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2009年10月18日 (日曜日)

Beatles・Rubber Soulの思い出

中学時代、ビートルズは「メロディー・メーカー」だと思っていた。ラジオから流れるビートルズの曲は、シングルのA面か、赤盤、青盤レベルの、印象的な旋律と美しいコーラス、端正な曲構成とノリの良いビート。僕は、ビートルズは、ポップ・ロックの優等生だと思っていた。

しかし、である。高校1年生の秋だったか、FMでのあるビートルズ特集。いつものように、カセットテレコを机の右に置きつつ「ながら勉強」をしていたら、「Drive My Car」が流れてきた。ギターの音の鋼のようなしなやかさ、ベースの太い音、効果的かつ印象的に挿入されるピアノの響き、カセットテレコの単発スピーカーの奥の方まで続くかのような「音の重なり」。凄い迫力だった。思わず椅子から落ちそうになった。「これもビートルズの演奏なのか?」。

次の日、早速、ビートルズに詳しい同級生に訊いてみた。「Drive My Car」とは如何なる楽曲なのか。その同級生は「そんなことも知らんのか」といった呆れた目で、「Rubber Soul」というアルバムのA面の1曲目だと言うことを教えてくれた。「Rubber Soul」の「R」の発音と、ラストの「L」の発音が、英語の発音として、かなり本格的だったのを妙に覚えている。

早速、その『Rubber Soul』というアルバムを借りた。A面の1曲目「Drive My Car」が流れてくる。ん〜?何か変やなあ、と思った。音の迫力がまるで無い。この音の迫力の無さは、当時所有していた、実にチープな音の「モジュラー・ステレオ」のせいだと思った。その迫力不足のチープな音でも、この『Rubber Soul』の音世界には、度肝を抜かれた。ビートルズをなめていた、と思った。

『Rubber Soul』は全編を通じて、ビートルズというバンドの音作りの特徴、演奏の優れたところ、曲作りの優れたところの全てから「ええとこ取り」をした、「これがビートルズです」という感じの、ビートズの真の「名刺代わり」のアルバムと思っています。

以降のアルバムにハッキリと見られるアルバム・コンセプトが、この『Rubber Soul』にはちょっと希薄、という評価もありますが、「名刺代わり」のアルバムですから、『Rubber Soul』までの音楽活動を総括して、ビートルズの世界を確立した名盤だと思っています。以降のアルバムは、『Rubber Soul』で確立した音世界を、それぞれのアルバム・コンセプトとの下で展開したものだと理解しています。

Rubber_soul_33

今回、目出度くビートルズのCDが最新リマスターされ、リイシューされたのですが、モノラル・バージョンのリマスターCDの『Rubber Soul』を聴いて、高校時代、初めて『Rubber Soul』を聴いた時の、「ん〜?何か変やなあ」という印象の原因がハッキリ判りました。

このモノラル・バージョンのリマスターCDである『Rubber Soul』には、1965年リリース当時のモノラル・ミックスとステレオ・ミックスの2種類が収録されています。もちろん、この『Rubber Soul』でも、モノラル・ミックスが主で、ビートルズのメンバーとジョージ・マーティンが関与し監修したのは、モノラル・ミックスのみで、ステレオ・ミックスは関与していません。

このモノラル・バージョンのリマスターCDの『Rubber Soul』の1曲目「Drive My Car」を聴いて、初めて、この曲に出会った高校1年の秋の夜のことをはっきり思い出しました。そう、この音がFMを通じて、僕のカセットテレコの単発スピーカーから流れてきたんですね。ギターの音の鋼のようなしなやかさ、ベースの太い音、効果的かつ印象的に挿入されるピアノの響き、カセットテレコの単発スピーカーの奥の方まで続くかのような「音の重なり」。凄い迫力。このモノラル・バージョンのCDには、それが全曲に渡って、ギッシリ詰まっています。

そして、高校1年生の秋、同級生から借りた『Rubber Soul』は、1965年リリース当時の「ステレオ・ミックス」のLPの音だったんですね。確かに、当時所有していた「モジュラー・ステレオ」のチープな音のせいもあるんですが、改めて、現在所有しているまずまずのステレオ・セットで聴いても、1965年当時の「ステレオ・ミックス」は、ちょっと聴けたものではありません。左右に音が意味無く振り分けられていて、違和感だらけで、これはいただけません。87年初CD化に当たって、ジョージ・マーティン御大自らが、ステレオ・ミックスをやり直したのも頷けます。

ちなみに、さすがに、ジョージ・マーティン御大自らがやり直した、87年ステレオ・ミックスを前提にした、今回のステレオ盤リマスターは、87年バージョンのステレオ盤CDと比べて、音のエッジがまろやかになり、音の迫力も増して、モノラル盤に近い耳当たりになっており、これはこれでなかなかのものです。

ステレオ・ミックスに耳慣れた方には、今回のステレオ盤リマスターを是非お勧めします。87年バージョンのステレオ盤CDとはやはり、音の次元が違います。ただ、ステレオ・リマスターはちょっと、音のエッジがまろやかになった分、「優等生」的な音になっています。ステレオの特質である「自然な音の拡がり」を追求するには「いざ仕方なし」というところでしょうか。
 
しかし、その今回のステレオ盤リマスターに増して、モノラル・バージョンのリマスターCDの『Rubber Soul』は凄い音だと思います。CDというフォーマットで、ビートルズの持つ「荒々しいロッカー集団」という側面を実感できるのは、モノラル・バージョンのリマスターCDでしょう。今のところ、なかなか、入手しにくい状況になっていますが、借りてでも、はたまた、持ち主の所に押しかけてでも、一度、聴いて頂きたいと思います。
 
 
 
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コメント

了解です。押しかけます。

ところで、その同級生って、あたしじゃないですよね???

こんばんわ〜、ひとみちゃん。松和のマスターです〜。
 
「あたしじゃないですよね」って、その「じゃないですよね」っていう、
確信的否定はなんでしょうか。その同級生とは、おめでとうございます。
ひとみちゃん、それは、あなたです(笑)。

僕は『Rubber Soul』は凄い、是非とも『Rubber Soul』が聴きたいと
いうのに、『Rubber Soul』よりも『Revolver』の方がええから、と
『Revolver』も付けて、『Rubber Soul』をかしてくれましたね(笑)。
 
で、聴き終えて、LPをかえす時、「どうやった」と訊かれて、僕は当然、
『Rubber Soul』は凄いと思い、よって、是非とも『Rubber Soul』
が聴きたかったので、「やっぱ、『Rubber Soul』はええなあ」と言うと、
「まだまだやなあ」と言われて、かなりへこんだことを思い出しました(笑)。
 
もう時効ですね(笑)。遠い遠い昔の出来事でございます m(_ _)m。
 

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