 
 
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