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2009年9月27日 (日曜日)

With Strings もなかなか良い

本当に涼しくなった。千葉県北西部地方は、もう完全に秋である。もう朝夕は半袖は寒くていけない。気がつけば、金木犀の香りが充満している。この金木犀の香り、高校時代、文化祭の頃を思い出す。高校時代の文化祭は、9月の最終週の土日。その前後、文化祭の準備期間から文化祭の後片付けまで、金木犀の香りと共に、その頃の思い出が蘇る。そこで一句(高校時代に読んだ俳句を)。

金木犀 空いっぱいに 文化祭

さて、ジャズの話題を。ジャズの世界では「With Strings」が、時々出てくる。弦楽オーケストラをバックに、インプロビゼーションを繰り広げる演奏形態なんだが、管楽器のミュージシャンからすると、一度は「With Strings」のアルバムを残したい、と思うものらしい。

確かに「With Strings」の有名盤と言えば、ビ・バップの創始者、伝説のアルト・サックス奏者、チャーリー・パーカーの『Charlie Parker with Strings』(2008年5月10日のブログ)、それから、クリフォード・ブラウンの『With Strings』(2007年10月31日のブログ)がある。ジャズ入門本には必ず「With Strings」盤として紹介される名盤である。

しかし、「With Strings」盤の良し悪しは、バックの弦楽オーケストラの良し悪しにかかっている。チャーリー・パーカーの『Charlie Parker with Strings』については、バックの弦楽オーケストラの出来がイマイチ。よって、全体的な出来としては、かなりチープな印象になってしまう。逆に、クリフォード・ブラウンの『With Strings』も、バックの弦楽オーケストラが弱く、逆に、ブラウニーがペットを凄いテクニックと音色でガンガンに吹き上げているので、これはこれで「耳にもたれる」。

2008年12月にリリースされて以来、ちょくちょく聴いている「With Strings」盤ある。矢野沙織の『Gloomy Sunday』(写真左)である。若手有望株のアルト・サックス奏者。17歳でセンセーショナルなデビューをした矢野沙織も、今年で23歳。若手中堅として、そのアルトの腕前はなかなかのもの。とにかく上手くなった。

Gloony_sunday_11

上手くなったところで、今回の「With Strings」盤である。しかも、副題的触れ込みとして「ビリー・ホリディに捧げるアルバム」とある。全曲ビリー・ホリディゆかりの曲を演奏。大丈夫か、重荷になっていないか、と、この「With Strings」盤を聴くまでは、ちょっと心配だった。特に、バックのバックの弦楽オーケストラの良し悪しが心配。バックの弦楽オーケストラの出来次第で、このアルバムの評価が変わる。

で、聴いてみて安心した。斉藤ネコの良く練られたアレンジによる弦楽オーケストラは、なかなか美しく聴き応えのある音に仕上げられており、矢野沙織のサックスが乗るのを意識したのだろうか、この斉藤ネコのアレンジの弦楽オーケストラは、矢野沙織のサックスにピッタリである。女性アルト・サックス奏者ならではの、芯はシッカリ入っているが、繊細で少し線の細い、矢野独特のアルトが、弦楽オーケストラをバックにクッキリと浮かび上がる。

良い出来だと思います。「With Strings」盤だからといって、迎合することなく、奇をてらうことなく、従来の矢野独特の個性を前提としたアルトを前面に押し出し、ミュージシャンとして、しっかりと一本筋を通しているところは流石です。しっかりと自然体で「With Strings」に相対しているところが、この矢野のミュージシャンとして、プロらしいところです。矢野って、そこが良いんですね。良い意味での開き直りというか、自分の個性に対する信頼感というか、実に頼もしい若手です。

まあ、一般の評価は、若手ミュージシャンの「With Strings」盤などの企画物へのチャレンジについては手厳しいところがあるので、おおよそ、「With Strings」盤として「ちょっと線が細い」「優等生的過ぎる」「ビリー・ホリディをテーマとするには健康的」「まだ若い」、とか言われるでしょうが、全然気にする必要は無いでしょう。

今年23歳の矢野としての、ミュージシャンとしての実力、人格を十分に感じさせてくれる、良い演奏だと思います。サックスの音色は人間の肉声にとても近く、さまざまな感情を表現できる楽器だと言われますが、「奇妙な果実」や「サマータイム」にみられるフリーキーなアプローチを含め、そのサックスの特性を十分に実感させてくれる矢野沙織のアルトです。

ラストの10曲目にアップ・テンポのシークレット・トラック「Lover Come Back To Me」が入っていますが、これがまた良し。このまま、自らの思う通りに伸びていって欲しいミュージシャンのひとりです。
 
 
 
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