第2期黄金時代の到来!
今日は日中は、ちょっと汗ばむ陽気だったが、朝夕はめっきり涼しくなった、我が千葉県北西部地方。久方ぶりに天気も良く、午後からは晴れ間も広がって、秋たけなわの雰囲気満載である。最近、空もめっきり秋の空らしくなった。空一面のいわし雲を見ると、なんだかジンワリと、センチメンタルになったりする。
幼き日 思い遙かに いわし雲
さて、昨日、ウェザー・リポートの『Tale Spinnin'』について語った。第5作目、ジャズの商売人、ジョー・ザビヌル孤軍奮闘の一枚である。どうしても、ビートが弱い。ビートが強くならない。ドラムなんか、第3作から、毎回毎回コロコロ変わる。ベースも、もう一息である。ザビヌルは困った。困った所に、ある青年が声をかける。「俺は世界で最高のベーシストさ、俺を雇う気はないか」。
その自信過剰とも言える発言の主は、伝説のエレクトリック・ベーシスト、ジャコ・パストリアス。ウェザー・リポートの第6作の『Black Market』(写真左)。キャッチャーでアーシーな曲がずらりと並ぶ。「Black Market」「Cannon Ball」「Gibraltar」「Elegant Pepole」「Three Clowns」「Barbary Coast」「Herandnu」。特に、「Black Market」「Elegant Pepole」「Barbary Coast」は秀逸。
キャッチャーでアーシーな曲も十分用意できるようになった。「エスニック&ユートピア」な音作りに、効果的なジャズ的エッセンスの付加についても、もう「お手のもの」。ザビヌルのシンセの扱いも、やっとなんとか「モノになってきた」。
でも、最後の難問、アーシーでファンキーなビートを供給するリズム・セクションの問題だけが解決されていない。そんな所に、伝説のエレクトリック・ベーシスト、ジャコ・パストリアスの出現である。
ザビヌルとしては、宝くじに当たったようなものだ。それでも、ザビヌルは、ジャコに「俺は世界で最高のベーシストさ、俺を雇う気はないか」と声をかけられた時は、「この男、頭がおかしいんじゃないか」と、最初は取り合わなかったというから、罰当たりである。
ジャコ参加の曲は、2曲目の「Cannon Ball」、6曲目「Barbary Coast」で聴くことが出来る。確かにこの2曲を聴くと、Alphonso Johnsonには悪いが(名誉のために言っておくが、Alphonso Johnsonも上手くて、エレベ奏者としては一級品なんですよ)、ジャコのエレベについては、全く次元が違うことが判る。特に「Barbary Coast」のジャコのエレベは「なんやねん、このエレベ〜」って感じで、何度聴いても唖然とする。
2曲目の「Cannon Ball」についても、ジャコのベースの音量は絞られているが、うねるような、流れるような、超絶技巧なフレーズが全編に渡って響き渡っている。ドラムはリズムの供給、ベースはビートの供給というが、この「Cannon Ball」を聴くと、その表現に納得する。ジャコの天才的なビートを得て、ザビヌルのキーボードは水を得た魚の様に活き活きと鳴り響き、ショーターもテナーを気持ちよさそうに吹き上げていく。
ドラムは相変わらずで、バシャバシャと結構ウルサイ感じのドラミングであるが、これは仕方がない。ウェザー・リポートが望む、タフでファンキーで正確なリズムを供給できるドラマーはそうそういない。この理想的なドラム担当については、ピーター・アースキンの登場を待つことになる。
この『Black Market』は、ウェザー・リポートの第2期黄金時代の幕開けを告げる、マイルストーン的な名盤である。「エスニック&ユートピアな音作りに、効果的なジャズ的エッセンスの付加」という、ウェザー・リポートの特徴について言えば、この『Black Market』が最高作だろう。
2曲目の「Cannon Ball」、6曲目「Barbary Coast」でのジャコの参加が決め手です。この2曲が無ければ、アーシーでファンキーなビートを供給するリズム・セクションの問題だけが解決されないままで、バンドとしても膠着状態に突入したと思われますが、まさに、ジャコの参入がウェザー・リポートを救ったといえるでしょう。う〜ん、ザビヌルとは、なんと運の良い男だったんろう。
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