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2009年9月 7日 (月曜日)

「プログレ・ハンコック」の終着点

さてさて、前作『Crossings』で、プログレ・ハンコック化。会心作とはいかないまでも、ジャジーなプログレとして、傾聴に値する名演を残したハービー・ハンコック。その『Crossings』を置き土産に、CBSに移籍した。

CBSに移籍したからには期するところがあって、何かハービーに変化があるのか、と思ったら、CBS移籍第一弾は、『Crossings』の延長線上、「プログレ・ハンコック」踏襲である。これには、最初聴いた時には戸惑った。これで、ええんかいな。

そのアルバムは『Sextant』(写真左)。アルバム・ジャケットのイラストは実に魅力的で、そのイラストの印象から、エレクトリック・ファンクジャズの到来か、と思わせる。が、最初の一曲目「Rain Dance」を聴いてビックリ。ピョンピョンと雨音を擬音化した電子音満載のプログレもどきの演奏。う〜ん。どうなんだろう。

2曲目も擬音化〜プログレ路線は続く。「Hidden Shadows」。題名から感じる音そのものが、シンセサイザー中心に擬音化されていく。バックのビートがやけにジャズしているのが、どうも違和感があっていけない。

Sextant

3曲目は、遂に「プログレ・ハンコック」路線と訣別を意識したのか、エレクトリック・マイルスをなぞったような、エレクトリック・ファンクジャズが展開されるが、実に中途半端。これなら、前作『Crossings』の方が、徹底的に「プログレ・ハンコック」していて潔かったなあ。

とにかく『Sextant』はジャケット・デザイン以外は「いまいち」やなあ。これだけ中途半端な「プログレ」ならば、ロック畑のプログレの方が、ずっと大衆受けするフレーズとパフォーマンス満載。この『Sextant』での演奏内容など相手にならない。ハービーのエレクトリック・キーボードの使い方はかなり研究され、実に上手くなってきただけに惜しい。

しかし、これで終わらないのがハービーの凄いところ。この『Sextant』で、本当に「プログレ・ハンコック」と訣別。180度のコペルニクス展開を持って、エレクトリック・ファンクジャズに大転身。ハービー曰く、大日如来のお告げらしい(ハービーは創価学会の信者ですね)。え〜っ、ほんまかいな。案外、マイルスの逆鱗に触れて、一大決心したのかもしれないなあ(笑)。

そう、そのエレクトリック・ファンクジャズの最初の成果が『Head Hunters』(2009年7月16日のブログ参照・左をクリック)。マイルスから学んで、マイルス・ミュージックを判り易く、聴き易くして、一般向けに仕立て上げていく。そんな基本路線を踏襲しつつ、大衆性のあるエレクトリック・ファンクジャズを展開していく。

この『Sextant』を聴いていると、全く想像だに出来ない。どこでどうなったのか判らないが、次作『Head Hunters』より、ハービーのエレクトリック・ファンクジャズの大躍進が始まるのだ。
 
 
 
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