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2009年10月13日 (火曜日)

秋はMJQの季節『Fontessa』

「うら淋しい」秋の風情には、賑やかな、ファンキーコテコテのジャズは似合わない。繊細で、アーティスティックで、哀愁漂うジャズが良い。秋のこの季節に合うジャズ。僕は、大学時代からMJQが、この季節のお気に入りである。

MJQ、フルネームは、Modern Jazz Quartet。メンバーは、ジョン・ルイス(p), ミルト・ジャクソン(vib), パーシー・ヒース(b), コニー・ケイ(ds) 。40年にも渡ってアンサンブルを演奏するなかで、一度もレギュラー・メンバーにでホーンプレーヤーを入れることなく、クラシックに影響をうけた作曲を通して、ジャズのアーティスティックな面にフォーカスを当てて、ジャズの芸術的地位を向上させた功績は大である。

そのMJQの記念すべきアトランティック移籍第1弾アルバム『Fontessa(フォンテッサ)』(写真左)。1956年作品。 ルネッサンス時代の喜劇から影響を受けた、クラシック的な曲の構成と、それに呼応するような繊細かつテクニカルな名演が光る。
 

Fontessa

 
ジョン・ルイスの音数が少ないが、実に叙情的かつブルージーなピアノと、音が印象的に伸びるミルト・ジャクソンの情感溢れる叙情的なヴァイヴ。ファンキーなだけがジャズでは無い。こんなにアーティステックな演奏が出来るんだ、ということを身をもって示してくれるMJQの名演の数々。名盤だ。

1曲目の「ヴェルサイユ」を聴くと、クラシック的ではあるが、演奏の底にしっかりとブルージーな感覚が太く流れている。後のクラシックの名曲を題材としてフュージョン的演奏とは一線を画する、ドップリとジャジーな演奏に舌を巻く。4曲目の「虹の彼方に」など、その情感溢れるミルト・ジャクソンのヴァイヴにウットリするやら、ウルウルするやら(笑)。この季節にピッタリの「虹の彼方に」を聴いて、心はすっかり「ストレス解消」。

秋はMJQの季節。日頃、あまり触手が伸びない「MJQのアルバム達」が聴きたくなる。そんな一枚が、この『フォンテッサ』。その内容は抜群。でも、日頃、あまり触手が伸びないのは何故か。それは、その内容が、この秋の季節に「実にピッタリ」合っていて、他の季節で聴くには、ちょっと違和感があるからなんだ、と思っています。
 
 
 
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コメント

こんばんは
Modern Jazz Quartetいいですね
いまの季節にピッタリきます


自分はジャンゴが好きです


最初はなんかなじめなかったんですが 歳を重ねていくうちに 良さが理解出来た感じがします


ミルト・ジャクソンのヴァイヴが特に好きです


秋はMJQの季節!

ケンさん、こんばんわ。松和のマスターです。

MJQの「ジャンゴ」。永遠の名盤のひとつですね。哀愁をおびつつも
ブルージーなミルト・ジャクソンのヴァイヴとシンプルでジャジーな
ジョン・ルイスのピアノ。その組合せが素晴らしい、確かに秋の季節に
ピッタリの名演ですね。
 

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