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2009年8月 5日 (水曜日)

悩める「エレ・ハンコック」

凄く蒸し暑いぞ〜。外を歩いていると、その蒸し暑さだけで、体力をどんどん消耗していくのが手に取るように判る、厳しい蒸し暑さの我が千葉県北西部地方。あかん、疲れがどんどん溜まる〜。誕生日を迎え、また一つ歳をとり、年々、夏の蒸し暑さが堪える松和のマスターである。

閑話休題。『ヘッド・ハンターズ』で、エレクトリック・ファンクジャズの寵児となったハービー・ハンコック。アコースティック・ジャズの若手リーダー格だった時代の最後の傑作は『スピーク・ライク・ア・チャイルド』だと僕は思っている。昔、この『スピーク・ライク・ア・チャイルド』から『ヘッド・ハンターズ』までの、エレ・ハンコックで成功するまでの過程を遡ってみたことがある。

エレ・ハンコックの最初の第1歩は『Fat Albert Rotunda』(7月18日のブログ参照)だと僕は思っている。同名のアメリカの子供向け番組として作られた音楽をまとめたものである。が、演奏の雰囲気は、ファンキー・ジャズそのもの。恐らく、子供向けの番組のBGMなので、気軽に作れたのだと思う。肩の力が抜けて、自然とファンキー・ジャズしているところが、このアルバムの最大の魅力。

で、さあ、ということで気合いを入れてのスタジオ録音盤が『Mwandishi』(写真左)。1970年のリリース。『Fat Albert Rotunda』と同様、ワーナーブラザースからのリリースである。恐らく、ワーナーは期待しただろう。あのハービーがエレクトリック・ジャズの最新アルバムを録音するのだから。おそらく、取らぬ狸の皮算用、録音風景を眺めながら、ソロバンをバチバチ弾いていたんではないのかと想像される(笑)。
 
で、これがである。一言で言うと、悩める「エレ・ハンコック」。パーソネルは、ハービー・ハンコック(el-p), エディ・ヘンダーソン(tp), ジュリアン・プリースター(tb), ベニー・モービン(b-cl), ロン・モントローズ(g), バスター・ウリアムス(b), ビリー・ハート(ds), レオン・チャンクラー(ds) 他 。当時若手の、有能で、様々な個性のミュージシャンを多数登用している。

Mwandishi

様々なミュージシャンを取っ替え引っ替えということは、音楽の方向性は定まらない、ということに他ならない。この『Mwandishi』には、ファンクな演奏、躍動的なビートを主体とした演奏、幻想的なサウンドを主体とした官能的な演奏、フリーキーな演奏などなど、さまざまな演奏の要素がごった煮で入っている。加えて、エレクトリック楽器とアコースティック楽器が混在しており、キッパリとエレクトリック楽器だけを採用して、エレクトリック一本槍の展開にもなってはいない。

良い意味ではバラエティーに富んだショーケース的演奏集とも言えるし、逆に悪い意味では、焦点の定まらない過渡期的な演奏集とも言える。特に、中途半端にアコースティック系の楽器をアンサンブルに採用しているところは、どう考えても潔くないなあ(苦笑)。

ただ、収録されている曲の底には、どの曲にも「ハンコック節」が流れており、コンポーザー&アレンジャーとしての最低限の存在感は、ガッチリと示しているところは「さすが」という他ない。

僕はこの『Mwandishi』を、悩める「エレ・ハンコック」と評している。内容的には決して悪い出来では無い。1970年当時としては、水準以上の出来であり、最先端とは言えないまでも、先進的な演奏であることには間違いない。

アコ・ハンコックからエレ・ハンコックへの過渡期的な演奏集と言えるでしょう。とにかく、どの曲にも、当時のハンコックの「どうしようかな〜」という悩みが、なんとなく見え隠れするところが実に興味深い。でも、意外と僕はこのアルバムが好きです。
 
 
 
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