スタンダーズの充実6枚組ライブ
新型インフルに感染して、伏せって3日目。タミフル飲んで平熱に下がってから、48時間以降は外出しても良いと言われた。昨日の朝7時には平熱に下がっていたので、明日の9時以降は外出しても良いということになる。
逆に、今日一日はまだ隔離生活の続き。新型インフル感染の先達である、大阪のお嬢の言うとおり、隔離生活は「かなり暇」である(笑)。熱が下がって少し気管支に炎症が残ってはいるものの、激しく咳き込むほどでも無い。といって、タミフルの影響か、なんだかちょっと眠くて、頭がポーッとしている。
よって、ベットでゴロゴロしながら、CDを聴くこととする。日頃聴けない、複数組のボックスもの中心に聴こうと心に決めて、さあ、と選んだ最初のボックス盤が、Keith Jarrett(キース・ジャレット)の『Keith Jarrett at the Blue Note: The Complete Recordings』(写真左)の6枚組ボックスである。
この『at the Blue Note』は、1995年に購入して以来、6枚連続で聴き通したことが「2度」しかない。そりゃあそうで、CD一枚あたり収録時間が70分程度。それが6枚だから、総計420分=7時間となる。何度か連続して聴きたい、と思うんだが、なかなか時間が取れないんですよね。
7時間ぶっ通しで聴く時間が取れるのは、今回の様に、病気で寝込んで、体は快方に向かっているんだが、隔離生活を余儀なくされているか、日中かかる、まとまった趣味の作業があって、そのBGMに流す位しかチャンスが無い。今回、新型インフルのお陰で、久しぶりにぶっ通しで聴くチャンスが巡ってきた(笑)。
もともとこの6枚組ボックス盤は、1994年6月3〜5日にNYCのジャズ・クラブ、『ブルーノート』に出演した時の演奏をコンプリートな形で収録したもので、3日間で演奏した全38曲がそっくり収録されているのだ。6枚一気に聴き通すことは、1994年当時のブルーノートでのスタンダーズのライブを一気に追体験できることになり、それはそれで有意義なことではあると僕は思っている。
で、約7時間強、費やして聴き通したんだが...、う〜ん、やはり素晴らしいピアノ・トリオである。Keith Jarrett (p) Gary Peacock (b) Jack DeJohnette (ds) のスタンダーズ・トリオの演奏が、名人芸が、心ゆくまで堪能出来ます。確かに、スタンダード曲を演奏させたら天下一品。このトリオが、世間では、その功績に敬意を表して「スタンダーズ」と呼ばれるのが納得できます。
スタンダード曲のジャズでの解釈は様々であり、ピアノ・トリオでも多種多様な解釈やアプローチ手法があります。よって、このキースの「スタンダーズ」が「最高、全て」とは言えませんが、ピアノ・トリオでのスタンダード曲のジャズでの解釈、演奏としては、一つの到達点を示していると思います。このスタンダーズの演奏内容、演奏レベルは、今後のジャズ界での一つの指針となって然るべき内容を持っています。
スタンダーズのピアノ・トリオは、それぞれの楽器の持つ特性、役割を十分に認識して、3者でしっかりと役割分担した上で、密度のある一体感を持った演奏の「塊」で、スタンダード曲を表現していく感じだと僕は感じています(よって、相当綿密なリハーサルが積まれていることは、彼らの演奏を聴けば容易に想像できますね)。ジャズ・クラブの限定されたスペースの中での至近距離でのライブ録音は、その雰囲気を良く伝えてくれます。
いや〜、良い時間でした。ほぼ日中丸一日かかりますが、それだけの時間をかけても、聴く価値のある6枚組ボックス盤だと思います。7時間連続して聴けない場合は、せめて3分割して、6月3日の1st.&2nd.セット、6月4日の1st.&2nd.セット、6月5日の1st.&2nd.セットと、2枚ペアで聴いて欲しいです。当時のライブの雰囲気がしっかりと追体験できて、なかなかの雰囲気が楽しめます。
最後に、このブルーノートの録音から演奏をチョイスして、2枚組程度のアルバムに縮退してリリースしなかったのは大正解だと思います。この判断にも、キースの慧眼を感じることができますね。
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