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2009年10月 4日 (日曜日)

『Beatles For Sale』は隠れ名盤

今日は朝から良い天気。爽やかで涼しい空気。夏はすっかり去った。でも、ちょっと上空の空気は不安定らしく、ところどころ、不穏な雲がたなびいている。天気図を見れば、猛烈な台風18号が日本列島をうかがっている。しばらく、台風の動きからは目が離せない。明日から暫く天気が悪いみたいで、朝早々に、いそいそと夏布団を洗濯する。

名残惜し 爽風踊る 夏布団

さて、今日はBeatles(ビートルズ)の話題を。このところ、Beatlesの4枚目のアルバム『Beatles For Sale』(写真左)を聴いている。当然、9月9日に発売された最新リマスター盤の、mono盤とstereo盤の聴き比べである。

この『Beatles For Sale』は、Beatles4枚目のアルバムで、1964年12月にリリースされた。ワールドツアーはあるわ、取材攻勢はあるわ、多忙を極めた中、契約上、年2回のアルバムリリースを義務づけられ、12月のクリスマス商戦めがけて、突貫工事で作成されたアルバムである。よって、前作『A Hard Day's Night』では、収録された全曲、Beatlesメンバーのオリジナル曲で固めるという快挙をなしとげたばかりであるが、この『Beatles For Sale』は、オリジナル8曲、カバー6曲とカバー曲が復活している。

でも、このカバー曲の存在がなかなか味わい深く、このカバー曲の復活は、決して悪いものではない。Beatlesのメジャーデビュー前のリバプール時代、あるいはハンブルグ時代にライブでよく演奏した、50年代の米国ロカビリー、ロックンロール系の曲がズラリと並ぶ。Beatlesの音楽的ルーツが再確認出来、多忙な中、初心に戻って、という雰囲気が実に真摯に響く。

このアルバムの録音は、前作より4トラックの録音になっているので、さすがに、stereo盤のボーカルは真ん中に位置していて、ホッと一息。この『Beatles For Sale』は、前作『A Hard Day's Night』のstereo盤よりも、違和感の無いstereoミックスとなっており、エコーのかかり具合も、音の左右への拡がりも、あまり違和感無い。ただ、4トラック収録の音を、stereoに分離しているので、音の全体の密度感はやはり薄れる。よって、楽器毎のボーカル毎のエッジの立ち方は、Stereo盤の方が顕著で、音の雰囲気も、ちょっと固い。

ノイズが極力取り除かれているので、なんとかstereoで、落ち着いて聴くことの出来る、優れたミックス&リマスターだと思う。楽器の配置、コーラスの配置など、stereoマスター作成の過程においての違和感はあるが、鑑賞を大きく妨げるものでは無い。この『Beatles For Sale』は優秀だと思います。

Betles_for_sale

しかしながら、「僕らは何度も演奏した。誰かが歌い続ければ僕は永久に演奏を続けられたよ。ボーカルを含め、ギターやベースをあとで入れようなんてことはなかった。ほとんどその場で収録したよ」というリンゴの証言にもあるように、この『Beatles For Sale』でも、基本的には、演奏しながら録音する、というライブ・レコーディング方式がとられている。しかも、Bestlesの楽器構成は、ギター2本、ベース1本、ドラム1台とシンプル。音を左右に大きく拡げる必要も無いし、真ん中にドーンと音が固まっていた方が、より当時のBeatlesの音を追体験できることになる。

そういう意味では、やはり、まだまだ『Beatles For Sale』でも、mono盤の方が、Beatlesの演奏が違和感無く聴くこと出来る。しかも、ジョンの声はmono録音向き。mono盤の演奏は、音のエッジが耳に優しく、音の迫力は自然な感じで耳に向かってストレートに伝わってくる。まだまだmono盤の方が、Beatlesの演奏を楽しみには、この時点でも優れていると思う。でも、stereoミックスも今回は、中々のもので、もうmono盤との差はあまりない。しかし、今回の最新リマスターのmono盤は音の次元が違う。もう従来盤には戻れない。

冒頭「No Reply」〜「I'm a Loser」〜「Baby's in Black」のジョン3連発は、フォーキーで内省的で、その歌声が実に素晴らしい。ポールの「I'll Follow the Sun」も美しい。そして、LP時代のB面の 「Every Little Thing」〜「I Don't Want to Spoil the Party」〜「What You're Doing」の流れも素敵である。「I Don't Want to Spoil the Party」のカントリーな雰囲気に感じ入る。当然、手慣れたリバプール時代、あるいはハンブルグ時代にライブでよく演奏した、50年代の米国ロカビリー、ロックンロール系のカバー曲6曲はどれもが素晴らしい。

この『Beatles For Sale』って、プロデューサーのジョージ・マーチンからして「あまり良い出来では無く、印象に残っていないアルバム」てなコメントを残しているくらいで、巷の評判も昔から「地味、暗い、内省的、思索的」と芳しくない。が、そうなのか?

実は、Beatlesの前期の作品(デビューから『Help!』まで)の中では、この『Beatles For Sale』って、私の1番のお気に入りです。このアルバム全体から感じる、オリジナル8曲のアーシーでフォーキーで思索的で落ち着いた雰囲気と、その落ち着いた雰囲気と相対する、Beatlesの音楽的ルーツを感じさせてくれるカバー6曲の成熟した演奏と迫力、この2点が、アーティスト集団としてのBeatlesを強く感じさせてくれるからだと思います。

多忙な中、精神的に追い詰められつつも、ここまでアーティスティックな側面を追求して、それを実現していくBeatlesって、やはり凄いグループだったんだあ、と改めて感じます。その音が、当時の音そのままとして「mono盤」で、音の横の拡がりと音のエッジの明確さを楽しむ「stereo盤」、2つの優れた、最新の録音バージョンで心ゆくまで楽しめるようになりました。本当に良い時代になったものです(笑)。
 
 
 
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