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2009年10月 8日 (木曜日)

不意な出来事に『Thrust(突撃)』

いや〜今日は参った。今回の台風がこれほど関東地方に影響を与えるとは・・・。朝、いつも通りに家を出たんだが、最寄りの駅の次の駅で大風の為、運転見合わせ。小一時間経っても改善する気配無し。唯一の下りの電車が来たので飛び乗り。一旦、家に帰る。

それから昼間まで自宅待機。午後3時からどうしても外せない会議があるので、家から小一時間歩いて、ようやく動き出した私鉄に乗り、はるばる2時間かけて東京へ。疲れた。こんなに台風の進路予報が東へずれるとは思わなかった。気象庁は何をしてたのか。猛省して欲しい。

さて、こんなイレギュラーな出来事の時は、難解な音楽はいけない。いろいろと予期せぬ出来事が起こる、今日のような日は、その時その時の思考・判断に弾みを与える、ビートが効いた音楽が良い。ジャズのジャンルで言えば「エレクトリック・ファンク(略して「エレ・ファンク」)。エレ・ファンクと言えば、その第一人者は、ハービー・ハンコック。

今日は、この台風の被害渦巻く中、東京へ何とか出て行かなくてはならない憂き目にあいながら、ズッと道すがら聴いていたのが、Herbie Hancock『Thrust』(写真左)。邦題『突撃』。1974年8月、サンフランシスコ、ウォーリー・ハイダー・スタジオで録音。独特なアルバム・ジャケットが素敵な、エレ・ファンクの佳作である。

前作のエレ・ファンクの名作『Head Hunters』(2009年7月16日のブログ参照)で、一躍、スターダムにのし上がったハービー・ハンコック。それまで追求していた「プログレ・ハンコック」をかなぐり捨て、いきなり、ビートとリズムを「どファンク」したハンコック。ポップで印象的なフレーズを持った「Chameleon」と「Watermelon Man」でエレ・ファンク化。黒く粘っていて「クール」。
 

Thrust

 
そして、満を持しての次作『Thrust』。前作『Head Hunters』で「エレ・ファンク化」したハンコック。ちょっとキャッチャーな音を追求したので、ちょっと俗っぽくなったのが玉に瑕だった。

その俗っぽさを修正し、ちょっとだけ「プログレ・ハンコック」に戻って、なんとなく前作『Head Hunters』より、アカデミックなエレ・ファンクとなった『Thrust』。

このアカデミックな雰囲気が実に魅力的なんですね。知性を感じるファンキーさ、とでもいうんでしょうか、素晴らしく品格のある「エレ・ファンク」アルバムになりました。ちょっとだけ「プログレ・ハンコック」に戻ったけれど、リズムとビートがしっかりと「ファンク」しているので、「エレ・ファンク」を外すことはありません。

収録されたどの曲も良い出来です。ポール・ジャクソンのベースが素晴らしい。シンセサイザー等のエレクトリック楽器を自家薬籠のものとしたハンコック。クラヴィネット、オーバーハイムといった名器を堂々と操るハンコックは、やっとエレクトリック楽器を自分のものにした感じが伝わってくる。

なんとなく前作『Head Hunters』より、アカデミックなエレ・ファンクとなった『Thrust』。アカデミックになった分、勢いやノリといった部分を弱めた分、全体が引き締まって、スリリングになった。そのアカデミックさとスリリングさが、この『Thrust』最大の魅力。僕は『Thrust』の方が、『Head Hunters』よりも良く聴きます。
 
 
 
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